15 7月4日
私は、雪のないマウイ島へやってきて、すぐに主人となるドイツ人の男性に出会った。
意気投合し、何時間も私たちは語り合った。
このハワイをこよなく愛する彼を眺めながら、半ば信じられない不思議な感覚を抱き続けていた。
この太平洋の真ん中に浮かぶようにあるハワイに私はさほどの魅力を感じていない。雪の降らないハワイは私にとっては縁とは程遠いものがあるように思っていた。
そんな私に彼は、喧嘩をすると甘い香りのプルメリアをティッシュの箱の横に置いてくれた。
涙を拭くためにティッシュを使う事を想定したように。そのプルメリアが「ごめんね。」と言っているように。
私はプルメリアを眺めて、なんだかキュンと胸がうずく。
そして、そのプルメリアを手に取り、また涙が流れた。
こんな風に誰かに接してもらったことがあっただろうか。
その彼と私は7月4日、アメリカの独立記念日に結婚した。式は小さなビーチで、ハワイアンの友人が取り仕切ってくれた。友人がウェディングレイを持ってきてくれ、ビーチには薔薇の花びらが巻かれた。$40のセールで買った白いワンピースが私のウェディングドレス。
ビーチへ向かう途中に車を止めて、プルメリアの花を木から数個拝借し髪に飾った。
式の初めに、ハワイアンのカフナはコーンシェルを3回響き渡らせた。
1回目はこの地、大いなるものへ
2回目はご先祖様へ
3回目は今この場にいない、家族、友達へ
私はその響きを聞いて、急に喜びで心は満ちてきた私は横に居る主人を見た。すると彼はポロポロと男泣きに涙を流していた。それを見て、私も涙が溢れてきた。
想像もしていなかった結婚式。
私たちはハワイで「再会」したようだ。
その10年後、私たちはその場所からずっと上がった、カホオラべ島と結ぶ雨の祭壇で10周年を祝福した。
私たちの横には9歳になる娘が一緒に。