AssetType②:Medical Officeアセットとは?
1.Medical Office Asset
前回のブログでLife Scienceアセットという米国で今アツいアセットタイプについて紹介したので、次はMedical OfficeというNon-Traditional Assetについて紹介する。
まずMedical Officeとは何かについてだが、米国のカリフォルニア州において、メディカルオフィスの売買/賃貸仲介、プロパティマネジメントを営んでいるMedical Asset ManagementのHPのProperty Leasingの項目を見ると以下のような説明があった。
またBrokerage/Investmentの項目では、以下の記述がある。
今まで私はメディカルオフィスに関わったことはないが、ヘルスケア、病院等の医療関係の施設であり、どうやらライフサイエンス同様、医療施設に特有の論点についての専門知識が要求されるオペレーショナルアセットの一種であると言えるようだ。
CBREのデータによると、コロナ禍によりMedical Office市場は大きな打撃を受けたものの、コロナからの回復に伴い今後は市場が拡大するとのことである。
Figure4,5 の取引量・取引価格を見ると、コロナ当初こそ打撃を受けたものの、その後のリバウンドは伝統的アセットに比して強く、結果として2019Q4~2020Q4の落ち込みはマイルドであった。
また、IPEリアルアセット記事によると、米国の主要な不動産運用会社のであるNuveenがAllianz融資で4.63億UDのMedical Officeポートフォリオを購入したといったニュースがあったり(LINK)、ベインキャピタルという戦略コンサルのベインから派生した運用会社が、Evergreen Medical Propertiesというヘルスケアに特化したベンダーとジョイントベンチャーで投資したといったニュースもあった(LINK)。このように、米国ではMedical Officeは非伝統的資産として一定の地位を築いていると言える。
こうしたオペレーショナル色の強いアセットタイプは、専門性の高い業者とジョイントベンチャーで投資を行うことが多い。即ちオペレーションを専門業者が担い、ビッグマネーをグローバルな運用会社が担うと言った寸法である。
2.総合商社がオペレーショナルアセットに本格参入?
本邦でも、Medical Officeではないが、三菱商事が米国REITの主要銘柄であるデジタルリアルティというデータセンター会社(NYSE上場)と、MCデジタル・リアルティという合弁会社を設立し、データセンター事業(コロケーションサービス)を設立している。このようにオペレーショナルアセットは専門性の高い会社と一緒にジョイントベンチャーを設置して投資するということが多いが、これは伝統的アセットに比して、場所よりも事業についての専門的な知識が必要とされるからだろう。
その点で、総合商社は伊藤忠、丸紅、双日、三菱商事(DREAM)などすでに不動産投資家としてかなり存在感があり、またリアルアセットという点で不動産に近いインフラ投資も行っているが、今後、投資妙味を求めて不動産投資のオペレーショナル色が強くなるにつれ、事業投資とグローバル展開に一日の長のある総合商社がオペレーショナルアセットの主要投資家となるのでは…と考えている。
総合商社は言わずもがな、世界中で資源から衣食住まで、川上から川下までのサプライチェーンを一気通貫で掌握する"バリューチェーン"を形成して事業を行っている。
当然事業投資については得意であり、今後不動産がオペレーショナル性が強くなり、場所よりも事業を重視するに従って、総合商社の能力がより発揮されるのではないかと考えている。
日本はオペレーショナルアセットはまだ発展途上であり、個人的にはオペレーショナルアセットの不動産投資家といったら星野リゾートくらいではないかと考えているが、今後本邦でもオペレーショナルアセットが拡大していくことで、総合商社と総合デベロッパーの怪獣バトルが繰り広げられるか…どうかはわからないがワクワクですね。