見出し画像

私のことが世界で一番好きだと言うカレのこと


昔むかし独眼竜のお殿様が治めていた街で、2人の男の子を育てています。発達障害のある7歳と、なんでも兄と同じことができると信じている4歳。
かわいくてたまらない、宝物たちです。


コロナの休日が明ける。 

3月から始まり土日を入れて92日間にもなった“ロングロング春休み”が、やっと終わります。
私は“コロナの休日“(時々略してコロキュー)と呼んでいました。臨時休校と呼ぶよりなんとなく優雅だな、オードリーヘップバーンっぽいな、と思っていたものの、気恥ずかしくてあまり人前で使うことはできませんでしたが。

明日から、日中はなんと私ひとり。
ついに、次男が幼稚園に通うのです…!!


「おかあさんだいすき」

次男は私のことが大好きです。
ちなみに、オットのことは“ちゅうすき”、兄のことは“こすき”だと言っています。
発達障害のあるゆっくりさんな長男と真逆で、何でも早い器用な子。つい上と比べてしまうから、私たち親は天才なんじゃないかと思っています。

「おかあさん、手をつなご」と、1日に何度も、家の中でも手を握る次男。
「お化粧しないでね。お顔にすりすりしたいから」とほっぺを擦り付けてくる次男。
「ちゅーしよ」「ギューしよ」と隙あらば寄ってきて濃厚にスキンシップをしていく次男。
「おかあさんかわいい」「おかあさんの◯◯が好き」と、息を吐くように甘い言葉ををささやく次男。

私の人生で、こんなに熱烈に愛情表現をされた記憶は他にないので、本当に嬉しくてありがたい。
そして、寝るときに私の横で寝るために兄と小競り合いをする兄弟を見て、一生味わうことはないと思っていた感覚を知るのです。
「私のためにケンカしないで」
…この言葉が頭に浮かび、暗い部屋の中でニヤニヤせずにはいられなかったモテた経験のない私。
まさかこんな立派なおばさんになって、若い男に取り合われるとは…ありがたやありがたや。


これが最後なのかもしれないな。

先週の金曜日の午後、おやつを食べる子供たちを見ながら、ふと思いました。
今週がコロキュー最後ということは、こうして次男と過ごす平日は、もう今日が最後かもしれないんだ。

なんだか急にこの時間がもったいなく思えて、何かボーイズにとって思い出になることをしなければ…と、大急ぎで準備して動物園に行きました。
もうお日様は西に傾いていて、動物たちもそれぞれの飼育舎に戻り始める時間帯だったのですが、少し長く伸びた子供たちの影がなんだか濃くて…手をつなぐ兄弟2人の影を見ながら、大きくなったんだなと感慨深くなりました。

ボーイズにとって思い出になることを、と思って行ったはずなのに、あの日の動物園を一番はっきり覚えているのはきっと私なんだろうな。
子供の成長は、嬉しくて幸せで、ちょっぴり切ないのです。


新しい世界で広がる、“好き”の気持ち。

明日から次男は幼稚園に通い、新しい環境に飛び込みます。先生方やお友達に出会い、仲良くできたり喧嘩したり、いろんな感情を味わうことになるでしょう。
「おかあさんだいすき」と言ったその口から、「◯◯先生が大好き」「◯◯ちゃんが大好き」とたくさんの名前が挙がることでしょう。
私は、いつの日か“だいすきピラミッド”のてっぺんからズルズルと順位を下げていくことになると思うけれど、きっとそれは幸せなことなんだろうなと思うのです。
…ちょっと、やきもちを焼くかもしれないけど。

新しいことに出会って、楽しい、大好き、と思えるって、本当に素晴らしいことだと思います。4歳の子供にとっては、それらは全て初めてのこと。初めてのドキドキと共に、たくさんの大好きを経験して欲しいなぁ。母の心からの願いです。


“だっこひゃっかい”

かわいいかわいい赤ちゃんだった次男が、ついに一人で通園バスに乗り込みます。
私は、ボーイズ2人をそれぞれ見送った後、シーンと静まりかえった家に一人戻ります。
きっとその静けさの中で思うのは、ついさっき見送った子供たちのことでしょう。

おやつよりおもちゃより、“抱っこ100回”が一番のご褒美だと思っている次男。
明日の初登園、どんな顔で帰ってくるでしょうか。(私は泣かずに見送れるのでしょうか)

がんばれ、次男。
少しコロナに待たされたけれど、明日から始まる3年間はきっと最高に楽しい毎日になる。
どんなことがあっても、お母さんは“抱っこ100回”の準備をして、いつでも待っているからね。

さぁ、いってらっしゃい!

いいなと思ったら応援しよう!