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10周年
1月。
気が付いたら日本語教師になって10年経っていた。
一つの仕事を、
生活の大きな割合を占める仕事をこれだけ続けたのは初めてだ。
すごい!自分!
と言ってあげたい。
ただ、感覚としては「気が付いたら10年経っていた」という感じで
続けたことよりも、10年の感覚がないことに驚く。
その間に2011年の大地震で留学生が激減し
非常勤だった私は前の学校で仕事がなくなってしまったり
病気の父の自宅介護をすることになったりと
色々なことがあったが、
学校に居た時間を振り返ると本当にあっという間だった。
まだ教師を始めてそれほど経っていない頃、
私はまだ日本語教師の楽しさには気づいていなかった。
ただ、目の前にある仕事をする、という気持ちだったのだと思う。
漠然と「1,2年で別の仕事に転職するかもしれない」という考えも頭のどこかにあった。
ある日、学校の全体会議があり全員が「今年の抱負」を一言ずつ話した。
先輩の非常勤の先生が
「『石の上にも三年』という気持ちでまずは3年やってみよう、と思いながらこの仕事を続けてきましたが、気が付いたら4年経っていました」という話をした。
それを聞いたとき、「あ、私もまずは3年やってみよう」と思った。
不思議と、そこからの時間はあっという間で
「自分がどういう教え方をしたいか」とか
「どうすればもっといい方法があるのか」とか
そういうことを意識し始めるようになった。
それから何年も経ち、昨年のことだった。
例の先輩の先生と、私と同期の先生と話していたときのこと。
同期の先生が
「私、〇〇先生が『石の上にも3年という気持ちでやってみた』っていう話を聞いて、まずは3年続けたの。それで気が付いたらもうこんなに経ってたんですよ~」と言った。
私と同じ話を聞いて、その言葉を心の中に持ち続けていたのである。
その言葉を聞かなかったら、今頃は別の世界にいたかもしれない。
日本語教師をやっていて「よかった」と思える場面に遭遇すると、この話を思い出す。
出だしでそういう言葉に、そういう人たちに出会えてよかったな。
私が続けてこられたのは、この職場だから、というのも大きい。
今の仕事を「忙しい」と思うことはあっても、
「大変だ」と思ったことはない。
また明日も楽しみましょう。
そうして新たな一年へ。