新・青春18きっぷで最北端から最南端へ
はじめに
2024年冬季の青春18きっぷの仕様が大きく改変されたことが話題になっている。その多くは改悪されたことによる不満等であるが、良くなった点がないか検討してみた。もちろん自動改札機が利用できるようになった点は明らかであるのだが、それ以外にである。
筆者が導き出したのは次の1点だけであった。それは連続した5日間、普通列車だけで日本最北端稚内駅から最南端西大山駅を経て終点枕崎駅まで到達できるようになった点である。
どのような行程でこの旅程が成立するのか、利用可能な初日となる12月10日出発の5日間用でそのルート及び利用列車をご紹介し検証してみたい。
第1日目(12月10日火曜日)稚内⇒長万部
稚内(5:21発4324D)~名寄(8:46着10:08発快速なよろ4号)~旭川(11:28着 13:47発2364M)~滝川(14:28着14:45発2366M)~岩見沢(15:24着15:36発220M)~札幌(16:18着18:40発快速エアポート145号)~小樽(19:17着19:30発2960D)~長万部(22:35着泊)
220Mを白石で下車し千歳・室蘭線を経由すれば森へ22:15に到着できるのだが、このルートでも2日目木古内ではやぶさ18号には間に合わないため、北海道新幹線札幌開業後廃止予定となっている函館本線山線を乗り納めておこう。乗車距離570.2㎞。
第2日目(12月11日水曜日)長万部⇒新津
長万部(6:32発2840D)~五稜郭(9:52着10:39発道南いさりび鉄道)~木古内(11:37着13:01発はやぶさ28号)~新青森(13:50着14:08発658M)~弘前(14:44着14:47発1660M)~秋田(17:22着18:15発552M)~酒田(20:07着20:11発834D)~村上(22:11着22:13発950M)~新津(24:00着泊)
この日は新たにリニューアルされた「青春18きっぷオプション券」を使用する。北海道新幹線利用可能区間が奥津軽いまべつ駅から新青森駅へ拡大されたため、5日間での日本列島縦断が可能となった。
秋田から奥羽本線経由で福島まで南下するルートは、7月の豪雨で院内~新庄間が不通となっており、わずか3往復の代行バスしか利用できないため除外される。また横手から北上線経由で東北本線を南下するルートは新白河駅、岩沼駅から常磐線を南下するルートはいわき駅で長時間の待ち合わせが3日目に発生するため除外された。乗車距離726.4㎞。
第3日目(12月12日木曜日)新津⇒姫路
新津(5:34発420M)~長岡(6:28着6:33発1724M)~水上(8:54着9:00発732M)~高崎(10:03着10:14発4823Y)~小田原(13:16着13:28発1865E)~熱海(13:57着14:13発1429M)~静岡(15:30着15:33発773M)~浜松(16:44着17:00発155F)~豊橋(17:34着17:43発2121F)~岡崎(18:04着18:14発2123F)~米原(20:05着20:18発3535M)~姫路(22:49着泊)
信越・上越線を南下し東海道・山陽本線を西に向かう無難なルートを採り、距離を稼ぐ。この日の移動距離はこの旅の最長となる963.0㎞であった。東北本線を南下した場合には名古屋駅、常磐線を経由した場合には蒲郡駅までしか到達できない。
第4日目(12月13日金曜日)姫路⇒佐伯
姫路(5:29発2545M)~岡山(6:51着6:57発1707M)~糸崎(8:26着8:39発315M)~白市(9:11着9:27発1521M)~岩国(11:04着11:44発3325M)~下関(15:12着15:16発5177M)~小倉(15:30着15:36発2545M)~中津(16:40着16:47発639M)~宇佐(17:12着17:37発4663M)~大分(18:47着19:43発1641M)~佐伯(21:07着泊)
山陽本線を西に九州へ上陸、通常なら鹿児島本線を南下し肥薩線で向かうのだが、2020年7月の豪雨で八代~吉松間が不通となり葉木駅までの代行タクシーしかないため隼人駅には到達できない。このため日豊本線回りで鹿児島駅方面へ向かうこととなる。乗車距離682.9㎞。
第5日目(12月14日土曜日)佐伯⇒西大山・枕崎
佐伯(6:18発2761M)~延岡(7:23着7:35発731M)~都城(10:51着13:08発2923D)~隼人(15:36着16:16発6953M)~鹿児島中央(17:03着17:12発1349D)~指宿(18:23着18:35発5327D)~西大山(18:53着20:25発5329D)~枕崎(21:27終着)
佐伯~延岡間は、同区間1日1本だけのこの普通列車に乗車しないと宮崎・鹿児島方面に向かうことは叶わない。しかしこの列車に乗車しても都城駅からの乗り継ぎが悪いため、吉都・肥薩線を経由することとする。最南端の西大山駅で途中下車して写真撮影や付近の散策後、次列車で枕崎へ向かってゴールとなる。乗車距離410.0㎞。
終わりに
如何であろう、何とか5日間で縦断できた。一番の難所はやはり最終日の佐伯~延岡間であろう、なにせ1日1本だけなのだから。乗車するには、なんとしてでも4日目には佐伯駅に到着していなければならないのだ。因みに枕崎から稚内への逆ルートは、音威子府駅までが限界であり到達できない。
稚内までや枕崎からの交通費が別途必要となるが、1週間連続して休みが取れる方は是非チャレンジして頂きたい。旅程では最低でもビジネスホテルがある都市を日程の区切りとしているため、宿泊場所には困らないだろう。なお旅程では土休日運休列車を利用しているため、土休日に移動する際には列車の確認が必要である。
5日間の移動距離合計3,352.5㎞。お疲れさまでした。
付録:1982年夏ダイヤによる日本縦断
発売初年度「青春18のびのびきっぷ」時代の縦断旅程について、比較のため掲載しておく。この時代でも5日間の縦断は可能であったが、なんと多くの区間が別ルートとなった。
1日目:稚内⇒宗谷・函館・室蘭・函館⇒長万部
2日目:長万部⇒函館・青函連絡船・奥羽・羽越⇒酒田
3日目:酒田⇒羽越・信越・北陸・湖西・東海道⇒京都
4日目:京都⇒東海道・山陽・鹿児島⇒久留米
5日目:久留米⇒鹿児島・指宿枕崎(西大山途中下車)⇒枕崎