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慢性の鼻詰まりの猫さん
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少し前に慢性の鼻詰まりで呼吸が苦しそうということで主治医の先生の紹介で来院された猫さん。
本当に苦しそうで、少しぼーっとしていて、食欲も落ちているということでした。
猫でこのような症状の時、風邪としてずっと治療されている場合も多いのですが、実際は風邪以外に別の病気が隠れていることも少なくありません。
鼻の中の腫瘍や鼻咽頭狭窄などがあることも少なくありません。
通常はまずCT検査で腫瘍がないかなどの確認をします。CT検査の時点で鼻咽頭狭窄が見つかることもあるのですが、CTだけだとわかりにくい場合も多いので、CT検査で腫瘍が否定的な場合、内視鏡を入れて鼻腔内を確認します。
この紹介の猫さんの内視鏡検査の画像です。
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この画像の中心にある穴のようなものが、鼻腔内の空気の通り道で、見た目だとよくわからないと思うのですが、この穴のサイズは2mmくらいしかありません。
こんな小さな穴から呼吸してるんですから苦しいはずですよね。
治療にはこの細い穴にガイドワイヤーという細くて柔らかいワイヤーを通し、そのガイドワイヤーを使って拡張バルーンカテーテルをその鼻咽頭部の狭窄した細い穴に通していき、そこで拡張バルーンを膨らませて、この狭窄した穴を拡げていきます。
多くの場合数回の拡張が必要になります。
この子は結局3回拡張して終了しました。
呼吸も非常に楽になって、すごく元気でスリスリしてくれるようになりました。飼い主さんにも喜んでいただけて本当に良かったです。
主治医の先生がただの風邪だと思って薬の治療だけをしていたら、きっと診断される事なくずっと苦しい生活をしていたと思います。
この猫さんの主治医の先生は猫のこのような病態がある事を知っていて、検査をすすめてくれたおかげで、この猫さんは呼吸が苦しい状態から回復することができました。
風邪が治らないな〜とか、鼻がずっと詰まってるな〜って思われていたら、ぜひ主治医の先生に相談してみて下さい。