基幹駅の信号機・ポイント切り替えを手動で行ったらどうなるか?
はじめに
通常駅構内の信号機やポイントの制御は、コンピュータ(駅PRC装置)により指示された電子連動装置を介して自動で行われるが、このシステムが故障し駅の列車着発を手動で行ったらどの程度運行本数を確保できるのか。普通は実験など出来る訳ないのであるが、仙台在住の知人からの情報によると1月10日朝、仙台駅構内の信号装置が故障したため司令員が手動にて操作し列車の着発を行ったという。通常の何割の列車が運行できたのか当日のどこトレ運行データより検証してみる。
事象概況
午前5時50分頃仙台駅構内の信号が消灯したため、運転を見合わせた。このため手動による信号現示・ポイント操作に切り替え、手順の煩雑化を防ぐため仙台電車区からの入出区は取りやめ、既に出区済みの列車のみで往復運用を行うこととした。東北最大の中核駅における通勤通学のラッシュ時の思わぬ減便は、途中駅で列車に乗り切れない乗客が発生したり、予約した航空便に間に合わなかったりと大混乱となった。輸送指令では制御装置を予備系統に切り替え、午前9時過ぎに復旧したものの仙山線の雪害も相俟って列車ダイヤの乱れは帰宅ラッシュまで続き、東北本線(福島~一ノ関間・岩切~利府間)、常磐線(いわき~岩沼間)、仙台空港アクセス線、仙山線、仙石東北ライン、阿武隈急行線の利用者29,600人に影響が出た。
なお予備系統に切り替わった午前9時時点での運行では、時刻表上では8時頃までの仙台駅発着の列車までしか運行できず、273分~1分の遅れが発生した。
路線別影響
【東北本線・福島~仙台間】福島~仙台間1往復2本運休、白石~仙台間下り7本上り8本運休、大河原~仙台間下り1本運休、岩沼~仙台間下り4本上り3本運休
【常磐線・いわき~仙台間】いわき~仙台間特急ひたち13・22号運休、原ノ町~仙台間6往復12本運休、新地~仙台間1往復2本運休、山下~仙台間下り1本運休、岩沼~仙台間2往復4本運休(原ノ町~岩沼折り返し運転)
【仙台空港アクセス線】仙台空港~仙台間13往復26本運休
【阿武隈急行線】槻木~仙台間1往復2本運休(槻木折り返し運転)
【東北本線・仙台~一ノ関間】仙台~松島間下り4本上り5本運休、仙台~小牛田間5往復10本運休、小牛田~一ノ関間1往復2本運休、小牛田~石越間下り1本運休、仙台~利府間6往復12本運休
【仙石東北ライン】仙台~石巻間4往復8本運休
【仙山線10日信号故障】仙台~北仙台間2往復4本運休(北仙台~愛子・山形各1往復運転)、仙台~東照宮間回送扱い下り1本(東照宮~愛子間運転)、仙台~愛子間下り9本上り11本運休
【仙山線10日雪害】仙台~山形間下り1本運休、愛子~山寺間下り1本運休、作並~山寺間上り1本運休、愛子~奥新川間1往復2本運休(上り奥新川駅雪抱き込みによる山形への退行運転)、愛子~山形間下り3本・上り4本運休
【仙山線11日運用都合】山形~仙台間上り始発快速1本運休、仙台~愛子間1往復2本運休
手動対応による運行割合(運休本数/所定本数)
東北本線仙台以南3/17、常磐線5/11、仙台空港線3/11、阿武隈急行線2/2、東北本線仙台以北1/10、東北利府線9/10、仙石東北ライン0/4、仙山線9/16の合計32/81本=39.5%であることが判明。仙台駅での手動による発着対応では、輸送力が約6割に落ちることが判明した。
もし首都圏のどこかの駅で同様の事象が発生したら、と考えると対応は無理だろう。とその前に、何で復旧までに3時間以上も掛かったのであろう。予備系統のシステムにすぐに切り替えるのは、素人でも考えつく方法な筈なのに。多分、マニュアルがあっても訓練はしてなかったのであろう事は容易に想像がつく。しっかりして欲しいものである。一方PRCに頼らず、日々司令員が直接連動盤を操作し信号機やポイントを切り替え列車運行を行っている、京浜急行㈱殿には頭が下がる思いである。
画像資料提供:haru様