
白熊杯俳句【圭果賞】特別賞
審査員賞を発表しましたが、記事でお知らせしました通り最終で20句を選ばせていただいておりました。
12句以外の8句も甲乙つけ難いものでしたので勝手に圭果特別賞としてこちらにご紹介させていただきます。
【元旦のピアノ英雄ポロネーズ】 椿さん
椿さんの三句はそれぞれとても感動しましたがこの句はとても力強く胸に鳴り響きました。
「元旦」と言うところがまず一年の始まりで清閑な幕開けを感じ、破調で一気にショパンの「英雄ポロネーズ」!
この曲はポーランドの栄光を讃えているショパンの愛国心の表れと言われていますが、私は年の始まりにとても合っていると感じました。
年明けに元気よくピアノを弾いている姿も見えますし、またそれを傍で聴いている光景も思い浮かびました。
英雄ポロネーズはショパンが名付けたのではないそうですが、ぴったりの題名ですね♬
【静脈の透けしてのひら六花】 dekoさん
「静脈」にとてもインパクトがあり、「六花」の季語と取り合わせたことで雪のように白い手に透ける静脈がありありと思い浮かびうっとりしました。雪の中の白い息まで伝わってきそうな凍える寒さも感じ美しい句だと思いました。
【頬赤く握る手熱く冬の星】 ゆうゆうさん
恋人同士でしょうか。冷たい空気の中、はにかむように紅潮した頬、繋いだ手に体温を感じ夜空には星が輝いていて二人を見守ってくれているようですね。
頬→手→空と視点が移って行き、ほのぼのとした冬の夜のひとコマを想像できました。
【雪の夜確かに聞いた鈴の音】 汐田大輝さん
クリスマスの夜、シャンシャンとそりで去って行くサンタクロースの鈴の音を「確かに」聞いたのですね。
サンタクロースはどこにも出てきませんがこの言葉が想像を掻き立てます。これだけで子どもの頃頭の中で思い描いたサンタクロースが蘇ります。
そして「確かに」私にも聞こえた覚えがあります^ ^
【ぽっぺんの音響き合う祈念坂】 春〜と共にさん
ぽっぺんはフラスコ状のビードロのおもちゃですね。試したことはありませんが、息を入れるとポッ!とガラス底がへこみ口を離すと元に戻ってペン!というのですね。
お正月に厄落としの意味も込めて吹かれたそうですね。
明治時代の名画のような長崎の石畳みの坂に響き渡るぽっぺんの音が聞こえるようでとても趣を感じました。
【日向ぼこ無口な祖父の膝の上】 めろさん
めろさんは他二句選出されていてどの句も捨てがたかったのですが、私はこの句がお気に入りでした。何も喋らなくても温かなお祖父さんの膝の上が大好きなことが伝わります。
孫を見つめるお祖父さんの笑顔も見えますね。
冬の空気は冷たいけれど縁側で日向ぼっこしている二人の姿が微笑ましく優しい気持ちになれました。
【シャリシャリと音符の見える雪みぞれ】
chiyoさん
シャリシャリのオノマトペが雪みぞれの季語と共に美味しそうに感じてしまいました^ ^
凍てつく雪の中に音符が見えると言う表現はいかにも雪を楽しんでいる様子が伝わりました。
雪を踏む音とコラボしてチラチラ降る雪が音符になって降ってくる様子や音楽も聴こえてくる様子がメルヘンチックで幸せな気分にさせていただきました。
「みぞれ雪」と迷われていたとのことですが、声にして読んでも字面も「雪みぞれ」とってもステキです❣️
【寝る前の五行日記や冬菫】
よこがおさん
習慣としている寝る前の日記の五行というところが良いですね。
冷たい地面の近くに可憐に咲く冬菫の季語が、日記の文章も詩的に思わせてくれます。
また、冬菫の押し花も挟まっているようなそんな日記帳も思い浮かびました。
特別賞を受賞の皆様おめでとうございます❣️
お花をプレゼント💐

