ああ、今日も泣きそうだ　#10：チャンピョン

明けましておめでとうございます。

お年玉をもらった人もいるだろうし、渡した人もいるだろうね。ちなみに私は渡す方です。泣きそうだ。

初詣には行きましたか。私は帰省した折、門戸厄神という地元のお寺に行きました。日本三体厄神のうちの一つで、あらゆる災厄を打ち払うという厄神明王が有名です。寺社仏閣の中では大手感があり、多くの参拝客で賑わっています。本殿と大黒天にお参りしてきました。

お参りするにあたって、僭越ながらお願い申し上げ、おみくじを引いてまいりました。お願いは、昨年のお礼と今年の無事を申し上げました。

おみくじは「吉」なので、まあまあですかね。家族4人で引いて、私だけ「吉」で、他の3人は「大吉」でした。嬉しいのは嬉しいのですが、こういう出目であると大吉の割合はいくつなのかを知りたくなってくる。

昔は「大吉」は本当に少数だったようです。おそらく昭和以前の頃ね。「大吉」はもちろん喜ばれるが、「吉」は何事も変わりがないということで、とても人気があったそうだ。そういうところは当時の国民性をよく表していると思う。

会社のいうことを聞いていれば、人生の大半は無事でいられるとか、面白くもない仕事をしながら、当時のお父さんはそう思っていたんだろう。定年（昔は55歳が多かった）で、先行きが見えているので、その先はさらに平（ひら）に暮らしたい。

わからないでもないが、昔と比べて今は何が違うかといえば、年とっていく自分が元気なんだよなぁ。これは悲しい。年末、高校の同級生と久しぶりに会ったが、一旦、定年が伸びたりはするが、役職を放棄して昔の給与の70%とかで再契約だそうだ。年を取ってその仕事はもう自分の仕事ではないということなんだよね。

老いはまだ始まっていない。多少の物忘れが発生しているだけだ。その幅が、日に日に大きくなる。
「あれ、何だっけ？」「もうここまで出てきてる」とか頻繁に言い出したら、もう自分の好きなことだけをして生きていこうと思う。

しかし、私はよくよく考えると好きなことしかしていないような気がする。必要とされなくなるまで、立ち続けるのだ。それはチャンピオンの宿命だ。老いたらみんなチャンピオン。

ああ、今日も泣きそうだ

アロハラボラトリー代表の篠原が毎週メールマガジンに寄稿しているエッセイ「ああ、今日も泣きそうだ」のアーカイブです。