アイカツ!10th STORY ~未来へのSTARWAY~感想 卒業する、大人になる、私はそれを見る。素敵な映画でした。
この記事は公開中の映画「アイカツ!10th STORY ~未来へのSTARWAY~」のネタバレを、極力控えてはおりますが、多少含みます。
僕とアイカツの関わりの説明
自分は2019年の元号変わり目ぐらいにキンプリに遭遇して以来、プリティーシリーズを全話見て、昨年はプリパラシリーズのメインキャストであったi☆Risさんのライブを見に行ったり、シリーズ全体のリアルステージであるプリティーライブに現地させて頂いたりしてるような人間なのであるが、
軽く調べてみたら2021年の2月ごろ(多分普通にプリティーシリーズ現行放送に追いついて、おしゃまトリックスのCGライブが放送された事に色めき立ってたような頃だと思う)にアイカツも見てみるかと見始めたらしく、自分の感想を見るに、都度「ああ、凄くいい」「ミラーインするときの演出と音楽、泣いてしまう」と大変に刺さっていたようで、その後幾らかのお休み期間を挟みながらも、まぁボチボチと1期2期、劇場版、3期、劇場版、4期、劇場版の短編、と進んで、ようやく今回の映画を公開翌日に見るに至った次第。
(2022年8月3日に劇場版アイカツプラネットを、まさしく今回の映画の先行上映分を目的に見に行って、劇場でカレンダーガール聴いてゲロ泣きしてたのもある)
で、まぁ、実際にアイカツ!初代無印版4期178話を全部見て、その上で今回の10周年劇場版映画を観る事が出来たんであるが、まぁ本当に素晴らしかった。
映画の感想というか思ったこと
星宮いちご世代がスターライト学園を卒業するというので、「みんなで卒業ライブしようよ!」となる予告、および劇場版アイカツプラネット併映版での宣言があったので、てっきりみんなで代表曲を1時間半やり続けるみたいなお祭りムービーなのかな?と思っていたんだけども、それは綺麗に裏切られた。
そこに映るのは、
・卒業……学校というレールやガイドを離れるにあたって、一人の大人としてどう歩むか
・一人の大人としての仕事への向き合い方
・大人になってゆく、なっている、それぞれのキャラの提示。「他人同士の大人」として、それを傍観する事
などを表現するための、結構ソリッドな、感情を想起させる訥々とした映像であり、決して楽しい楽しい、斧振りかざし、崖攀じ登るアイカツ!のパブリックイメージ(どんなだよって思うけど、まぁそうだから仕方ない)はかなり控えめで、
アイカツ!の主人公グループであるソレイユの3人はそれぞれに「大人」として「一人の対等な仕事をする人」として描かれる。そこには緊迫感がちゃんと表現されている。
(スターライト学園での星宮いちご、或いは同世代のアイドル達は、仕事の現場でも笑顔の大人たちに見守られ、厳しい事もあるが、基本的には守られながら仕事、アイドル活動をこなすのであるが、この映画では星宮いちごや紫吹蘭の周りの大人は意見をぶつけ合うし、決して2人に対して気を遣った笑顔を振りまかない。一人の仕事相手として意見を問い、また、アイドル側の意見を待つ間も、大人としての仕事を、プロである星宮いちごにどう受け止められるか、真剣な、対等に不安な表情で、待っている。これは、マジの、お客様でも何でもない、仕事だし、その時星宮いちご達は大人の一人だ)
自分は結構お祭りを期待してしまっていた事に途中で気づかされ、1~3部構成(だと思う)の2部途中まで結構ドキドキしていたんであるが、この構成というか、見せ方……
「星宮いちご達は学園を卒業し、自らの意志で自らの仕事、場所で歩いていく、一人の大人である。それを、見せられている」
というのは、とても良い。と思った。
何故というに、大人というのは、おそらくだが、見ている目の前で「今!」大人になる。みたいな瞬間はなかなか見れなくて、勿論そうした覚悟の瞬間を切り取るのも表現だけど、「ちょっと見ない間に、大人になっていた」のを、感じる。というのもまた、大人になった事を知る、ごくありふれた、本当にこうした事の方が多いと言える、シチュエーションで、この映画は見事にそれを追体験させてくれるのだ。
映画を観ている間、アイカツ!の世界にワクワクして浮ついている自分も、映画が進む中で「これは……仕事だ」と思い背筋が伸びるようであった。そうした仕事の場所にいて、実際に仕事をしている人たちに伍しているソレイユの皆は、大人で、そうか、これが大人になる……なった。という事、また、保護され見守られる子供からの卒業、でもある訳か。と、感慨深い気持ちにさせられる。こうした「実際に自分がそれを見たわけではないのに」そういう気持ちにさせる映画というのはなかなかないし、それは10年(私の場合は1年半で4年分を巻いてみているのでもうちょい違うのだけども)という時を経たコンテンツの総決算的な映画だから出来る表現ともいえると思う。(普通の映画では細かく説明や表現が必要な部分を、既知の事、既に得ている個人ごとの感情や感覚に任せる事で省略出来ている。とも言えるという事)
2部の大人表現は多少嫌な人も居るかな。とは思ってみていたが、まぁこういうのもあるだろうという事で、多くは説明しない。が、これもまた「彼女らは彼女らで、(見ているあなた達が時を過ごしたように)時を経て大人になり、こうした事をするようになっているのです」という表現だと俺は受け取った。それにしても、量が多いとは思ったがw
何よりも、眼の前のアイカツが、今までの自分たちが認識してるアイカツ世界から(大人になる表現を通じて、さながら紫吹蘭が何川氏に要求される守破離のように)離れていっている。この表現。
これが、終わりを予感している自分に効く。
当然見てる側の感情として終わりの予感は(納得せざるを得ないながらも)不安なんだけど、その都度
「未来がどうなるのかはわからない。でも、ここまで来ることは出来た」
という、穏やかじゃない、素晴らしいメッセージにより、「そうだよな。ここまではきた」と、これまでとこれからのアイカツというコンテンツの在り様、引いては、アイカツを見ている自分の人生そのもの、全ての「ここまでこれた、この映画を今見ているあなたのこれまで、そして今」と「これからどうなるのかわかんねぇ、未来」を、肯定してくれてることに気づき、深いあたたかさのようなもんを腹の奥に感じもするのだ……
2部ねぇ、凄いすよ……ホントに……
で、3部で、いよいよライブが始まる。
ライブは、まぁ本当にどれも良かった。最高だった。
神崎美月というリングの亡霊、猪木への手向け
アイカツ!は神崎美月というアントニオ猪木を中心に星宮いちご、そして星宮いちごに憧れる大空あかりに闘魂伝承……つまりSHINING LINE*していく話なんだ!というのは恐らく自分に限らず喝破され、認識もある程度は共通している事だと思うのであるが、アイカツ2期~3期を見た人は理解ると思うけども、神崎美月はまさしくリング上での死に場所を失ったアントニオ猪木であった。それが本当に気がかりだったけど、今回の映画はすべてをキッチリ終わらせるという強い意志があるのか、神崎美月にキッチリと輝く場所を用意してあげていたのがまた、涙を誘った。Signalizeだ!!!!!!!
(アイカツ一期だったかで星宮いちごの弟のらいちがSignalizeだ!って走るところがあるんだけど、アレ、プリパラで言うところのチェンマイ来た~!とかHAPPYぱLUCKY大好き!とか、Realize!を決戦前にライブした時の「あたしこの曲大好き」に通じてて、なんかね、そういうの無いですか?イントロが来た段階で、うおーーーー!!!ってなる感じ。ああもう、最高だった)
そんでまぁ、実に美麗な、最高のライブが繰り広げられ、星宮いちご達、アイカツのアイドル達が、大人になった事を見届けて、エンディング。
その表現も本当に泣いてしまう感じで(とっくに泣いているので俺の蛇口は壊れているから泣いてしまう感じじゃなくて引き続き泣いてるだけである)、ああ、これは本当に旅の終わりというか、なんか、うん、ホントに終わるんだな……となったところで、映像としての表現が終わり、スタッフロール。
そこで流れてきた曲で、もう本当に、最後のひと搾り。
アイカツ!は、これだ。
アイカツ!は、憧れと継承、憧れで踏み出した一歩、そこで輝く姿が、また憧れを呼ぶ。憧れられた実感に責任が生まれ、背筋を伸ばし、誇り高く、大志を抱く。
闘魂継承、SHINING LINE*
(これも2期、通算101話目の「憧れのSHINING LINE*」がなぁ、もう……あの、ありがとうございます……)
とにかく、そうなんだよ~~!!!!
アイカツ!は石濱さん楽曲があるんだよ~!!!!
寧ろそっちがすげぇんだよ……!!!!!ありがとうッ!!!
と眼鏡をガチ目にびしゃびしゃにして映画は終わり、場内が明るくなる。
俺は、来場者特典のぽわぽわプリリンのフィルムを確認し、映画館を去る。
アウトロが終わると
イントロが流れてくる
次の曲へ
上記はアイカツ!4期の次作アイカツスターズのエンディングテーマ。その頃はアイカツ!が終わったらアイカツスターズが始まる。という含意もあったろうけど、今となっては、アイカツ!というコンテンツの公式供給がほぼこれで終わる。というアウトロに対して、しかし、人生は続く。アイカツ!が供給されない人生というイントロが流れてきている。次の曲へ。(歩き出せ!)とも聞こえてしまう。
はぁ~、エモ……(語彙の喪失)
これが、石濱翔さん、只野菜摘さんの仕事なんやなぁ……
(↓このタッグの仕事に大やられして書いた文章)
劇場でこれらの映像、曲を聞けるのは今日を含めてあと一週間です。イベント割は終わってしまいましたが、それでも普通に見てみるべき映画だと、大人になる、卒業する、それを見る、感じる。誰かの青春の一つのフェーズが終わるのを見て、次、未来へと歩いていく歩いている様を見る。
そうした経験はなかなか出来ないと思います。
明日でも、土日でも、平日の夜でも、とにかく一回でもアイカツ見た事あったり、或いは全くなくても、卒業とか大人になる(なっている)のを見てみたい人などは、劇場に足を運ばれたらいかがでしょうか。
それでは!
(遅ればせながらアイカツスターズも見てるけど、めっちゃ可愛いし、オープニングのスタートライン、めちゃくちゃいい曲じゃないですか?凄いよね。泣いちゃう:あと、Aメロの音が低い!)
きらめきの数だけ 誰もがアイドル
誇り高く麗しく 大志を抱け
スタートライン!
とにかく、人はいつでも自分のいるところ、生活というステージの中で、自分の在るように生きていく。自分に自分を誇る為、易きに流れないよう踏ん張ってる。
それだってきっとアイドル活動だ。
麗しくはなくても、誇り高く、自らに恥じず、
生きていこう!
ショアッ!!!!
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