母達は「母の日」を大事にしている
先日、長崎県にある母方の祖母の家に行った。
私は東京から、母は横浜から羽田で落ち合い、飛行機で長崎へ。
そこから車で2時間ほどで祖母の家に着く。
会う人会う人、親戚やご近所の人の近況を話している。
毎日同じ話をしているだろうに、話し相手が変わることで
捻りだすように、また同じ話をする。
なるほど、田舎の高齢者というのはこのように時間が過ぎていくのだな、と実感した。
これまで、私は母にも祖母にも十分な孝行をしていなかったので
少々後ろめたい気持ちがあった。
それどころか、金銭的にも精神的にも甘えてくるようになった母や祖母に
少しイラついた気持ちさえあったものだ。
このまま親不孝でいると後悔するな、と思い始めたのは
自分が40代に突入してからだ。
なので、母が「同窓会に行きたい」と言い出したときは、
これはチャンスだ!と思った。
航空券、レンタカー、滞在中の食事、祖母へのおこづかい、
すべて私が支払い、現在、少しは年貢を納めた気持ちになっている。
この旅行中、母と母の親友「クーちゃん」の会話の中で、印象的なエピソードがあった。
クーちゃんと私は初対面だったが、そのさっぱりとした性格や
話口に、とても好感が持てた。
だが「母の日」の話になった途端、
クーちゃんの口調が強くなり、執拗に同じフレーズを繰り返し始めた。
クーちゃんには3人の娘がいるが、
長女が「母の日」当日に、連絡をよこさなかったというのだ。
よくよく聞けば、後日連絡をもらいちゃんと祝ってもらっているらしい。
怒るほどのことだろうか?と思ったが、
日頃長崎の小さい町で暮らしているクーちゃんにとって「母の日」は、
自分が主役になれるとても大切な日なんだということを理解した。
「母の日」でこれなら、
当然子供の結婚や孫の誕生は世紀のニュースなのに違いない。
私は40代シングルなので、そのこと自体が結構な親不孝なのだと、しみじみとわかった。
この「母の日」の話のインパクトが結構強く、
東京に戻ってから、仲のいい同僚にも話してみた。
すると同僚は、「そう、母の日はとても大事なんだよ!私の義理の母もね」と、語りだした。
彼女は、結婚して最初の「母の日」、夫婦して1週間日付を間違えていたんだそうだ。
当然「母の日」当日は、イベントもなく自宅で過ごしていたら
21時頃に、義母から夫宛に、電話が入った。
「母の日をお祝いしてくれるって言っていたから、待ってるんだけど」
と。
結局、夫婦して義理の両親宅へ出向き謝罪をし、
さらに1週間後の週末に、お祝いのイベントを実施したのだそうだ。
クーちゃんの話、そして同僚の話から、
私はいかに自分が「母の日」をなめていたかを思い知った。
東京にて、誰かと生活をシェアするでもなく
独断の繰り返しで生きていると、
見落としている大事なことがあるもんだな、と思ったので、忘備録として記してみました。