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Ep寥廓たる地の参銃士 第3章
【帰還】
ここはルルイエの医務室。無事に師匠を連れ戻すことが出来た。シルヴィの診察では生体反応に異常無しとのことだ。
シルヴィ「一度幻夢境に取り込まれた人間を、デブリになる前に連れ戻すことが可能だとは、、、あとで色々調べさせてくれたまえ。くふふ♪」
とにかく今は師匠の回復のためにはシルヴィに頭が上がらない。
クィンシー「宜しくお願いします」
シルヴィ「任せてくれたまえ。大丈夫さ。近いうちに目が覚めると思うよ」
***
ルイーズ「で、ノルンはクィンシーを復活させた時に何をしたのよ」
フラウ「隠し事は、ダメだよ」
今、ルイーズ、エーリカ、フラウの3人でノルンを囲んで問いただしている。なぜかノルンは正座している、、、
ノルン「、、、まあ、隠してたわけじゃないんだけどね。記憶のキャパの問題でみんなとの馴れ初めをちょっとデリートさせて貰ったんだよ。それは彼女にも初めに言ってあるさ」
ルイーズ「問題はその内容よ!私だけじゃない、エーリカもアンナも、とくにロゼットなんかは、かなり大事な記憶が消えちゃってるみたいな事を言ってたわよ!」
ノルン「う〜ん。悪いけど内容まではちょっと分からないんだ。でも、クィンシーの記憶を残すのにはどうしても取捨選択しなきゃならなかったんだよ」
エーリカ「私達の記憶を消してまでってこと?」
ノルン「あの時はそれがせめてもの慰めだと思ってしまったんだ。だってさ、どちらかだけ覚えていたらそれはそれで残酷だろう?」
フラウ「それでも、絶対に消しちゃ駄目な大切な記憶だってあるのに、、、」
悲しそうな顔をしてフラウが言う。ノルンには随分これが応えているようだ。
ノルン「うぅぅ、ごめんよ、フラウ、、、私は本当に悪い姉だったよ。あの時の私をぶっ飛ばしたいよ、、、」
エーリカ「何か良い手立ては無いものかしらね。下郎の力では何ともならないのかしら?」
ノルン「兄さんは努力家だし能力も凄いけど、知識は少ないからね、、、ってことは、ひょっとして」
ルイーズ「何か思いついた?」
ノルン「ナコト写本なら分かるかもしれない。これからアサカのところに行こう」
***
亜紗花「みんなしてどうしたの?」
ノルン「いやぁ、悪いけどアサカを呼んで貰えないかな?ちょっと相談があって」
亜紗花は晩御飯の準備中だった。
ルイーズ「あ、じゃあ続きは私達でやっておくわよ。ごめんだけど、ノルンからアサカにどうしても確認したいことがあるの」
亜紗花は手を洗いながら今日の献立と残りの調理をざっと教えた。
亜紗花「じゃあノルン、私の部屋に行く?」
ノルン「悪いね。助かるよみんな」
***
ノルン「、、、という事なんだけど、なにかいい手立てはないかな?」
アサカ「幻夢境でデリートした記憶ねぇ。幻夢境は夢幻の世界。簡単に消去とか生み出したりは出来ない。何処かに巡り巡るのよ」
ノルン「、、、と、言う事は」
スッとホリィが現れ彼女の眼鏡がキラリと光る。
ホリィ「ご説明しましょう。端末でファイルを消去しても、一度ごみ箱に入るだけで完全消去は出来ない。ごみ箱を空にしてもログを辿れば復元も出来てしまう。幻夢境も同じシステムと言うことですね」
スッとホリィが消えた。
ノルン「なるほど。つまり何処かに一時保管されているはずなのか」
アサカ「まあ、一番あり得るのは無限書架ね」
ノルン「ああ、確かに。あそこは幻夢境に訪れた者の記憶を全て記録しているからね」
アサカ「でも失われた記憶を取り戻すには本人が行く必要があるわ。まさか揃って全員行く気じゃないでしょうね」
ノルン「そうだね。まずはクィンシーにだけ行ってもらって記憶を戻そうかな。そうすれば誰と関わったのか分かるから、リストアップして班分けして行くのがいいかもね」