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360度多面評価を病院・介護施設の人事マネジメントに導入する意味



最近、そういえばと思い出したのですが、私が老健施設に勤めていた、15,6年前でしょうか、当時の事務長が進んだ考えの方で、その時に「360度評価」をした(された)記憶があります。もちろん、集約は紙ベースででした(この時は無記名だったか)。多分、介護施設ででは日本でもかなり早かったのでは、と思います。


こんにちは、ALTURAの鯨岡エーイチです。

▼プロフィール
鯨岡栄一郎  (Twitter: @anicoach
ALTURA Inc. オンライン事業部  MENOVASアクセラ代表
(株)メディケアソリューション代表取締役  理学療法士 コーチ  
老健施設長を4年経験  書籍「認知症コーチング」など3冊執筆


この医療介護業界でも急速にDX化が進み、また働き方改革が推進される中、最近また360度評価が話題に上るようになりました。貴施設ではいかがでしょうか?

360度評価とは、自分の周りにいる上司、同僚、部下の3方向から評価を受ける(また自分も行う)手法です。


事務長さんや人事部においても、やはり重要視しているのは、いかに客観的で適正な評価か、そして公平感をもって給与に反映できるか、という点でしょう。


果たして本当に導入すべきなのでしょうか?



導入のメリット・デメリット


導入のメリットとしては、

・客観性かつ具体的な評価ができる
・一方向では見えなかった点の発見
・当事者意識が高まる
・評価に納得できる


一方、デメリットとしては、

・同僚や部下に対して厳しく接することが出来なくなる
・社員同士の談合など、不正が発生する可能性がある
・評価にバラつきが出る(主観が入り込む)

などが挙げられます。



施設ヒアリングにてよく聞くのですが、導入することでかえってモチベーションが下がるのではないか。上司部下の関係性が悪くなるのではないか、との懸念から、導入に二の足を踏む所も少なくないようです。


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導入の本当に意図とは


まずは導入の際に、きちんと意図を説明する必要があります。それは、より公正な評価と、何よりスタッフのモチベーションUPのためです。


360度評価をMSF(Multi Source Feedback)と言ったりするぐらい、この評価の本質は、適切なフィードバックにあります。単なる批判や未達の指摘ではなく、承認の意を込めたメッセージなのです。なぜなら、人は、伝えて、伝えられて初めて自分の状態に気づくものだからです。


このプロセスを通じて、個々の成長に繋がり、職場へのエンゲージ(愛着,思い入れ)を高めて行きたい、というのが狙いです。



医療の現場にて


事例としては、

茨城県の友愛記念病院様では、医師の評価を「上司」「患者さん」「看護職」「コメディカル」「事務職」の5方向から(!)の多面評価をかなり以前から導入されてますし、


小児科専門医の研修課程では、360度評価が義務付けられているほどです。


高橋は、医師のプロフェッショナル教育におけるP-MEXと呼ばれる360度評価の有用性ならびに適切なフィードバックの重要性を指摘しています。
プロフェッショナリズム教育における評価ツールの活用 高橋理



体験して感じること


私自身もALTURA社内で行ってますが、評価が届いた時は今も一瞬緊張が走りますし笑、ただ、肯定的な言葉で伝えてくれるというのは、単純に嬉しいものですよね。そうやって見てくれてるんだな、と。改善点・良好な点、何より求められている点が知れるのが大きいです。


役職者でない方にとっても、評価者に回るということは、観察の視点やフィードバックがとても鍛えられますし、自らの行動を律する絶好の機会となります。


ただ、これを上手く回すには、「手軽さ」は外せないポイントだと思います。これを紙で行おうと知れば、必然的に、えらく煩雑な作業になりますからね。この集約作業に忙殺されて運用に時間がかかっては本末転倒です。



そしてこれに加えて、PX(患者経験価値)評価が加わると、さらにそのスタッフの現場での真の姿を多面的にかつより実情に基づいた評価に繋がるのではないでしょうか。



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