正義の見方『ウォッチメン』
争いはなぜ起こる?
なぜ争いが生まれるか
宗教戦争、差別問題、パワハラ、抗争・・
それぞれの立場で正しいが存在する。
自分は正しい、自分のコミュニティが正しいから始まるから
「俺が正しい!」「いや、俺の方が正しい!」
当然、摩擦は発生する。
では、その正しいと言われる『正義』ってどのように見ていけばいいの?
『ウォッチメン』のシンボルで
スマイリーバッチが血で汚されているのは、
笑顔と血の戦いという二律背反の同時存在が世界を作っていると訴えているのだろう。
心理学ではシャドーのプロジェクションという言葉がある。
影の投影です。
人間はペルソナという表の顔とシャドーという裏の顔があります。
その裏の顔という自分でも認めたくない部分が
相手にも同じく存在すると憎しみとして攻撃したくなる。
その認めたくない部分である影が争いの原点なのである。
正義に期限はあるのか?
「ニューヨークで一人のコメディアンが死んだ」
ここから始まる物語ウォッチメン
明石家さんまさんがスベった芸人に対して
「一人のお笑い芸人死にました」
ぺろっと鉛筆舐めてメモする仕草のことではありません。
コメディアンという名のヒーローのくせに、パラハラ、セクハラを繰り返すキャラクター、ヒーローハラスメント「ヒロハラ」って言葉が生まれるんじゃないかってくらいくせがすごいキャラクター。
ケネディ暗殺など歴史的重要事件には必ずコメディアンの影がある。
そんなコメディアンが殺された。
これは「おやじ狩りだ!」
じゃなくて「ヒーロー狩りだ!」と言って
ひとり自警団をはじめるロールシャッハというキャラクターがかつてのヒーローたちを訪れて謎を解明していく。
ウォッチメンの世界の背景は
かつて有名で活躍していたスーパーヒーローという自警団たちがいた。
この人たちが年をとって、弘兼憲史のマンガ『黄昏流星群』的に
年をとってしまった切なさと愛しさと心強さで登場する。
物語の中では、キーン条例と呼ばれる法律が制定されてヒーローによる自警団活動が非合法となってしまった。
もちろんかつてのヒーローは退廃的だ
その姿は
「昔父さんはブイブイだったよ」
「お母さんが電車で乗る車両だけ混んでたよ」
と腹が出ていながら、かつての栄光を自慢しているようだ。
綾小路きみまろさんは言っていました。
「中高年、夢はある暇もあるけど気力がない。」
まさにこの状態になってしまったんです。
なので綾小路きみまろさん風にウォッチメン解説すると
「ウォッチメン、正義はある名誉もあるけど気力がない。」
綾小路きみまろさん面白いんでもうひとネタ。
「オバタリアン、化粧落とせばエイリアン」
ととのいウォッチメンしました! (ねずっち風)
「ウォッチメン、マスクを脱いだら落っち目ん」
スーパーヒーロー落ち目になっているんです。
スーパーヒーロー時代の自衛団の活躍は正義だったはずだ。
でも時代が変わればその正義は悪になってしまうかも。
バットマンのダークナイトでもバットマンの正義の見方がいるから悪が生まれる。本当の正義とは?ってジョーカーが問いかけていますよね。
バットマンvsスーパーマンなんて、ど迫力アクションスターが
話し合いというかディベート的に物語が進んでいて
「事件は現場で起こっているんじゃない! 会議室で起きているんだ!」
って言ってしまうんじゃないかくらい踊らない大捜査線な感じでした。
マンガの『ワンパンマン』もヒーローだらけでそれぞれ葛藤を持っていてランク付けされている。
映画やマンガに悩めるヒーローが多くなったのは、現代という価値が多種化してそれぞれの正義の時代背景を投影しているのでしょう。
ヒーローでいられるのは期間限定なんでしょうか。
もちろん年取って体力はなくなりますが
正義の長老もかつての映画、マンガはいたはずだ。
いや、
年をとったから正義がなくなるのではない
正義の軸がぶれ始めた時に年をとるのだ。
強さが正義なのか?
放射能で変異してしまったDr.マンハッタンがベトナム戦争で巨大化して活躍する。
超人の能力を持つことは、普通の人間からすると憧れだ。
ただ、手にしてしまったものは違う、Dr.マンハッタンは徐々に人間的な感情がなくなって喪失感すら生まれている。
ヒーローから事業家になって大富豪になったオジマンディアスはストレンジ行き過ぎキャラクター。
バックトゥザフューチャー2のビフに似ている。
を合衆国とソ連に共通の敵としてDr.マンハッタンの超能力の脅威をしたてる。
これにより核戦争の危機をまぬがれる。
スーパー天才スネ夫です。
利用されたDr.マンハッタンたまらないよね。
でもこうゆう事って、今の日本の政治で毎日ニュースになっていませんか?
政治力という強力な能力を持って
本来の国民を守るという使命をないがしろにして
自分たちの利益追従に走っちゃう。
道具になり、武器として利用してしまいがちになる強さ。
かつて小さい頃見ていたヒーローは強かった。
強かったから憧れた。
ヒーローが悪をやっつけるから気持ちがよかった。
今、悪は誰だかわからない。
争いをなくすには?
冒頭で
「人間はペルソナという表の顔とシャドーという裏の顔があります。
相手に自分の嫌な面があるとその相手を攻撃してしまう」
と記述しました。
相手に自分の嫌な面があるとその相手を攻撃してしまうということは、
自分次第で相手が敵であるかを決める作業です。
ではペルソナという表の顔、いわば社会で使っている本音と建前の建前の顔ですが、この顔を使い分けて社会でうまくいっている人いますね。
相手に合わせるというのは
相手の言動やしぐさなどを鏡のようにミラーのようにマネることで、
相手に親近感を持たせたり好感を抱かせる心理テクニックがあるんです。
相手に合わせて自分の表の顔と裏の顔がぐるぐる変わっていく。
これはまさにロールシャッハという心理実験そのもの。
2つ折りの紙の上にインクを落として広げてできた左右対称の絵がなんに見えるかというロールシャッハ・テストがスイスの精神科医ヘルマン・ロールシャッハによって1921年に考案された。
このウォッチメンで
どこに正義があるのかを求めた
物語の進行役は『ロールシャッハ』という名前であり、そのマスクは常に黒い模様が変化しているマスクをかぶっている。
争いがなぜ起こるのか?
ペルソナという表の顔が許す正義
とシャドーという裏の顔が許さない正義
二律背反の正義。
だから他の人間を下に置いてしまう。
もうそんな時代ではないはずだ。
同じ人間同士で上下関係を作っているほどダサいことはない。
争いをなくすには?
わかりません。
わかりませんけどブルーハーツはこう言っていました。
答えはきっと奥の方 心のずっと奥の方
花瓶に水をあげましょう 心のずっと奥の方