スタジオジブリに訪問したときの話

ある得意先の仕事でスタジオジブリの取材をすることになった。怖い先輩の得意先だったので、怖い先輩について一緒に仕事をしていた私にも参加権があった。たまにはいいこともあるなと思って興奮した。

というのも私はジブリの作品がめちゃくちゃ好きなのだ。そんなのは私でなくてもみんなそうかもしれないが、私はアニメージュで好きなキャラ1位が何年も連続でナウシカだった頃から好きだし、ジブリでアニメーターをやりたいなと思ったことがあるくらい好きだ。ただ、オタクに市民権のない環境で育ってしまったので、身を守るためにオタクを捨て、いつの間にかジブリへの夢も封印してしまった。選ばなかった選択肢の延長線上にあったかもしれない世界が見られる…!

そういうわけで自分にとって念願の取材だったんだけど、ジブリの方々の話を語ることを許されているのは岡田斗司夫氏だけなので、取材内容には全く関係ないことを曖昧に書こうと思う。

ある方へのインタビュー中こちらの不手際でちょっと…その…場の空気が張り詰めるような、良くない雰囲気になってしまった。なってしまったままインタビューが終わった。怖い先輩の顔が見たことないくらいに真っ青になっていた。あんなに怖いのにもっと怖いものがあるんだ…!と思ったし、先輩の青ざめた姿は、これまでもそれ以降も見たことがない。

張り詰めた空気のまま、最後に全員で写真を撮ることになった。先輩は顔面蒼白、得意先の方もなぜか後ろの方にいたので、ということは営業も前には出られない。今だ!と思ってその場で一番関係ない自分がすかさずしゃしゃり出て、その方の隣に並んで同じポーズで写真を撮ってもらった。なんというか、あつかましい性格で本当に良かった。その場にいた全員そう思ったと思うし、今でも写真を見る度にみんなごめん…て思う。けどもう遅いし、写真は宝物になっている。その後、社屋も見学させてもらって、夢のような時間だった。

夢は叶えようと思ってなくても叶ったりするのかもしれないし、神さまというものがもしいるなら、たまにこうやって選ばなかった世界を見せてくれるのかもしれない。



怖い先輩の話はこちら


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?