人口推計からコロナ後世界の考察

日経ビジネスで以下のような記事を見る。

日経ビジネス/限界不動産/新常態で暴かれる格差コロナが突き崩す都心回帰、経済優先のツケあらわに https://business.nikkei.com/atcl/NBD/19/special/00460/?n_cid=nbponb_twbn

コロナを機に東京一曲集中が見直され、郊外化が進むのではないかといった論調だ。一部同意する面もあるが、しかしこういった記事では「地方」という単語が明確に定義されず、極めて曖昧な概念として記述されている。

個人的な感覚としては、例えば「都心に1時間以内でアクセス可能な地方中核都市」へのニーズは今後上がるかもしれないが、「それ以上の距離、または東京・大阪・名古屋・博多等の経済ドライバー都市へのアクセス性が担保されないエリア」はそこまで盛り上がらないのではないだろうか。

確かにコロナ禍で強制的に社会が「自宅でできること」「自宅ではできないこと」を経験し、アンケート調査でも今後リモートワークを推進し、それに伴いメインオフィスの床面積を一部減少させようとする動きもあるわけだが、個人的にすべて「自宅でできる」業務に従事している人は、コロナ関係なく地方在住しているのではないかと思う(IT系のノマドワーカー等)。

またメインオフィスは今後減床することはあっても、コミュニケーションや資料保管(残念ながら完全なペーパーレスにはまだまだ時間はかかる)等で、完全にメインオフィスを空けるのは一部ベンチャーを除いてまだまだ難しく、また製造業や卸売業のノンオフィスワーカー等はあまり関係ない話かもしれない。


以下はリーサスという統計をマッピングしてくれる便利なサイトだが、人口問題研究所の人口推計の2020年と2025年の県別増加率を見ると、人口が減少する日本において、今後しばらく増えるのは東京都と沖縄だけとなっている。
https://resas.go.jp/population-sum/#/map/13/13101/2025/0/4.6209502132746545/35.219174680762734/136.0491271714664/-

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中でも関東の市区町村別の2020年と2025年の増加率を見ると、やはり都心に今後も集約していく推計となっている。

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平成からずっと続いてきた、人口減少・一極集中の日本の人口動態が、コロナでトレンドが変わるだろうか?リモートワークだけでは賄えない分野もまだまだある以上、この強固な人口動態のトレンドを変えうるほどではないのではないだろうか?

また東京と地方の圧倒的な文化資本の格差、コロナで一時的に薄まったとはいえ、ネットにはある種のストロー効果があるため、ネットにより情報が得られることにより、逆に東京との文化資本の差を認識するのではなかろうか(道路網が整備された高度成長期に、東京へのアクセスが良くなったことで、逆に地方から東京に人口が取られた)。

というわけで、人口動態のトレンドは今後も継続し、コロナの影響は局地的なムーブメントにとどまるのではないかという話でした。




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