#3 あなたに寄り添う、たった一枚のTシャツ
このお話は私たち近畿大学山縣ゼミ生がアパレルブランド「オールユアーズ」をテーマに書き上げた「オールユアーズの物語」である。オールユアーズと様々な価値観を持つ一人ひとりの物語を紡ぎ出す。
今回は「着たくないのに、毎日着てしまう」Tシャツ(通称:「着た着て」Tシャツ)を着て生活する大学生の日常を描いた物語である。
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「今日も一日よく頑張った自分〜」
私は一日に一つ嬉しいことを見つけることに日々幸せを感じている。
これが私の生きるモチベーションになっている。
さあ、とにかく今を楽しもう。プライベートも、キャンパスライフも、そしてオシャレも。
私は宮下弘香(みやした ひろか)。
大阪の大学に通う、一人暮らしの大学4年生、22歳。
趣味はウィンドウショッピング。基本一人でいることが好きで、時間があれば梅田まで出てブラブラするのが最近の小さな楽しみである。
こだわりは特にないけど、店の雰囲気に少しでも惹かれたら入るようにしてコーディネートの知識を自然に身に着けている。
また普段はアパレルでアルバイトをしている。
トレンドにも敏感で必ず毎月雑誌を購読している、というぐらいオシャレが大好きだ。
ただ問題なのが大学の授業。
今の授業はゼミだけで卒論を制作中なのはいいけど、基本オンライン。
だから学校に通うことなんかほとんどない。外出するのはバイトだけ。
ちゃんとオシャレをする機会がほとんどないのである。
「せっかく可愛い服見つかったのに着ていく場所もないなー」
という理由であと少しなのに購入しなかったことが何回あったか。
でももっと問題なのはコロナの影響で昨年の4月からオンライン授業になってしまったこと。
3年生になってゼミで本格的にプロジェクトが始まろうとしていた矢先、対面での学びの機会を奪われてしまった。
それだけでなく、私が大好きなウィンドウショッピングも気軽にできなくなってしまった。
このこともあっておうち時間が増えた。
「まあゆっくりできるからいっか。」
と自分に甘えて、数か月経ちやっと遊べるようになった昨年の8月頃。
友達と遊びに行こうと着替えていると、
「前まで可愛く着られていたのになんかパッとしないな」と思い、体重計に乗ると見たこともない数字が、、いわゆるコロナ太りだ。
これから友達と会う機会も増えるのにこの体型はまずすぎる、、。
加えてウィンドウショッピングをするときも絶対体型を気にせずにはいられなくなる。
「体型なんて気にしていなかった、数か月前みたいに戻りたい」
そう決心した私はダイエットをすることにした。
でも今着られる夏服がないし、短期間で痩せるのは身体に悪いからとりあえずTシャツでも買っておこう。
ちなみに私が服を買うときの基準は、
・何回着ても首元がよれないかどうか
・今自分が持っている服とコーディネートを3パターン組めるかどうか
が必須項目である。
この最低基準を満たしているなら、値段なんか気にせず買ってしまう。
今の体型がどれだけ前とは違っていても、とりあえず現実を見よう。
ということでTシャツを買って、とりあえずモチベーションでも上げておこう。
届いてから、半袖の季節が終わるまでとりあえずこのTシャツに限る。
ボトムスやアクセサリーだけでなく、髪型を変えるだけで一気に雰囲気が変わるし、今まで以上にオシャレを楽しめている気がする。
もしかして今まで気づいていなかったけど、これが私のこだわりなのかも。
とか言いながら、まずは筋トレと軽い食事制限でもして緩くはじめるとしよう。
あれから一年、夏が終わり少しづつ秋の気配を感じ始めた今。
-8キロのダイエットに成功した。昨年の自分とは見違えるぐらいになっていた。
ちなみに今も卒論制作のリフレッシュも兼ねて筋トレを続けている。
大好きなウィンドウショッピングも何も気にせず楽しめる日が戻ってきた。
気が付くと、朝夜の冷え込みからカーディガンが恋しくなってきた季節。
一方で日中は半袖一枚でも過ごせるぐらいまだ残暑が残っている。
とりあえずいつものあのTシャツに袖を通す。
「あれ?」
ずっと着てたからあまり気づかなかったけど、
よくよく考えてみると、昨年届いたころに着たときはピッタリだったのに、
今は程よいオーバーサイズ感。
インでもアウトでも着られるようになった。
同じTシャツを着ているはずなのに、なんだか買ったばかりの服を着ているような新鮮な気持ち。
たった一枚のTシャツでも、着る人によって表情が変わる。
人は同じでも体型や雰囲気、シチュエーションが変わっても変幻自在である。
体型が変わったからっていちいちサイズを変える必要なんでないんだ。
オシャレって無限大の可能性が広がっているような気がした。
新しいオシャレを見つけることができた。もっと一着に愛着を持とう。
そうだ。「可愛い」だけでなく「長く着続けられる」服を探す旅に出よう。
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〈この物語に登場したプロダクト〉