8 自由の羽をとりもどせ
長い冬を終えて、マウイへ戻ってきた。
その年はカナダでウィンターオリンピックがあった。長いスランプを乗り越えて、あのスーパーウーマンはメダルを2つとった。
私達は世界中の祝福を浴び、歓喜の頂点にいた。
アドレナリンが体全身を駆け抜けたのは、自分がオリンピックの舞台に立った1998年以来だろう。
若かったあの時は極度の緊張で自分の世界は米粒のようだったけれど、このバンクーバーでは、私はカナダの雄大な自然と、ウィンタースポーツを愛する人々、オリンピックを愛する人々のエネルギーをバックアップにし、彼女をスタートから真っ白いピステへ送り出した。
私は、彼女と共に、あの自由な感覚を取り戻そうとしていた。
自然体。
そこから、奏でる心技体。
見事だった。
全てが綺麗に終わったのだ。
彼女はあの大きな、大きな自由の羽を取り戻し2つのメダルを獲得した。
私は、その全ての舞台裏を誰よりも近くで眺めた証人。
ペガサスのような大きな羽。
西海岸を飛び立った飛行機はマウイ島に着陸する。
荷物を取り、バゲージクライムの外でに出た目の前の椰子の木が風に揺れ、その風が私の耳に囁いた。
「It is girl.」
「女の子だよ。」
私は周りを見回した。 誰?
私の周りを歩いて過ぎていく人は誰も私のことを気にしていない。
あー。気のせいか。
長い、長い3年間のサポートが終わった私は満たされていた。
「石の上にも3年。3年やったら、何か答えが見えてくるよ。」そんな父の教えを思い出させる。
3年やり遂げた私は、どっしりとした心地良い疲労で、何か不思議な声が聞こえたのだろうぐらいに思っていた。
その時は復活したあの美しいペガサスの羽に酔いしれていたから。
この物語は2020年5月の新月から描き始めました。9月までには終わることになります。もしかすると、もっと早く書き上げるかもしれません。もし、この物語の途中でこの物語に出会ったら、そこから読み続けてくれることもいいかもしれません。もしかすると、1、から読んでもらうのも良いかもしれません。
「貴方に平和の国からのメッセージが届くことを祈って。」わこ
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