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【平沢進】LIVE SOLAR RAY 1日目(2001.11.10.SAT つくば科学万博記念公園)

改訂レポというより改訂感想文です。
どんな曲やって何が起きたか見たい人は、回れ右してDVDを買おう!

【概要】

Hirasawa Energy Works Solar Live「LIVE SOLAR RAY」
必要な電力のすべてを、太陽電池を主とした発電機、そして Energy Hunting で集められた乾電池のみでまかなう野外コンサートです。さあ、エネルギーの原野へピクニック?!

2001年11月10日(土)・11日(日)
つくば科学万博記念公園 モニュメント広場
開場:13:30 開演:14:00 雨天決行
料金:5,250円(税込)★プレゼント付き
(オリジナル・レジャーシート:会場でのお渡しとなります)

当日は電力消費の多い音響装置や照明は使用しません。演奏はFM電波でお客様が持参するFMラジオに送信されます。
必ず「FMラジオ+ヘッドフォン」をご持参下さい。

Hirasawa Energy Works(ヒラサワ・エナジー・ワークス)は、ミュージシャン平沢進が、音楽活動のあらゆる場面で必要とされる電気エネルギーを、太陽電池を主とした発電システムを駆使して自ら作り出し、作曲からレコーディング、さらにはコンサートまで実現させてしまおうという前代未聞のプロジェクトです。

■公式レポート
GREEN NERVE Vol.10
■パッケージ
LIVE SOLAR RAY
■CD
SOLAR RAY
■MP3配信曲
Hirasawa Energy Works / 星を知る者 (MP3バージョン)

「趣味」の充電です

元々シトロエン(変な車)からプリウス(変な車)に乗り換えていた平沢さんが、ある日交差点で自家発電する、車道と歩道の境界線警告プレート(「太陽虫」と命名)を見て、

人類のいないゴーストタウンで黙々と働く「太陽虫」と、それを見つめる人類唯一の生き残りヒラサワ。「とうとうやっちまった!」という清々しい虚無感の中で、在りし日の文明を回想する……。

そこで、はたと思ったんです。「こいつ(太陽虫)はなんてオモシロイやつだ。こいつが属しているレイヤーから、私の音楽を取り出したい。今さっき感じた不思議な感覚を生み出してくれたソーラーエネルギーというものを、自分の音楽のエネルギーとして取り込めたら……」と考え、自分のスタジオにソーラーパネルを設置しようという発想に至ったわけです。

(2007年 ECO JAPAN〈エコジャパン〉 - nikkei BPnet 環境ポータルにて)

と思ったことから始まったこのプロジェクト。
これを「趣味」と言い切ることで、煩雑さをも困難を乗り越える喜びに変え、持続性の高い活動にし、さらにそれをリスナーと共有したというもの。

一般参加企画として「エナジーハンター」と命名されたファンたちが「ギターソロに必要な電力」の為に、同じく自然エネルギーのみを使用して電池に充電する「Energy Hunting」という、つまりギターソロの演奏時間を延ばすも縮めるのも我々ハンター次第なプロジェクトもあり、発足からライブまでは4か月ほど(我々の充電作業期間は2か月ほど)かけたプロジェクトでした。

というわけで、この日の為にファンたちが充電してきた電池群は、果たして無事に大役を果たせるのか。どうなるボクらのソーラーライブ。

苦難の助手よ バスに乗りたまえ

前日からの雨は昼には止む予報でしたが、一向にその兆候もなく東京からつくばバスセンターへひた走る高速バス。

今でこそつくばバスセンターはTX(茨城弁で「テーイッキス」)つくば駅の目の前ですが、当時はまだ最寄りは何も無く、電車は土浦やひたち野うしくから「バスでつくばバスセンターへ行く」という地理だったはず。
(ちなみに2005年にTX万博記念公園駅が出来ましたが、公園までは徒歩20分ぐらいかかります…という感じの土地です)

つくばバスセンターに着くと、6番乗り場より専用送迎バスが出てるというので、いそいそ向かい、バスの前面に書かれた文字を指差して笑う。

「エコロジーコンサート御一行様」

これちょっと分かりづらいかもですが、平沢さんが繰り返し仰ってた姿勢としては「エコロジー活動などという押しつけがましい行動ではなく」「趣味」「持続可能な生活レイヤーに移住する感覚」というようなものなので、エコロジーコンサートwww平沢さんがwwwみたいな感じだと思ってくださいw

しかし我々はこんな悪意のない勘違いに慣れている。
5分ほどで公園に到着し、モニュメント広場(正式名称はシンボル広場)の入口にあたる、有名な「科学の門」の前で開場を待つ。
わー広くて緑の多い公園だなー。雨でよくわからんけど。

画像1※十数年後の写真。底が浅く傾斜も無いように見えるのですが、写真で見るよりは結構あります。

比較的なだらかな(しかし距離は結構ある)すり鉢状の広場で、そのすり鉢の底の平地に、ステージが設置。入場は斜面をそのまま降りれば早いのですが、そこをあえてぐるりとフチ沿いを歩き、ステージ正面に来たところで階段を降り、好き勝手に座れという方式でした。

ステージ
カメラエリア

━━━━━━ ヒモが置いてある ━━━━━━

客席エリア

となっており、それ以外は

な に も 無 い 野 原

であります。
PA席は舞台横テントに。そこにFM電波発信基地も併設。舞台手前に小さなスピーカー。インストアイベントぐらいの小規模サイズ。
地面に杭を刺すのが使用上NGだったのか、通常のライブで我々と平沢さんを区切るバリゲートが、地面に直置きのヒモのみという、シュールな光景。

画像2

すり鉢のフチ辺りをおじさんと犬が散歩していたり、雨でもトレーニングを欠かさないランナーがジョギングをしていたりする中を、特典のレジャーシートを敷いて皆で凍えながら開演待ち。
昼に止むはずだった雨は既に大粒、座ったレジャーシートに溜まりゆく雨、ゆえに水没していく尻、カイロを持つその手が既に感覚ゼロ。

神(平沢)よ、なぜこのような試練を我々に…
いや我々確かに苦難の助手ですけどもね…

となった頃にようやく開演。ヘッドホンに出囃子が鳴り始め、ふとステージ後方、すり鉢のフチを見ると、何やら見覚えのある、いつもの足首がシュッとしたタイプのパンツはいてる黒服のおじさんが……

歩行が快適すぎるカリスマ

何と平沢さんが自ら、黒い傘をさして小走りに登場。
すり鉢の縁から舞台までは結構距離があるのですが、その中を(出囃子から演奏までに間に合わせないといけない為)階段を走って降りてくる我らがカリスマ。ちょ、足元お気を付けください…!

10/28にタワレコ渋谷で行われたインストアで「制作中」と言っていた、ダイナモシンセサイザー(のちの「グラビトン」)は、本日が初お披露目。自転車のハブダイナモを使って、車輪を回すと電力が供給され、使えるようになるシンセというかサンプラー。

ちなみにこのインストア、私は都合で不参加でしたが、いろんな発電方法があるという紹介の中で、大声を出すことで発電できる装置(振動発電)も紹介され、

平沢「ヨングミラー!」
観客「テチーターーー!!!」

という掛け合いをやったそうです。どうかしてるぜ(うれしい)

進の唄で雨を呼び

ヘッドフォンを外しても生声だけが聴こえてしまうということはなく、スピーカーからも常時演奏が流れていました。が、本当に僅かな音。選挙カーの半分にも満たない大きさだったので、はたから見れば「黒いおじさんが小さめの音で野外カラオケ大会やってる」状態。

FM電波を使用してヘッドホンで聴くのは「低電力でも大音響を犠牲にすることのない方法」=「大規模なPA装置を使用しない方法」だったわけですが、

・好きな音量で聴けるので爆音も控えめも思いのまま
・音がムダに広がっていかない為キレイにステレオで聴ける
・平沢さんの演奏中の小声の呟きや、息遣いも全部耳元で丸聴こえ

で、最早メリットしかない。

ソーラーライブにもかかわらず大雨、という平沢さんらしい逆境の場でしたが、そういう時の平沢さんこそ、歌声やステージは何故か冴える冴える。この日に合わせたアレンジの曲の数々も素晴らしいものでした。

傍目には音が殆ど無い状態で、風雨にさらされつつもヘッドホンを付け、無心に踊ったり踊らなかったりの我々。平沢さん含めて、

どうかしてるぜ(うれしい)

後記

完全に冷え切った身体を引きずりつつ、混雑を予想してすり鉢を駆け上がって送迎バスに搭乗。案の定、ゆっくりめで去った人たちは雨の中を1時間近くも待ったとか…。平沢さん、苦難の助手に何させんすか…

開演と同時に雨が段々強くなり、中盤で思いきり大降りになるという、平沢ライヴ史上初(多分)の野外雨ライブでした。
翌日に続きます。

【お知らせ】
田村指圧治療院
指圧・骨盤調整のゴッドハンドのお店です。
ライブ前後でここで治療を受けておくと、遠征や長時間のスタンディングでも身体のラクさがほんとに違うので、馬骨の皆様も是非。何故かTB-303(シンセ)、TR-909(リズムマシン)も完備しているぞ!

肩こりや腰痛など慢性的なお悩みのある方も、一度相談してみてください。
ニューウェーブ周りの音楽にも大変詳しいですが、2014年『パラレル・コザック』(赤坂BLITZ)の時に、カフェ「Gazio」で楽屋弁当を食べながら限定ライブ中継を観た伝説の先生なので、お話もしやすいと思います。

田村指圧治療院

https://tamura-shiatsu.com/
☆茨城県:取手治療室…JR常磐線/関東鉄道常総線「取手」駅より徒歩6分
☆東京都:上野治療室…JR山手線/京浜東北線「御徒町」駅より徒歩2分
※診療時間など詳細は上記URLへ