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2001年宇宙の旅

1968年に公開された2001年宇宙の旅を、Amazon Primeで見た。2001年は23年前だが、1968年はもう56年前だ。アポロ計画で人類が月面に到達する前年に公開されたこの映画であるが、当然のことながら2001年を23年前に経験している私達にとっては、ツッコミどころが数多くあるが、そもそも50になった今、未だにこの映画を自分は見ていなかったんだな、と思いながらも見ていた。

未来を描いた割に、芸術的な価値の高さで評価を受けている本作であるが、それは確かに感じた。芸術を解さない私にとって、冗長だと思うことが多かったからだ。芸術に対して冗長などと言う下卑な単語を使うのも、良くないと思うけども。

最終的に何が言いたかったのかも、全く以て分からない。取り敢えず、以下箇条書きのような感じで、キューブリックというか、原作者のSF作家であるアーサー・クラークの描いた「2001年」の突っ込みどころを、各々列記してみたい。

パンナム
地球と宇宙ステーション、ならびに月の間の旅客便を担っているのが、パンアメリカン航空である。公開当時は世界で最も有名な航空会社だったと思うが、1991年に破産して、消滅している。あと10年生き長らえれば、2001年にも存続していたはずだが、当然ながら月面どころか宇宙ステーションとの間の交通を、2001年段階ではいかなる企業も担えていなかった。あと何年掛かるか分からないが、これに近い位置にいるのがイーロンマスクのスペースXとかかも。

ソ連
第1部の主人公とも言える米国人のフロイド博士は、宇宙ステーションに到着してまもなく、他国の科学者と話をするが、それがソ連の科学者である。当時、ソ連は米国と宇宙開発の覇を競っている段階であり、むしろソ連が先行しているような状況でもあった。ソ連はパンナムが消滅した3週間後、1991年12月25日に、完全に消滅した。パンナムにしてもソ連にしても、1968年の人たちが23年後に消滅するとは、思ってもみなかったと思うが、私は映画を見ながら、アメリカは残ってるなあ、と何となく思った。

宇宙ステーション
これは現在運用中の国際宇宙ステーションを始め、実現はしているが、これまで実現したものは、地球からかなり近い周回軌道上にある。本作で描かれているような、月との中間地点にある感じでも無ければ、カジュアルな状況には到底無い。ただ、後の重力の所でも述べるが、重力を発生させる仕組みはこうか、と思わせる設備はある。

Intermission
久しぶりに聞いた。やや長い映画なので、ここでトイレ休憩が入るかのごとく、Intermissionと出て、邦訳で「休憩」と出た。そう言えば言ってたわ、インタミ。

宇宙空間における重力の発生
構造物が円形もしくは球形の状態で、回転させることで遠心力を発生させることで、重力を発生させている。地球と同じ重力を発生させるには、それなりの回転数でないと少し難しいかなと思うが、原理的にはこれで発生することはあるだろう。尚、回転させる前に、物体は全て円周上に接触させておく必要がある。じゃないと、遠心力が伝わらず、空間中を浮遊し続けるぞ。空気圧で多少連動か。

月の重力
地球上の6分の1しか無いので、地球上と同じように歩行するわけにもいかんと思うが、作中では同じように歩行がされている。公開時は1969年のアポロ11号による人類月面到達前年ではあるが、分かっていなかったわけじゃ無いとは思う。ここでピョンピョン跳ねる感じの、実際に起き得るムーブは、協議の末やらなかったのかも知れない。

宇宙服
この手のツッコミで多い「宇宙服」であるが、これがスペースXのロケットの乗員が着るデザインに似ている。イーロンマスクは、2001年宇宙の旅を見ていて、ずっとこのデザインにしようと思っていたのだろうか…。

タブレット式端末
画面は暗い(LEDのように明るくない)が、後半の木星へ向かうディスカバリー号の乗員が、タブレット端末を見ているシーンがある。これは凄いなあ。どう言う発想でこれに至ったのか。画像映写はそれなりの嵩が無いと出来ないと言う、当時一般人が持っていた常識と逸脱している。未来ならこの位あるだろう、と言う認識だったんだろうか。青色発光ダイオードが日本人の物理学者達に発明され、実用化されたのは、映画の上映から21年後の、1989年である。

AI
まだ人工知能、Artificial Intelligenceと言う言葉が無かった時代かと思ったが、人工知能であるHAL9000が稼働しており、ディスカバリー号の全ての制御を担当している。HALの外観は古くさいが、後に任務との葛藤で悩み、人間を相手に暴走を始めてしまうが、機械と人類の争いというのは、当時から問題視されていたことなのかも知れない。機械と人類の争いは、その後少しずつ顕在化し、実際に無くなった仕事も結構あるが、今後はどうなるか。

以上、崇高な芸術性についての解釈は全然出来なかったものの、過去に作られた未来モノの答え合わせを、未来になってやると言うのは、結構面白いと思う。

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