創造的な旅をする上で不可欠なもの
#1 世界一周放浪記 タイ🇹🇭編
おはこんはろちゃお。小谷です。今まで世界一周の周辺情報(自己紹介とか、チームの話とか)ばかり書いていましたが、ようやく本編とも言える世界一周記みたいなものがスタートです。
記念すべき第一弾は、最初に訪問した、微笑みの国・タイ🇹🇭。
日本(しかも家の鍵が開けっ放しの隠岐・海士町)という世界的に見ても類を見ない「安心・安全」の温泉にどっぷり浸かってしまっていた海外旅初心者の我々は、まずはタイのバンコクで肩慣らし・準備運動を始めました。
(この記事は、カンボジアとベトナムの国境を陸路で超えたあたりのバスの中で書いていました。が、写真のアップやら何やらが滞ってしまい、気付いたらスリランカ🇱🇰まで来てしまいました。タイムラグが大分ありますが、リアルに追いつけるように、もう少し旅に余白を増やします)
注射器を求めて空港から市街地へ
先発組の3人(米澤ー権藤ー小谷)は、羽田空港を5/8の23:45に離陸し、マレーシア経由でタイのバンコクのドンムアン空港に5/9の10:45に到着。航空券は破格の20,000円。11時間の長期移動の後に降り立った空港は冷房ガンガンで最高。空港の外にあるHAPPY RICHとかいうイカした名前の換金所に向かった瞬間に、35度(それでも比較的涼しいほうらしいw)の猛烈な暑さが我々を襲ってきました。「あちい」「死ぬ」を連呼しながら、やっとのことで換金を終え、一旦空港に戻り、向かった先はセブンイレブン。
「海外行って行きなりセブンかよ」というツッコミは僕らの中でも沢山したのでご了承ください。天然の半熟卵が作れそうな暑さで体力も気力もなくなっていた我々は、ちっぽけなプライドを捨ててセブンで水とパンを購入します。
そして50バーツ(1バーツ4円なので、200円くらい)の青いバスに空港から乗って、市街地へと向かいました。バスの中は、おそらく大学生であろう青い目と金髪をひっさげた美男美女が9割を占めていました。ここは欧米か。
さて、この世界一周初日の5/9が終わるまでに、我々がなんとしても、絶対に成し遂げなければならない、ミッションが一つだけありました。
それは、スネークファームという蛇の研究機関で感染病のワクチンを大量接種すること。実は一部旅人界隈では有名なのですが、バンコクにあるスネークファームという場所では、黄熱病や狂犬病といった感染病対策のワクチンを日本よりも圧倒的格安料金で接種することが出来ます。日本で受けると15,000円くらいかかるものが5,000円くらいで済む。しかも一日で複数種類のワクチンを何本も接種できる。旅人からするとディズニーランドのような場所。
スネークファームまでの道中は海外旅初心者の我々からするとほんのちょっぴりだけハードモード。乗った青いバスの降り先が分からずに金髪美男美女達と道をさまよってみたり。「これは道と呼べるのか?」っていうすんげえ狭い路地裏を歩いてみたり。カオサンロードで中学生の覚えたての下ネタより酷いワードを日本語でひたすら浴びせられたり。日本でやったら確実にクビレベルのキャッチの勧誘をタイ人から受けたり。とまぁいろいろとありましたが、なんとかバスを乗り継ぎ、スネークファームに到着。
これがタイの病院のクオリティか!!
優しいタイ人スタッフに助けながら、日本の英語教育で鍛えられたBroken Englishを駆使して、無事にワクチンを接種することが出来ました。接種したワクチンは以下の4種類。
合計金額は3,520バーツ(日本円にして約14,480円)。恐らく日本で全て接種していたら、30,000円くらいはかかっていてもおかしくない内容です。
安さに感動したのもあるんですが、今回感動したのは、訪問から案内までのスムーズさです。まず、予約がいらない。そして、タイ人スタッフが診察の申し込みの仕方を物凄く丁寧に説明してくれる。何なら我々のバックパックまで預かってくれる。そして、訪問からワクチン接種が完了するまで超絶スピーディー。時間にすると、入り口から出口までおよそ40分でした。他にもお客様が沢山いる中でですよ。勿論接種前のヒアリングや診断、事後のアフターケア、料金の支払いも含めてこの時間です◎
マジで海外旅行でワクチンが必要な方にはこのスネークファームをお勧めしたいと思っています。多分、具体的にまとめてある日本語の記事やYoutube動画は山程あると思うので、是非「スネークファーム ワクチン」で検索してみてください。
チャイナタウン(ヤワラート)にあるSip N' Campへ
夕方にこの日最大のミッションを無事に達成。時間に余裕はありましたが、深夜のフライトでメンバーの多くが睡眠不足。そして時差ボケや、35度の猛烈な暑さなどで、メンバー全員疲れて切っている状態。ということで、夜のバンコクめぐりは一旦置いといて、チャイナタウンにあるSip N' Campへバスを乗り継ぎ向かいます。
この宿は日本にいる間にAgodaで探し出し、事前に7泊分の予約をしていました。バンコクには様々なレイヤーの宿泊施設があり、バックパッカーの聖地であるカオサンロードの格安ゲストハウスだったり、日本人が多いスクンビットのちょっと高級志向のホテルだったり、エリアによってもまちまちです。色々と悩んだのですが、今回チャイナタウンのこの宿を選んだのには理由があります。
それは、Agodaの口コミ評価が脅威の9,2だったこと。(高くても大体10点満点で9以下が多い)しかも価格が1泊1人892円という破格。
まぁ、ここまでだったらただのコスパの良い格安宿かな?となるんですが、こっからですよ、本番は。最も気になったのは、殆どの口コミに書かれていた「ホストが最高」という文言。コミュニティ運営に興味がある人間からすると、どんな素敵なホストさんなんだろうという期待とワクワクがとまりません。因みに設備面も、Wi-Fiもあって飲料水が無料で飲めて、洗濯機も使い放題で3人1部屋貸し切りという破格の好条件。
冷房のないバスを乗り継ぎ、なんとか到着。一見すると通過してしまうような場所ですが、道沿いにあるカフェの奥が宿になっているという構造です。
早速ホストであるタイ人の「チャイ」と対面。パスポートを渡し、チェックインの手続きを終えて部屋へ案内されました。因みに、会って1秒でこの人絶対に良い人だっていうのを確信しましたよ、私は。
最強のコミュニティマネージャーは40代後半のおじさん。
さて、ここからやっと本題。結局、Sip N' Campには最初の先発組3人が1週間、後発組の坂下・吉富とバンコクで全員が合流してからの3日間、先発組が先にオーストラリアに出発した後にタイに残り続けた後発組の2人が4日間。つまり、合計するとチームで14日間もお世話になってしまいました。
1泊892円という破格の安さ、無料の飲料水等の設備面の充実、チャイナタウンの近くという立地の良さ等、様々な推しポイントがあります。が、この宿はなんといってもホストのおじさん「チャイ」あっての宿であることは、太陽が東から西に登るがごとく、自明の理だと言えます。宿泊をしてしまったら最後、彼のことを好きにならざるを得ないチャーミングなおじさんなんです。どれくらいチャーミングかというと、自分のことを「アンクルチャイ(チャイおじさん)って呼んでくれ」っていうくらいチャーミングです。
深掘りしていく前に、彼の基礎情報について少しご紹介を。アンクルチャイはタイ人・男性で、年齢は40代後半。奥さんとお子さん(娘さん二人)とこの宿からバイクで15分くらいのところに生活をしています(多分)。併設しているカフェの経営者でもあり、この5年くらいでゲストハウスも開業したそうです(多分)。カフェでは沢山の美味なコーヒーやティーを扱っております(絶対)
コミュニティをより良くしていく存在であるコミュニティファシリテーター(オーガナイザー・マネージャー)を日本で今まで沢山見てきましたが、彼には、生まれ持った天性の素質があるように感じました。マジで日本(島)に連れて帰りたい。
特に特徴的だった要素としては以下の3つ
①受容の怪物
彼の、「他人を受容する力」は並外れたものがあったなと思います。
まず、圧倒的に話しかけやすい。常にニコニコしているのは勿論のこと、こちらの拙い英語に対して最後まで耳を傾けて真剣に聞いてくれます。
しかもそれに加えてリアクションがめちゃくちゃ良い。「オー!!!!!グーッド!」ってタイ語なまりの英語で毎回リアクションをくれるんです。勿論、会話中に否定をすることは一切ありません。
さらに、色々なことに好奇心旺盛。アニメー食ー文化ー宗教、どんな話題を降っても何かしら返ってきます。モノ・ヒトに対しての興味をしっかりと持っている上に、それを分かりやすく相手に伝えることができる人間でした。
あとこの辺りは受容に関係ない気がしますが、挙動もなんか可愛い。言い表すのは難しいんですが、いちいち愛くるしいんですよね。「Are you OK?」の言い方がめちゃくちゃ癖あるし。もう、ゆるキャラみたいな感じ。
あ、彼の英語がタイなまりだったのは、今思えば話しかけやすさに大きく影響していたかもしれないです。第一言語として英語がスラスラ話せる人間を相手にコミュニケーションを取るのに我々はまだ慣れてなかったので。
②常にコミュニケーションファースト
彼の本業はあくまでカフェで、宿泊業は趣味みたいなもんだと言い切ってました。「世界中の人と繋がりたい」と思ったのが宿を始めたきっかけらしいです。宿での儲けはおまけみたいなものだからこそ、ゲストとの交流や対話に全振りをしていました。ゲストとの時間を最大限に楽しもうとする彼の心意気が、空間の居心地の良さに繋がっていたように思います。
あと彼の作ったコーヒーの破壊力もコミュニケーションを円滑にする上でめちゃくちゃデカかったですね。「めちゃうまい!」はタイ語で「スジョーイ アローイ」なんですが、彼がこの言葉を教えてくれたおかげで、飲食店でこれを連発しておけばお店の人はだいたい笑ってくれました笑
③絶妙なタイミングでのレコメンデーション
彼は基本的には「ゲストの好きなようにしたらいいやん」というスタンスです。が、ゲストが暇そうにしているのを見ると、「とりあえずコーヒー飲むか?」と声をかけてくれます(本当は30~60バーツするのに、この時はお金を払おうとしても受け取ってくれません笑)
そして会話の中で、「実はこの宿の裏には知る人ぞ知るクロコダイルを見れる寺があってな」とか、「まだグリーンカレー食べてないならチャイナタウンのあの店は格別だぞ」みたいなことをさらっとお勧めしてくれます。
この、自分の本当に良いと思っているものをゴリ押しするんじゃなくて、ちょっと緩めに伝えてくれている感がたまらなくいいんすよね。良いものを全部教えてくれるんじゃなくて、相手に合わせながら小出しにして提供してくれる。しかもタイミングがまた絶妙ときた。この絶妙なバランスを意識せずに自然とできているところに彼の天賦の才を感じました。マジで嫉妬。
安心・安全の場こそ創造的な旅をする上では絶対に必要不可欠。
職場やら家庭やらチームやらに如何にして安心安全の場をつくるかって日本でもさんざん聞いてきたような気がします。
が、旅においても、この安心安全な場を自分達で如何に創るかっていうのはそこまで意識していなかったように思います。チームメンバーの関係性の質は勿論意識していましたが、チームの中の安心安全は、少なくとも1日の1/3を過ごすことになる宿によって大きく左右されるんだなと。
異国の地でチームメンバーがいるだけでも大きいのですが、そこに加えて現地の方で自分達の味方でいてくれる人の存在は本当に大きい。(タイでは現地在住の最強な日本人の方々にも沢山お世話になりました)旅の一番最初の訪問先・バンコクでこのことを実感を伴って学ばせてもらえたのは本当に運が良かったとしか言いようがありません。
カンボジアのホテルを経営されている日本人の方から聞いた話ですごく納得したのが、危機察知能力が高い状態で発揮されるパフォーマンスと、安心安全の状態で発揮されるパフォーマンスって全然違うという話。使っている神経が違うので、パラメーターが大分違うんだろうなぁと。安心・安全の状態じゃないと気づけないこと、感じられないことって沢山ある気がする。
安心して帰ることができる場所があったことで、海外旅初心者だらけのメンバーでも、各々が好き勝手にバンコクを探究できたんじゃないかなと思っています。(小谷はバンコクに来て2日目くらいから繁華街で夜の1人行動をはじめたり、権藤は宿の近くの川で深夜に釣りをしていたり、米澤は何キロも離れた大学に1人で乗り込んでいたりとみんな自由だった。。。)
何万回聞いたかわからないけど、それでも思ったこと。「旅は誰と出逢うかで決まる」
🇹🇭では現地のタイ人の方と話す機会をそれなりに創ることができました。挨拶程度に数分しか話さなかった人もいれば、チャイのように何日間も一緒に過ごし、「チャイおじさん!」と呼べるような深い関係性になった方まで様々です。
何千万人といる国民の中で、旅中に関わりを持つのは多くても数十人から数百人です。そんな小さな世界の中で、「🇹🇭人は優しい!最高!」みたいなことを言うつもりは毛頭にないです。それでも、一目惚れしてしまうような絶景よりも、舌鼓を打つ食事よりも、人と共に過ごした温もりのある思い出が一番印象に残っているように感じます。
🇹🇭を離れた後も、時々チャイのことを思い出してメンバーで話すくらい、我々の心に存在しているチャイ。あの写真の文字通り、彼とは一緒に世界を旅をしている感覚です。毎日HPとMPを全回復させてくれたSip N' Campと、大事なことを沢山学ばせてくれたチャイに感謝しながら引き続き旅を続けたいと思います。ありがとう、チャイ。また会おうチャイ。