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伝統工芸なんて、呼ばずに。
7月にJAPAN MADEのリニューアルを終えてから3ヶ月。
先日アート展のリリースを出した。去年からずっと温めていた肝いりの企画だ。
久しぶりのnote。今回はそこに込める想いなどを綴りたいと思う。
JAPAN MADEをリニューアルして
JAPAN MADEの表記も、ロゴも、メッセージもすべて一新した。
「変える必要ある?」
「だるまのロゴわかりやすいよ」
など、メンバーからも意見をもらったし、職人さん達からも評判はよかった。
でも変えることを選んだ。
2016年8月に、当時同僚だったもりゆかさんと一緒にJAPAN MADEを立ち上げた。ロゴのモチーフも出し合って、二人ともしっくりきただるま。動画メディアとして立ち上げたので、お腹には再生ボタンを。すごく気に入っていた。
右も左もわからないまま、生まれてはじめて一眼レフを手にし、得体のしれないメディアをひっさげて、浅草のお店を練り歩いて営業活動もした。
少しずつ拡大すると同時に、どんどん日本のモノづくりにハマっていった。新規事業をすれば先駆者になれると、信じてもがいた社会人生活。求めていた新しさは、意外にも自国を掘り起こすこと、それ自体にあった。
思い出がたくさん詰まったJAPAN MADE、いつのまにやら5年が経過。もともとの会社から離れ、自分も独立していたし、JAPAN MADEも自由な状態に。メディアとして活動してきたフェーズから、進化しなければと漠然と思っていた。
リニューアルすることは、意思表明すること。覚悟を示すこと。
そう思って、全て変えた。何より立ち上げた当初から自分が一番変化していたし、自分が作るクリエイティブも変わっていた。見せたい世界観も、僕らの美意識も、掲げるかっこよさも変わっていた。
日本のモノづくりをもっとかっこよく、誇れるものにするためには、自分たちも変化していかなければないし、自分たちがかっこよくなければならない。
だから間違ってないと思った。し、間違ってないと思える素晴らしいロゴ、コピーをデザイナーの心希くんと作ることができた。
JAPAN MADEは何がしたいのか
2016年にJAPAN MADEを立ち上げてから、日本の文化に関わる会社やそれこそ伝統工芸に携わるプロジェクトにたくさん出会ってきた。
競合という考え方があるが、そんな悠長なことは言ってられない。横を見ている暇などなく、日本のモノづくりを盛り上げることに必死だ。
そんなことを言いながらも気になるのがサガ。
既存の製品をもっと多くの人へ届けるECサイト、古き良き文化を楽しむイベント、素敵なコトがどんどん生まれていく。
「JAPAN MADEには何ができるだろう」
ここ数年は、映像や写真の技術を上げ、インターネットの力を借りて多くの人に届けることしかできなかった。
自分たちの価値は、やりたいことは、見せたい姿は、届けたい人は、表現の角度は。なかなか答えがでなかった。
話は変わって、僕は音楽や服、いわゆるカルチャー的なものが好きだ。噛み砕くと、おしゃれに、かっこよく、上質に、今っぽく、何より誇れる、自慢できる、そんな風に見せたいと思った。
ただあるものをストレートに語っても申し分のないほど、歴史や背景が詰まった日本のモノづくり。ただ、それだけではダメなのだ。それで大丈夫なら、こうなっていない。やっぱり変化や違う角度が必要なんだ、そう強く思っている。
だからJAPAN MADEは、新しい角度を示したい。
アート、ファッション、音楽、他にもあると思う。文化と呼ばれるコトとミックスして、いや、和えて。新しい角度で日本のモノづくりを見せたい。
それも立ち返ればすべてキッカケだと思ってる。色んな角度から日本の文化を知る人が増えて、新しい可能性を知って、そこに関わる人が増えて、持続可能になる。JAPAN MADEはそういうことをしたい。
裏テーマとして、もっと日本の人が日本に誇りを持てたらいいなと思ってる。生まれた国って、立派なアイデンティティ。至らぬところも多々あるかもしれない。それは人間も同じ。個人的には、情報があふれる世の中で、ネガティブな部分が目立って、日本を否定的に見てしまうことが増えたのではないかなと思う。でもそれって、アイデンティティを否定していることに近いんじゃないかな。
そもそも日本人は、枯れ果てた草木を見て「いとをかし」なんて表現する人たち。さらに侘び寂びと定義しているんだから、根はとてもポジティブな人種なのではないかと思ってる。(笑)
自国のいいところを知って、誇って、いつの間にかアイデンティティも肯定して、ポジティブに生きれる。壮大だけど、JAPAN MADEがそのキッカケになればいいなと思ってる。
新たなスタートを切る「JAPAN MADE展」
そんなプロセス、想いの軌跡を描きながら、僕らはアート展に挑戦する。京都の和蝋燭、提灯、うちわの職人さん達と、今を生きるアーティストのみなさんと。
僕らにとっては本当に大きな一歩。まだ靴を履いたくらいかも。
2017年に、張り子の招き猫にアートを施した展示を見てから、ずっとやりたかったこと。そしてそれを主宰していたTOKYO URBAN ARTさんと今回ご一緒できること。緊張と高揚が入り混じった、にやける気持ち悪さが毎日ある。(笑)
これをキッカケに、日本のモノづくりをもっと知ってほしい、楽しんでほしい、好きになってほしい。自分の国には、こんなに素晴らしい文化があって、人がいて、新しい可能性があって、みんな前を向いていて。本当にかっこいいんです。
伝統工芸という言葉
最後に、伝統工芸という言葉について。僕らは頑なに、伝統工芸という言葉をリリースなどでは用いない。ずっと「日本のモノづくり」と唱えてる。
実は伝統工芸という言葉は、
1.主として日常生活で使われるもの
2.製造過程の主要部分が手作り
3.伝統的技術または技法によって製造
4.伝統的に使用されてきた原材料
5.一定の地域で産地を形成
※伝統工芸品産業振興協会HPより抜粋
このような、伝産法という法律で定められた定義がある。法律で、だ。
世の人が一括に伝統工芸と呼ぶものは、実は伝統工芸ではなかったりする。この定義に僕らは納得していない部分がある。
例えば同等の技術があったとしても、そこに集落がなかったり、少しだけアップデートされていたり、組合に入っていなかったら、その職人さんは伝統工芸士という資格を得ることはできない。いくら素敵なモノでも、高い技術力があってもだ。
モノも一緒。定義からあぶれると、それは伝統工芸品とは呼べないのだ。
少し本質的ではない気がする。もちろん否定する気もさらさらない。そこを目指して、一生懸命頑張ってる人もいる。誰かが悪いわけではない。
だからこそ、モノの美しさや職人さんの姿勢そのものを僕らは紡いでいきたい。伝統工芸士であろうとなかろうと、伝統工芸品であろうとなかろうと。もっと本質的なところに目を向けたい。
そんな理由で、伝統工芸という言葉をなるべく使わないようにしている。その事実や背景を多くの人に知ってもらえたら、言葉からくる崇高で近寄りがたいイメージも払拭されるだろうから。
もちろんわかりやすく伝えるために、伝統工芸という言葉を用いることもある。それも必要だと思ってる。わかってはいるんだけど。
「職人さんって頑固なんじゃない?」
そう言われることも多い。僕はいつも
「頑固な上司もいれば、物腰柔らかい上司もいるでしょう?それと同じ。人によるよ」
と答える。文字にすると、なんともウザい。(笑)
でも本当にそうなのだ、職人である以前に人なのだ。そこも含めて言葉から来るイメージを脱却できるような取り組み、発信をしていきたい。
職人さん達ももっと自分たちの創作に集中できるように。
いいモノを作れるように。
正当な利益を得られるように。
モノも文化も愛されるように。
自分たちの国を誇れるように。
これからも永く、続くように。
伝統工芸なんて、呼ばずに。
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