【ラテンアメリカ旅行 #06】🇦🇷パタゴニア南部の壮大な氷河
ぺリト・モレノ氷河について
エル・チャルテンでトレッキングを楽しみ、再びエル・カラファテに戻った。
ちなみにカラファテとはパタゴニアでよく見るベリー系の果物のこと。よくジャムで売られていたり、パン屋でもカラファテを使ったパンが並んでいる。
今回はぺリト・モレノの氷河の上を歩く体験。その前に少し氷河の説明。
● ぺリト・モレノ氷河ってなに?
パタゴニアのロス・グラシアス国立公園にある大氷河で、風の強さにもよると思うが1日2mほどの速度で動いているという。この氷河はアルヘンティーノ湖というアルゼンチン最大の湖(エル・カラファテの上の青い部分もアルヘンティーノ湖に含まれる)に浮かんでいる。
● ペリート・モレノ氷河の場所
ペリト・モレノ氷河ツアー『Minitrekking Tour to Moreno Glacier』の場所をエルチャルテンからのルートも合わせて共有。実はチリ側で近くまで行った国立公園トーレス・デル・パイネからも割と近いことがわかる。
今回のエル・チャルテンからエル・カラファテ、そしてペリト・モレノ氷河ツアーまでの移動も含め、下の地図で場所を確認いただきたい。
● 氷河が青いのはなぜ?
通常の雪は空気を含んでいて、光が通って白く見える。氷河は雪が圧縮されて固まっているので、空気を含まず光を通さないので湖の色を反射して青く見えるという。なので実際に青いわけではない。
氷河を見て体験してみる
● 氷河に向かう途中
まずはカラファテからバスに乗って氷河の方に移動するのだが、氷河が見えてくると一旦止まって遠目から見る時間をくれた。この時、隣に座っているカナダ人の男性、前に座っていたアルゼンチン人の女性二人と仲良くなり、一緒に行動し始める。
アルゼンチン人の女性にアルゼンチン人の肉の消費量とレストランで野菜が付いてこない件について話すと『ブエノスアイレスでは野菜を食べるのは普通になっているし、ヴィーガンレストランも流行ってるよ』と軽く冗談混じりで怒られる。
ちなみにアルゼンチンの2021年の年間一人当たりの肉の消費量は世界第5位で約115g。日本の2倍くらい。1位は僕の中では意外にも香港で、日本人の3倍近く。
ここで遠目からの氷河の写真を撮り終えると氷河の目の前のビューポイント(写真スポット)に向かう。
このビューポイントからは氷河が実際に崩れ落ちてくる瞬間を見ることができる。数分に一度は落雷のような低い音を立てて崩れ落ちる音が聞こえる。ずっと眺めていると崩れ落ちる瞬間を見ることもできる。『National Geographic』とかで出てきそうな光景だった。
この場所ではコンドルも上を飛んでいて、僕がいた時は最初は1匹だったが、3、4匹に増えて行く。生まれて初めて生で見たコンドルは迫力があり、一瞬遠目からだと小型飛行機のようにも見えた。結構高いところを飛んでいるので肉眼だとよく見えるが、iPhoneのカメラでは捉えるのが難しい。
● 氷河を歩く
ボートを降りたら氷河まで歩いていく。
この時に同じツアーに参加している日本人女性に会い、色々と話す。彼女は韓国在住で教師として働いていて、日本から離れて10年以上になるらしく、すでに南米には何度か来ていたようだ。僕が南米初めてだったので、彼女の話を聞きながら日本にもこんなに自由に自分のライフスタイルや仕事を作って生きている女性がたくさんいるんだろうなと思い印象的だった。自分のライフスタイルを作るのに苦労はするが、地道に自分の道を作っていく人たちの姿を見ていると僕も勇気づけられる。
途中ガイドたちがアイゼン(クランポン)を履かせてくれて、ヘルメットを借りる場所があり、氷河の歩き方も教えてくれる。あとはガイドの指示に従いながら氷河の上を歩き始めるだけ。
すると、おばちゃんが一人転んで滑っている。そして少し滑るとお尻が穴にハマって止まる、という漫画に出てきそうなリアルな光景を見て笑ってしまった。失礼だが細い人だと切れ目だったのでもっと奥の方に落ちてしまいそうな気もした。とにかくアイゼンを履いてても滑り落ちるということだ
自分的にこの氷上を歩くツアーが素晴らしい理由は、標高も低く、アクセスが良く、誰でも手軽に歩けるところ。
(僕は自然界のことについて詳しくは知らないが、氷河は山のもっと深い位置にあったり、このように簡単にアクセスできる場所にはなく、少し離れた場所から眺めるだけになるイメージがあった)
そして氷河の上は非現実世界で多くの人にとって特別な経験になると思う。僕にとっても特別な経験となり、この数ヶ月後にペルーとボリビアで実際に氷河の山を登るきっかけとなった。そして高度循環のためにブラジルの後、ボリビアではなく、ペルーから先に行くことを決める。
氷上を歩いたあとはここの氷を砕いてウイスキーで乾杯させてくれる。
僕はお酒が飲めないので、一口味見して一緒に参加した仲間にあげた。
ツアーはここまで。カラファテの街に戻り、ツアー参加者に気の会う人たちがいたので一緒に夕飯を食べてお別れ。
▽ 今を生きる南米人たち
一緒にご飯を食べたうちの一人、ブエノスアイレス出身の女の子の話が面白かった。
彼女は普段ブエノスアイレスで医師として働き、休暇の際は毎回アルゼンチンを出て他の文化に触れる。この間はグリーンランドに一人で行っていたようだが、本当に頻繁に色々な国を訪れている。
彼女がよく旅行をする理由の一つはアルゼンチンでお金を稼いでも、いつ自国の通貨、アルゼンチンペソに価値がなくなるか分からないので、入ってきたものはすぐに経験に費やすのだそう。もちろん彼女の場合は十分な収入があるのでできることだが、そうでない人も日本のように貯金したりはあまりしないのだそう。または貯金する余裕などなく、その日暮らしの人もたくさんいる。
前にも話したが、このようにアルゼンチン人や他の南米諸国の人たちは自国の通貨、経済状況が不安定で、不信感を持っているせいもあり、未来ではなく、今何ができるかを考え、今に集中して生きている。
ポジティブなところだけを捉えると、まさに僕が求めていた姿だった。
しかし、この先続く旅路で僕もネガティブな部分を次々と見て、経験していくことになる。
今回はここまで。
次はパタゴニア北部に移動。まずはパン職人のJorisに教えてもらったEsquelという小さな街に訪れ、さらに北部の中心の街となるバリローチェに向かう。
今回も一曲、アルゼンチンのとても洗練されたアンサンブル、Puente Celesteの2009年にリリースされたアルバム、「Passando El Mar」から「Estrella Fugaz」。スペイン語で「流れ星」という意味。
このグループの作る曲はラテンアメリカのFolk、Jazz、Tangoなど幅広い音楽に影響を受けているのだそう。