あのブロードウェイで爆睡した少年が15年後に何故エンタメ会社で働いているのか。
今から約15年前の2006年3月の話です。当時高校1年生だった僕はアメリカ合衆国ニューヨーク州のブロードウェイに居ました。
僕が通っていた高校に短期ホームステイプログラムがあり、姉妹提携校に向かう道中でニューヨークを経由したわけなんです。
「アイオワに移動する前にニューヨークで1泊出来ます!ブロードウェイでライオンキングを観に行きましょう!」
引率の先生が興奮していたのを今でも覚えています。高校生の僕らは友達と飛行機に乗るだけで大興奮。そして行き先がニューヨーク。もうこれだけで十分なんです。ニューヨークの夜のライオンキングはあくまでも「おまけ」に過ぎなかったんです。
先生大興奮。ライオンキングが開演
先生が楽しみにしていた「The Lion King」が開演します。ライオンキングの鑑賞を楽しみにニューヨークに来ていればそりゃワクワクしますが、当時芸術等にほとんど関心のない15歳の僕にとっては退屈でした(今だったら大興奮ですね。先生のあの時の気持ちが分かります)。それに、日本とニューヨークの時差は14時間。強烈な時差ボケが発生してとにかく眠いんです。もう鑑賞どころではありません。
それに加え、3月のニューヨークはめちゃくちゃ寒いんです(緯度は青森県と同じぐらいで最低気温はマイナスになることもあります)が、劇場の中はその寒さを忘れるほどぬくぬくしていて温かい。前述した強烈な睡魔で「寝る」という行為に関する準備としては最高の状態だったんです。冒頭の15分ぐらいを死ぬ気で観て、起きたらスタンディングオベーションでした。
1万円以上を支払ってほぼフルで寝てしまいましたが、それでも全然後悔はなくむしろまだ寝たいとしか思っていませんでした。
ミュージカルを経験するも、ハマらなかった僕
それからというものミュージカルとは縁遠い生活を送り、大学2年生で再びミュージカルと出会うわけです(専攻学科の伝統行事として英語劇がありました)。1年間みっちりミュージカルに浸かりましたが、ミュージカル終了後は「普通の大学生」に戻り、演舞側としても観劇側としてもミュージカルにハマりませんでした。ミュージカルに夢中になった学生がどうなったかは前回のnoteをご覧ください。
何故エンタメ会社で働いているのか?不条理な状態を解決したい
今、こうしてエンタメ事業に関連する会社に勤めているということは「エンタメ」の事が好きじゃないと出来ないですよね。エンタメ会社で働き始めたキッカケを書いていきます。
芸術に無関心だった僕が変わったのは妻の影響でした。妻も同じく大学で英語劇を経験し、「妻は」ミュージカルに夢中になりました。
妻の影響で初めて劇団四季の自由劇場を訪れ「Mamma Mia!」を鑑賞し、その魅力にとりつかれ「Hairspray」や「The Greatest Showman」等の映画を観たり、沖縄の劇団も観に行くようになりました(渡辺直美さん主演のヘアスプレー観たかったです・・)。ここで初めて「あ、ミュージカルって面白い」と思うようになりました。
▼【開催中止】渡辺直美主演ミュージカル『ヘアスプレー』「東京建物 ブリリア ホール」&梅田芸術劇場で
https://www.fashion-press.net/news/47980
ここで気が付いたことは、僕にとってのミュージカル等のエンタメは「披露する」ものではなく「鑑賞する」ものでした。昔からお笑いが好きで、M-1グランプリやキングオブコント等の賞レースの当日は育児を放棄してでもテレビの前から動くことが出来ません(もちろん、その時は妻にお願いしています)。「HITOSHI MATSUMOTO Presents ドキュメンタル」も全て観ました(賛否両論ありますが)。暇があれば「探偵ナイトスクープ」を観て、オープニングソングを鼻歌するぐらいお笑いが好きです。
お笑いは僕にとって無くてはならないものであり、友人にもお笑い芸人がいるのでお笑いというエンタメはとても身近な存在です。しかしながら、お笑いの世界、エンターテインメントの世界は「労働」として社会からまだ認められていない気がしています。その友人からも業界の事を聞くことがありますが、「華々しい世界に見える一方で社会的に弱い立場にいる」と感じてしまいます。それはきっとお笑いの世界だけではなく、彼らのようなエンターテイナー全般に共通しており、明らかにおかしな状態が当然のこととして脈々と引き継がれているんです。
私が所属する株式会社レフトステージはその不条理な状態を解決し、今を生きるエンターテイナー、将来のエンターテイナーが自由に伸び伸びと活躍できる場を創っていきたいと考えております。僕がこの会社でこの事業を進めていくことで自分が大好きなお笑いというエンタメはもちろん、僕以外の人たちが愛する他のエンタメを「良い形」として後世に残すことが出来ると思っています。だからエンタメ会社で働くことを決めました。
15年前、ブロードウェイでライオンキングを観ずに眠ってしまった僕ですが、こうして今エンターテインメント業界に携われていることに誇りを感じています。
繰り返しになりますが、今を生きるエンターテイナーを応援したいー。そして彼ら・彼女らが生み出した作品を観てエンターテインメント業界を目指す子どもたちを増やしていきたいー。そう考えています。
最後までお読みいただきありがとうございました。