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「裏表のない世界」ができるまで
コンプレックスに悩むのはやめにして、みんなが自分の「弱さ」や「苦手」を生かせる社会づくりをめざしたい。
オールライト研究所「ゆる研究員」澤田さんから、裏表のないコメントをいただきました。澤田さんが感じた「裏表のない世界」とは一体どんな世界だったのか?!どうぞお楽しみください!
はじめまして!
世界ゆるスポーツ協会代表の澤田智洋です。
2022年も終わろうとする年の暮れ。
私は、裏表のないトップス・パンツ・靴下、という「全身裏表ないコーデ」で冬休みを過ごしていました。
フェリシモさんと1年半かけて開発した「裏表のない世界」というブランドが2023年2月に立ち上がるので、最後の商品チェックのためサンプルを送っていただいたのです。
このシリーズには、裏表だけではなく前後もありません。つまり着脱の際のミスが生じえないのです。
「スーパーでベーコンを買って帰るつもりだったのにハムだった」「一回のお風呂で4回シャンプーしてしまう」「太宰治の『人間失格』を3冊持っている」など、日常的にケアレスミスが多い僕に渡りに船です。
弾んだ気持ちで「初めての裏表のない日々」を過ごしたのですが、これがですね、もう、とにかく、
最「楽」だったんです。
着るときも、脱ぐときも、畳むときも、いちいち「合ってるかな?」と気にしなくていい。パッと、サッと、直感的に着脱できる。これは想像の何倍も楽でした。
それだけではなく、ゆったりとしたつくりや、綿100%素材の肌触りのおかげで、とにかく体も心も楽。つまり、「着る」と「脱ぐ」の間の「着ている」状態も楽だったんです。
もはや楽を超えて、極楽。
![](https://assets.st-note.com/img/1677833621706-OeqNsIiFgJ.png)
また、裏表のない世界のおかげで、これまで日常的に「裏表ストレス」にさらされていたんだと気づきました。いい商品とは、事後的にそれまで潜伏していた課題を浮かび上がらせてくれるものです。
共同開発のきっかけは、フェリシモさんが主催する「神戸学校」というイベントで登壇させていただいたことでした。確か2021年4月ごろだったと記憶しています。その3ヶ月前に、『マイノリティデザイン』という本を出版した関係で、お話をする機会をいただいたのです。
「マイノリティデザイン」とは、1人ひとりの弱さを起点に、社会の方をデザインし直す手法です。私自身スポーツが苦手という弱さから、2015年に「世界ゆるスポーツ協会」という団体を立ち上げ、これまで100以上の新しいスポーツを開発してきました。
イベント終了後に、フェリシモの皆様と雑談する時間があったのですが、「是非何か一緒につくりましょう!」という熱いオファーをいただきました。そしてその言葉通り、「フェリシモ×マイノリティデザイン」をテーマにした共同プロジェクトが走り始めたのです。
フェリシモさんの強みは、幅広い商品開発力と独自の販売チャネルです。この強さを生かす前提で、「どんな『弱さ』から商品開発を始めるか?」という検討がはじまりました。フェリシモさん社内でも広くアンケートをとったところ、様々な「弱さ」が集まりました。集まった弱さも検討しながら、フェリシモさんが考えたのが「裏表のない服」シリーズでした。
私の息子には視覚障害があるのですが、その特性ゆえに、トレーナーや靴下の向きがわからず、苦労する光景を日常的に目にします。裏表を間違えることで息子が悲しい気持ちになったり、親である自分が注意したりしなくていいなら、いいな。こんな服があったら最高だな。
フェリシモさんと対話を重ねる中で、一緒に「オールライト研究所」というチームをつくり、その第一弾プロジェクトとして「裏表のない服シリーズ」を開発することが決まりました。
「これは単なる服のラインアップではなく、様々な人を包摂するひとつの世界みたいなものだな」と考えていたときに、ふと「裏表のない世界」というブランド名が浮かびました。
この現実世界には裏表があります。これはもう変えられない。でも、そのほんの片隅に「裏表のない世界」という特区をつくる。このプロジェクトには、ささやかながらもこの世界を確かに変える力がある。そんな意志を込めました。
開発アドバイザーとして、視覚に障害がある大胡田誠さんと大石亜矢子さん、そして電動車椅子ユーザーの木戸奏江さんにもメンバーに入っていただき、それぞれの視点から、忌憚のないご意見をいただきました。
大石さんが、トップスを裏表逆に着たままテレビ番組に出演したことがあるというお話。木戸さんが、服を脱ぐときにどうしても裏返しになるので、毎回、表になおしているというお話。一人ひとりの血の通った声に耳を傾け、そして全てを商品開発の糧としました。
日頃から服の表裏問題に悩んでいる方。障害のある方。あるいは商品開発のプロであるフェリシモの皆様。まるでオーケストラのように、それぞれの視点や力が、多層的に重なりあっていく。そんな有機的な「融合」を果たし、ついに2023年2月14日に「裏表のない世界」が誕生しました。
このプロジェクトを通じて印象的だったのは、フェリシモさんの「ものづくり」にかける想いです。
「裏表のない服」と言うのは簡単ですが、実際つくるとなると難易度がとても高い。それでも、様々な課題と直面しながら、アイデアと熱意で必ず乗り越えていく姿は「プロ中のプロ」でした。
縫い代が出ないように「折り伏せ縫いで仕上げる。タグは、どう着ても隠れるようにポケットの内側に留める」など、これでもかというぐらい、こだわりが詰め込まれています。胸を張っておすすめできる服たちですので、よければ是非手にとってみてください。
さて、2022年の冬休みを「裏表のない世界」の住人として過ごした私ですが、本当に驚いたのは、サンプルの服たちを一旦フェリシモさんに返却した後のことです。
普通の服を着るときにも、裏表を気にせず着てしまうようになったんです。
例えば今日いきなり「スマホからガラケーに戻ってください」と言われたら、もしかしたらいつもの癖で、画面をスワイプしてしまうかもしれませんよね。
私の場合は、「裏表のない服から、裏表のある服に戻る」という逆行が、しばらく身体に馴染まなかったのです。着た後に「あれ、裏だった」ということに気づく。このミスを何回も繰り返しました。ああ素晴らしい、そして恐ろしい「裏表のない世界」!
澤田さんを魅了した商品たちはこちら!
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