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もうカミナリはへっちゃら 1/3

 ともくんとなおくんの部屋には、天じょうに窓がついています。
「おにいちゃん、サンタさんはここから入ってくるの?」
 おとうとのなおくんが聞きました。
「この窓は開かないんだよ」
 おにいちゃんのともくんは、さめた口調で窓を見上げて言いました。
「月がまんまるだ。なおくんの顔みたい」
 ともくんがそう言うと、月よりまんまるくなってなおくんがふくれました。
「月や星は見えてもいいけれど、カミナリはごめんだなぁ」
 ともくんもなおくんもカミナリが大の苦手でした。
 天じょうの窓からは、月の光がさしこんで電気を消してもこわくはありませんでした。
 そのやわらかな光につつまれながら、ふたりはいつのまにか小さな寝息を立てていました。
  モワモワモワ〜
 夜中に目をさましたともくんは、何ども目をこすりました。天じょうの窓から何やら白いけむりのようなものがどんどん中に入ってくるのです。
「わぁー」
 ともくんはふとんをかぶりました。その声でなおくんも目をさましました。良く見るとその雲のようなモワモワといっしょにだれかが飛びこんできました。
「き、きみはだれ?」
 ともくんがこわごわ聞きました。
「ボク、オニノコ モワモワっていうの。
 ニンゲンのトモダチほしいです」
「オニの友だちなんていやだよ」
 ともくんが言うと、モワモワは
「やっぱりね」
と言って下をむいてしまいました。その顔があんまりかわいそうだったので、なおくんが言いました。
「いいよ。ぼくなったげる」
「ほんとー?」
 モワモワの顔ぽっと赤くなりました。

                つづく

あい。(aimaru)さんのマンダラの画像使わせていただきました。一見関係ないようですが天窓から覗く空は あい。さんのマンダラ塗り絵のイメージぴったりでした。ありがとうございました。



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