クィンシー前日譚 第59章
【決行】
ルルイエ全体が沈黙した、時刻は午前1時。携帯端末の画面が光った。
『ダナ、パトリ、完全に沈黙』
***
ルイーズ「みんな揃ったわね。ゲートの操作はウルスラにやってもらうから、ダイブするメンバーは全員ゲート前に来て」
舞夜「先頭は私とクィンシー。出来るだけ強く先代の事を想いましょう。面識のあるみんなも、宜しくね」
目を閉じて、師匠の顔、声、繋いだ手の温もり、そのすべてで頭の中をいっぱいにする。意図せず涙が頬を伝った。
ルイーズ「ウルスラ〜、こっちは準備OK。宜しくね〜」
ウルスラ「分かったわよ。ったく、死ぬんじゃないわよ」
ゲートが徐々に開き、光が私達を包み込む。
『師匠、必ず迎えに行きます』
***
、、、
、、、
、、、ここは、、、、、
舞夜「うーん、、、ん?どこ?」
クィンシー「屋外みたいですけど、霧に囲まれて、、、あ!他のみなさんは!?」
舞夜「うそ、こっちに来るときに別の場所に飛ばされたのかしら、、、まずいわね」
やはりゲートの操作はシルヴィがやらないと難しいのか、、、
舞夜「でも、みんな発信機を持ってきたからたぶん大丈夫。早めに合流しましょう。えっと、ここから一番近いメンバーは、、、」
舞夜が携帯端末を確認する。
舞夜「、、、あら?他の皆んなはまとまって同じ場所に飛ばされてるみたいね。私達の想いが強すぎたのかしら、、、」
クィンシー「師匠の最期を看取ったのは私達ですからね。ひょっとしてここが一番師匠に近い場所なのかも、、、」
舞夜「そうなると逆に、私達はここで先代の捜索にあたって、みんながこっちに気付いて合流してくれるのを待つのがいいのかしら」
クィンシー「危険かも知れませんが、こちらの場所を知らせておくために、何か目印になるものを伝えておきたいですね」
いちおう照明弾になる弾丸は持ってきた。これを一発打ち上げておけば恐らく誰かは気が付いてくれるだろう。ただ、同時にヴィジョン達も、、、
舞夜「考えている時間は無いわ。ヴィジョンが集まってくるより先にみんなが来てくれる事を祈りましょう。お願い」
クィンシー「はい!」
リボルバーに一発、照明弾を仕込んで真上に打ち上げた。
照明弾は『パァンッ!』という炸裂音を伴って上空で弾けた。霧の中に小さな太陽のような光が輝く。これならかなり遠くからでも気がつくはず。
舞夜「さて、じゃあサクッと見つけちゃいましょうか」
舞夜が目を閉じて呪詛を唱える。一瞬辺りが暗くなり、すぐに明るくなると同時に霧が一気に晴れた。
クィンシー「ここは、、、」