アジア版NATOと英米系地政学

 アジア版NATOは、対中国や対ロシアを想定したものとなるだろう。その上で、インドを入れるか否か、という問題がある。インドが入った際の例を挙げると、印パ戦争に自衛隊が介入すると考えると、少しおかしく感じる人も多いだろう。
 アジア版NATOが出来た際の最大の加盟国はアメリカであり、アメリカが最も発言力を持つというのは間違いない。最大加盟国の戦略は同盟全体の戦略に影響する。そのアメリカの戦略を辿ると、英米系地政学に辿りつくのだ。

 英米系地政学の初期の理論である、リムランドを現在のアメリカ戦略に当て嵌めると、納得がつくことも多い。リムランドは、ユーラシア沿岸を指す言葉だ。この理論は、リムランドを支配する国家は、世界の運命を握るといった思想で、アメリカはそのリムランドを支配できる国家と敵対していると言っていいだろう。
 その支配できる国家、超大国候補と言える国家は、現在3ヶ国存在する。中国、ロシア、インドだ。その内、ロシアはソ連崩壊などによってその力を失いつつあり、中国はアメリカと敵対している。インドは、中国と敵対しており、アメリカにとって敵の敵なことから友好的だ。しかし、敵の敵は敵が居なくなれば敵になる。その事を考えれば、アジア版NATOにインドが加盟することを、アメリカは良しとしないだろう。
 結局、アジア版NATOにインドは加盟することはなく、事実上アメリカが個別で同盟している国家に限定されるだろう。

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