7 WELCOME HOME
「おかえりなさい!」
「ウェルカムホーム!」
「おかえりなさい、おかえりなさい。」
遠くから、太い、その慎ましい声で、「おかえり。」と言われて、涙が溢れてきた。「ただいま。」私は小さな声で返した。
それは。海面の底がビルのように何層にもなっているかのように思えた。
目の前は、マウイ島の海底となった神殿。
それは、子供を産んで数年経った頃。友人が連れてきてくれた場所はそこがかつてマウイ島の入り口であった場所。
エントランスのゲート
その前にたって、目を閉じてみた。波の音。風の音。それしか聞こえないその場所に立ち尽くした。なのに、聞こえて来た。
人々は、私の帰還を歓喜で迎えてくれた。それは、とても大きな、温かい空間だった。波が私を抱擁し、風は私の頬にキスをした。
そこで私はやっと気がついた。「私はマウイへ帰ってきたのだ。」と。
私はみんなの喜びだった。
マウイに来て、はじめて私は安心と言う、温もりに触れた。
白い雪山が私の営みの場所だとばかり思っていたけれど、そうじゃない。雪山での出来事は全ての物語の序調。
前書き。
「なぜ?」
「なぜ?」
その時はまだ分からなかった。
ただ、分かったことは私はこのマウイ島に帰ってきたと言うこと。
遠い昔の約束を守るために。
遠い昔の私が、未来の私に約束したこと。
やっと、その時が来たのだ。
2020年パンデミック。それをめがけて。
この物語は2020年5月の新月から描き始めました。9月までには終わることになります。もしかすると、もっと早く書き上げるかもしれません。もし、この物語の途中でこの物語に出会ったら、そこから読み続けてくれることもいいかもしれません。もしかすると、1、から読んでもらうのも良いかもしれません。
「貴方に平和の国からのメッセージが届くことを祈って。」わこ
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