【平沢進】Live-Phonon 渡橋する声軍(1999.04.12-13.MON-TUE 渋谷ON AIR EAST/1999.04.23.FRI 大阪Zepp Osaka)
【概要】
▲チラシとアンケート類(撮影歪みすぎだろ)
【やった曲】
【開演前】
東京初日。入場口を見ると、FC先行の人には特典(この記事の概要に記載したステッカー1枚)が渡される旨の告知があり、ありがたく受け取る。ふと物販を見ると、同じものが2枚500円で販売中w
他にも救済の技法Tシャツの半袖と長袖、今回のツアーロゴ入り電卓、携帯ストラップが売っていたと記録されているのですが、いや電卓って何…押すと音楽奏でるの…?しかも大阪では完売してたので、皆そんな珍妙なグッズ買ったの…?(暴言)
追記:珍妙なグッズを買った人が身近に居たので晒しておきます。
なお、大阪公演を行った会場は、旧施設の時のZepp Osaka(最寄りはコスモスクエア駅)。今でこそタワマンと、そこそこのタワマンと、大学キャンパスがある土地ですが、当時は本当に見渡す限り更地ばかり。
駅はピカピカで新しいのに、何にもない。空ばかり広く、人もおらずSFのよう。雨でも降りだしそうなどんより曇の中、港からの海風が強く吹き付ける道を、皆「平沢さんは何処…」と彷徨ったのでした。
【開演】
客入れ音楽(タイの歌謡曲でポップなやつ)が止むと開演。
ステージは上手側から福間さん・平沢さん・中野さん。
中野さんはバンド共演としては1995年10月「errors of P-mania!」以来4年ぶり、ちゃんとした形態ではP-MODEL凍結以来、10年ぶりの共演とのこと…おお…。
機材は福間さんも中野さんも(当時の)大体いつものセット。平沢さんのセットも「救済の技法」と全く同じ。あまり人目についてはならないギルドのマークがど真ん中で光ってますが、見なかったことにしましょう。
■福間さん
…Sequential Circuits Prophet-T8、Roland JP-8000、Sequential TOM、EMS Synthi-A、VS-1680、MacPB2400など
■中野さん
…UTS、ブレスコントローラー、MacPBなど
■平沢さん
…救済の技法のコンソール(机)、Roland JP-8000、アコギ(東京1日目のみ:「広場で」でのみ使用)、PHOTON、VS880、Amiga2500など
機材の個性が強すぎるのに対して、衣装は3人とも全身真っ黒。平沢さんは衣装も救済の技法と同じ(サスペンダーのやつ)でした。差し色ゼロ!
『Nurse Cafe』
イントロの男性ボイス部分→「ジャーン!」が鳴る前に音が消え→中野さんが手刀演奏(超音波センサーを手が横切ると音が鳴る仕組み)で「カシャーン」と入れる💡→静寂、を何度か繰り返してからいつもの曲が始まる、このツアーだけのLive-Phononバージョン。
東京1日目ではやらなかった曲ですが、中野さんソロパートからの平沢さん登場という、なかなかアツいシーンでした。
『救済の技法』
平沢さんがシンセを手刀(右手を左肩の方まで上げ、斜めに振り下ろす)でガンガン叩くことでお馴染みの曲ですが、東京1日目はアンコールだったこともあり、めちゃめちゃ力が入っており、両手でガンガン叩き出すなど鬼気迫る勢い。
しかし大阪では何故か1回しか叩かず謎。肩痛めたとかじゃありませんように…。何しろ当時45歳なので…えっめっちゃ若い(※2020年の感想)
東京1日目では最後、キレッキレの福間さんがシンセに踵落としを。それを見た平沢さんの冷ややかな目が忘れられませんw。平沢さんもキレッキレでしたのに!
この曲に限らず、平沢さんはこのツアー中、福間さんを見つめてることが多く(SimCityの間奏ソロなど)、師弟愛がアツいぜ。
『サイボーグ -タイVer-』
1995年SIM CITYツアーで初お披露目されたタイ語バージョン。間奏で平沢さんがデストロイギターをしたのち、曲が「サイボーグ」のリズムのまま「Recall」のメロディになり、タイの曲(テクノ実験工房でも流れたやつ)になり終わるやつです。
タイバージョンは2008年発売された「PHONON2550 LIVE」に、似たバージョンが収録されています(中野さんのパートが無い・デストロイギターが無い、終わり方が違う等)。とにかくカッコよくて、夢に見るほどまた聴きたかったタイバージョン、2550で再び日の目を見て良かったです。
そしてこの曲の中野さんソロパートを待機する福間さんが、気を付けの姿勢のまま、手だけ太ももをぺちぺち叩いてたことを後世に伝えたいです。あーかわいい。
【MC】
5年ぶりに音楽だけのライブであることに触れ、
平沢「非常に後ろめたい気分です」
インタラのやりすぎですね!
当時はインタラと言えば、基本ステージと客席は紗幕で仕切られているものだったので、観客としても「(クリアタイプの平沢さんがずっと観られる…!)」などと、新鮮な気持ちで観ていました。
MCは主に今後のP-MODELについて。結成20周年を迎えるにあたり、来月記者発表をして「音楽業界を敵に回す」と宣言。この都合で平沢ソロ10周年は埋もれてしまうと思うけれど、
平沢「我々はますます音楽業界の邪魔者になっていきます」
キャーおじさま!
この時点で詳細は一切不明でしたが、これがのちのメジャーレコード会社離脱、P-PLANTでのMP3配信など「音楽産業廃棄物~P-MODEL OR DIE」シリーズへ繋がって行くことになります。天晴、20周年。
『バンディリア旅行団』
こちらも1995年SIM CITYツアーぶりのバンディリア。東京1日目ではやらなかった曲ですが、東京2日目と大阪で演奏。間奏部分(「霧は地図と…」の前)は中野さんソロ。しかし全体通して平沢さんが歌詞を間違えまくってて、だんだん手に汗握ってしまう我々。
3番歌い出しの「空 横切る」も、
♪ そーらーよーこぎるー…(まだ早かったと気付く)
♪ そーらーよーこぎるー…(また間違え福間さんを睨む)
(テンパりすぎて観客の存在を完全に忘れてる福間さんの、めちゃ大振りの「ここからです」アクションを見てから)
♪ そーらーよーこぎるー(声でかい)
と、計3回も空を横切る大サービス。
大阪では「絶対に間違えないという気迫の平沢さん」と、「間違えませんように…」「むしろ今日も間違えてくれ…」と祈る観客とで、妙な雰囲気にw
結果は間違えませんでしたが、何が面白いってこの曲だけ急に福間さんのことチラリとも見なかったの最高でしたね…強がっちゃって…
『ハルディン・ホテル -タイVer-』
イントロは中野ソロ。中野さんチックな音に混じって、お馴染みのパイプオルガンが遠くから聴こえてきて、タイ女性のコーラスが。サイボーグ同様、1995年SIM CITYツアーで初お披露目された、タイバージョンのハルディン・ホテルでした。
この曲は、2014年に発売された「SWITCHED ON LOTUS」に似たバージョンが収録されています(サビの前にも入るタイコーラスが無い等、結構違うのですが)。
バンディリアに続いて、この曲も結構歌詞を間違えてたんですが、ここで2017年の平沢さんより、ありがたいお言葉です。
『ARCHETYPE ENGINE』
中野さんの手刀演奏も入りつつのライブバージョン。
大阪ではタイナコ2が病欠してしまい(Amigaが遠出に弱い為)、ただの静止画での登場でしたがw、東京2DAYSはタイナコ2にしか叩けない超高速ドラミングを展開。そして間奏では平沢さんがコンソール前に出てきてデストロイギター!
これも最後はサビを繰り返す曲ですが、相変わらず歌い終わりのタイミングが分からず、怖い顔(ファンにはおなじみ、平静を装った時のあの顔!あの顔です!)でチラチラ福間さんを見る平沢さん、教えようとして慌ててしまう福間さん、どこまでも冷静な中野さんの対比が面白く。
大阪ではついに福間さんが、最後の「マーレイシア!」に合わせて「こ・こ・です!」と言わんばかりに全身で3拍、シンセを叩き付けるように弾いて、無事終了。いや平沢さん、この曲誰が作ったかご存知です?!
『TOWN-0 PHASE-5』
「ビジョンはハードコア」で、平沢さんと福間さんが手で中野さんの方を示すと、中野さんが手刀演奏でコーラス部分の「ラーラッラッラー」を鳴らす連係プレー。
福間さんは片手(右手)のみでしたが、平沢さんは両手でやったりするお遊びも。暑いようで、腕まくりをして七分丈状態に。
曲最後の「インヤー」は「イン!」で溜めて、曲も鳴ってない中で「…ヤァアァアー」と放つ新バージョン。これはサビのリフ何回あるか分からなくなってもごまかせるバージョンなのでは!やったぜ解決だ!
■東京1日目
「イン!」(オケも止まり、やや間があってから)「…ヤァアァアー」
■東京2日目
「イン!」(1日目よりも間をとって)「…ヤァアァアー」と歌いながらコンソールに前かがみにがくっと倒れ込む
■大阪
「イン!」(東京2日目と同じぐらいの間で)「…ヤァアァアー」と歌いながらコンソールに前かがみにがくっと倒れ込む…と見せかけて、くるっと後ろを振り向く(水を飲んだ)
というバリエーションがありました。楽しそうで何より。
【メン紹】
東京2日目では、平沢さんが何かを伝えに、福間さんのセットのところまでに来たのですが、シンセ越しに耳打ちしようとして互いに目測を誤り、平沢さんと福間さんのオデコがごっつんこ☆となる事件が。えっ何これラブコメ始まった?
客席からはそりゃもう当然「ヒューーー❤️❤️❤️」の嵐です。
大阪では
平沢「それではメン紹です」
メンバー紹介のことだそうで、また業界人のフリをする悪ふざけを!
「全員P-MODELに足を染めた人たちです」と言って、福間さん、タイナコ2、中野さんを紹介。タイナコは20周年記念限定モデル「タイナコ・エンハンスド」が準備されているとか。まさか実写の田井中さんがフューチャーされるとはまだ知る由もない我々。
ちなみに平沢さんの中野さん紹介にはバリエーションがあって、
「奇妙な機械を操ってる人です」
「いつからいつまで在籍か忘れましたが、ベーシストだった中野テルヲです」
「最近は奇妙な機械を操って一旗上げています中野テルヲです」
など。メンバーとしては2年も居なかったんですよね…。
さて、今回の機材セットに名前を付けてくるよう平沢さんに言われ、中野さんが付けた名前は『Live-Phonon用演奏支援デバイス』。ですが、東京1日目で中野さんが『Phonon』を『Photon』と言ってしまった為(平沢さんがややこしい名前つけるから…)、大阪では中野さんに対して、
平沢「この機械の名前を(言ってください)。…間違えないようにね」
この付け足した言葉の穏やかなこと…。
「最後の曲です」という一言に、いつも通り「えーーーー」という我々を無視して、何も言わず正面を向いたまま水を飲む平沢さんの冷ややかなこと…。
もちろん無視されて大喜びの我々です。
『トビラ島』
この曲も東京1日目ではやりませんでしたが、完全に中野さんのために選曲という感じがしました。UTS大活躍。
今回のノン・インタラクティブ・ライブは「インタラじゃないのが観たい」という声に応える為に開催したそうですが、そういうことを言う人は、ライブでこの曲やられるのも大抵好きじゃないよね…などと思ったり。
この曲だけで13分あるので、やらなかった東京1日目は、他の日よりも2曲多いセットリストになりました。
『Lotus』
福間さんのProphet-T8の上は、日替わりで物が置かれており、
東京1:デジカメ
東京2:赤いマーガレットの花束
大阪:Opcode MIDI Translator(PowerBook用MIDIインターフェース)
に変化しましたが、東京2日目はこの曲で花束を手に持ち、曲に合わせてクルクルと振るアクションが。大阪ならば「兄ちゃんそれロータスちゃうで」と突っ込まれるところでしょうが、28歳細身の可愛い系色白青年に、このアクションをやられたところをご想像ください。
『SIREN*セイレーン*』
東京2日目と大阪のラストはこの曲。
インタラとの物語性が強いし、この先あんまり聴く機会無いのかなと(当時)思っていたので、ノンタラのおかげで聴けて何より。福間さんは口パクで平沢さんと一緒に歌ってることが多かったですが、この曲も然り。
そういえば『庭師king』のイントロでも、口が「まろまろへー」と動いてましたね。何年かのちに平沢さんも口が「まろまろへー」で動くようになっていたので、何というかそこは皆歌いたくなるんですね…
平沢「アリガト。今度はP-MODELで。」
と、ヘッドセットマイクを直しながら言う平沢さんの動きが(マイクのアームを調整した後、手が前方へカーブしながら下りた為)、私の位置からだと投げキッスに見えてしまい「(何だその熱烈サービス?!??!!)」などと脳が混乱しました。勘違いです。
平沢さんにしては珍しい挨拶でしたが、結成20周年記念プロジェクトに関しても「ますます嫌われ、どんどん良くなってゆくP-MODEL」という表現をしていたので、平沢さんなりの「お楽しみに」だったのかもです。
【おわりに】
翌月の記者会見の内容はまだ微塵もわからない我々。
とりあえず6月に決定しているニューウェーブのイベントでは「P-MODEL(初期型)」が観られるらしいとのウワサに、それはがきデカを地で行ってた頃のやんちゃな平沢さんが観れたりするのだろうか…と思いを馳せるのでした。
という感じで改訂レポを終わります。