広告での“夫やパパの描かれ方”
育児してまっせ記事ばかり書いててもどうかと思うので、たまには仕事に関係させながら書いてみよう。
数年前に自分が結婚して以来、ぼんやり気になっていたのは、“広告のなかに登場する夫やパパの描かれ方”だ。広告の基本は「理想的な生活の擬似体験」だけど、何を理想とするかは当然ながら時代とともに変わってゆく。パパになって、そして育休によってずっと自宅にいる生活になると、そのへんがまた気になってきた。
ちょっと前だけど、このウイスキーのCMは印象的だった。
若い夫婦ふたりが、一緒に仕事から帰る。
妻・吉高由里子は簡単に着替えただけでテーブルに着き、ハイボールを作る。
夫・ロバート馬場はそのあいだに、ササッと気取らない油淋鶏(これが絶妙!)を作って、ともに食卓を囲む。
この3行だけで、過去のウイスキーのCMとは明らかに異なる世界が描かれていることがわかる。
昔からウイスキーCMには名作が多い(というか、サントリーがすごいのかもしれないが)が、僕がまっ先に思い出すのはこのシリーズだ。
管理職っぽい中年男性・長塚京三が、自分の娘くらいの若さの女性にちょっとイイことを言われて、ドキッとしてしまう。
湧き起こる感情を抑えられずに思わず小さく飛び跳ねてしまう男性。
そこに重なるウイスキーボトルと、ストレートで飲んでいると思われる音(ソーダで薄めるなんてことはしない)。
まあ、そもそも商品が違うし、いろいろとマーケティング上の前提が違う気もするが、ここまで違うかというくらい男性の描かれ方が違う。
妻と一緒に帰る馬場。ひとりでブラブラしている長塚。
進んで平日の料理を担当する馬場。料理なんてしなさそう(偏見かもだけど)な長塚。
妻とのハイボールを楽しむ馬場。部下にときめきながらひとりウイスキーを傾ける長塚。
2018年の馬場と比べると、1994年の長塚はたぶん、あんまり家にいないんじゃないだろうか。もちろん、どちらが良くてどちらが悪いという話ではなく。
※ただ、このサントリー・オールドのCMはいま放映したら炎上しそうだな・・・。
サントリー・オールドといえば、このシリーズも大好き。
伊藤歩も、國村隼も、加瀬亮も、全員イイ・・・
これが2008年。長塚京三さんが飛び跳ねてから10年以上が経っていたが、加瀬亮はだいぶ押しの弱そうな印象だ。たしか、”草食男子“という言葉が生まれたのがこのあたりだった気がする。
ただ、ことさらに男性を弱々しく描くのも、個人的にはどうかと思うんだよなあ。これみたいに。
そこまでやらんでもさ、っていう。最近ドラマや映画でも、強い女性を惹き立たせるような、妙にナヨナヨした男性キャラが増えてきた気がする。そういうキャラクターの人が存在することはわかるんだけど、あんまり共感性高くないんだよな。そしてどうでもいいけど、この男子、中村倫也だったのか!気づいてなかった・・・
温度感的に僕が好きなのは、ベタベタだけど、ふだんプレミアムの西島秀俊とか、
これは、絶妙にいなさそうでいる、あるいはいそうでいない、ギリギリの「理想像」な気がする。
あ、そうだ、あとはツヴァイのハマケン。
いいわ〜これいいわ〜。これはハマケンというか岸井ゆきのが素晴らしすぎる。すげえイイ。どのへんまでが演出で、どのへんまで自身の演技なのだろう。
・・・育休パパ的にグッとくる男性を描いた広告って、意外にないんだよな。パパが描かれることはクルマとかでたくさんあるんだけど、あんまり新鮮味のあるパパ像を描いたものは少ない。まだマーケティングの対象としては狭すぎるということでしょうか。
こうやってひとつの視点を設定して好きな広告をdigするのはけっこう楽しいな。またやろ。おわり。
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