季節外れの七夕の話
「おはよう、おやすみのLINEって大切じゃないですか?」
まぁ、そう同意を求められると、「大切だね」と私は返す。
私にとっては生活リズムを整えられる上、気持ちよく起きられる睡眠導入剤のようなものだったから。
過去形である。
おやすみの前、23時から24時までは、あちらさんにとって、本当に自由に使える時間だったと思う。
その時間は、私とInstagramのDM、またはLINEのやり取りをする時間。
「夜話」と名前を付け、テーマを決め、お互いの今までとこれからの話をしたっけ。
Instagramの画像フォルダを久しぶりに見返した。
一番上に大きく「七夕」と書かれた便箋の写真が目に留まった。
あちらさんの七つの願い事が、書かれていた。
当時読んだときは気付かなかったけれど、すべての主語が「あなた」、つまり私になっている。
「あなたが心身ともにすこやかでありますように」とか。
なんとまぁ、素敵な人を選んだんだね、私、と思った。
で、私はどんな願い事を書いていたか、当時のDMを読み返したら、なんとまぁ。
あちらさんが主語なんて一つもない、欲にまみれた願い事だらけで草だった。
きちぃな、私。
願い事ひとつだけ 叶えてくれるなら
傷つけあった愛が始まらないように
私とあちらさんの数少ない共通点が、名探偵コナンが(程度の差はあれ)好きということ。
1998年リリースの曲を私はリアルタイムで聴いていたけれど、今改めて聴いてみる。
当時の私にも、今の私にも考え付かない願い事である。
いや、今の私なら、少しは分かる気がする。
で、七夕の日に歌うたっていた私。
「あなたと私が自分生涯最後の恋だとしたらすごくロマンあるね」という返しを見ても、何を歌ったか思い出せない。
残っていた音源を聴くと、まぁ、きちぃと思った。
私の歌の下手さがね、上手けりゃ良いよ、そりゃあ。
「最後の恋に落ちてく途中…」で終わる、唐沢美帆の『Way to Love』。
さて、今の私に、あちらさんとの「夜話」の時間はない。
その代わりに、友人知人と過ごす時間、しゃべる時間が圧倒的に増えた。
どちらが良いとか悪いとか、なんてない。
貴重な時間を私にくれていたあちらさんが、楽しく、健やかに、幸せでいることを願っている。
いつかは、そんな風に願うことも止めないといけないときも来るのかもしれないけれど。
優先順位、優先すべき順位はどうしたってあるものだろうから。
おはよう、おやすみのLINEを鬱陶しいものと思うか、優先事項と捉えるか。
それを今の悩みと考えられる人(たち)が少しだけうらやましい。