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青春18きっぷ制度改悪について思うこと

はじめに

 10月24日、JR各社より冬の青春18きっぷについて概要が発表された。その内容によれば、これまでの青春18きっぷは全く別物の商品といっても過言ではないほどまでにリニューアルされた内容となっている。まずは発表された商品の中身をみて見よう。

青春18きっぷ新旧内容比較

 今回の冬版と(前回の夏版)での仕様を比較しよう。
・有効回数と日数:1回3日間連続または1回5日間連続(5回延べ5日間)
・複数人利用:不可能、1人のみ(可能、最大5人まで)
・自動改札機:利用可能(不可能、有人改札のみ)
・価格:¥10,000~3日間用、¥12,050~5日間用(¥12,050)
・切符のサイズ:横85㎜(横120㎜)
・その他普通列車のみ利用や、特例により特急列車・指定席車・グリーン車・第三セクター鉄道に乗車できる場合があるなどのルールには変更がない

青春18きっぷ北海道新幹線オプション券新旧内容比較

 こちらも今回の冬版と(前回の夏版)での仕様を比較しよう。
・新幹線乗車区間:新青森駅~木古内駅(奥津軽いまべつ駅~木古内駅)
・道南いさりび鉄道:木古内駅~五稜郭駅(同じ変更なし)
・自動改札機:北海道新幹線のみ利用可能(不可能、有人改札のみ)
・片道価格:¥4,500(¥2,490)
・切符のサイズ:北海道新幹線横85㎜、道南いさりび鉄道横120㎜
       (北海道新幹線・道南いさりび鉄道兼用横120㎜)

今回の改悪は何故行われたのか

 まず挙げられるのは、従来の青春18きっぷ未使用分の転売行為阻止であろう。複数回利用可能であった同切符の性質上、5回分使いきれずに余るケースは十分にある。従来これら利用回数が残ったきっぷは金券ショップ等に流れているのが実態であり、JR各社はこの事態を苦々しく思っていたに違いない。ただでさえ儲けの少ない企画切符でこんなことをされたのではたまったもんではない。
 次に考えられるのは、有人改札のみ利用可能となる従来の仕組みでは、各駅人員削減のよる合理化で対応が難しくなってきたのであろう。ただ自動改札機対応となったからといって、1回ずつ5回利用できる85㎜券の設定が自動改札機上できないとは考えられず、やはり購入者以外にも使用されることを避けるため、これを口実に3日間または5日間の連続使用へ舵を切ったというのが正解であろう。
 
 現在この改悪仕様の青春18きっぷを改めさせるための署名運動も行われてはいるが、JR6社が一度公表した企画内容を撤回したり将来も修正するとは考えられない。これにより今冬の同切符の売り上げは、北海道新幹線オプション券(えきねっと30%割引による新青森駅~新函館北斗駅間と同一価格)とともに激減するであろう。この売り上げ減を盾に、近い将来青春18きっぷ廃止への流れをJR側が敢えて作り上げたシナリオでない事だけは願いたい。


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