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片手で着られるコートがお出かけのハードルを下げてくれた┃「one hand magic」 モニターインタビュー vol.2 木戸奏江さん

弱みや苦手やコンプレックスを「そのままでいい、そのままで楽しい」と思える社会を目指したい。

そんな想いでオールライト研究所が手がけた
2つめの企画「one hand magic」。

片手で着られる、つけられる、はける、にこだわってみたら、すごく心地いいファッションアイテムができました。

そんな「one hand magic」のアイテムを実際に使っていただき、感想を聞いてきました。

今回のモニターさんは、1つ目の企画「裏表のない世界」に続き、「one hand magic 」の企画にもアドバイザー兼モデルとして関わっていただいた木戸さんです。

木戸奏江 さん
10歳のときに顔面肩甲上腕型筋ジストロフィーと診断される。20歳より電動車いす使用。2021年に第一子出産。近距離モビリティのWHILL株式会社でマーケティング業務に従事した経験を持つ。

ー 最初に、片手で身に着られるラインナップを作りたいという話を聞いたとき、どう思われましたか?

まさに必要としているものだなと思いました。
「片手でできる」と聞いて、最初に思い浮かんだのはアクセサリーでした。

イヤリングをつけるにしても、ネックレスをつけるにしても、アクセサリーは片手ではつけられず、両手を使わないとできないものが多いので。

アクセサリーは、なくても出かけられるじゃないですか。

服は着ないと出かけられないけど、アクセサリーは人にお願いしてまでつける必要がないので、つけたいなという気持ちがありつつも、諦めてしまっていました。

それが解決するのであればすごくいいなと思いました。

片手で着られる、つけられる、はける「one hand magic 」

ー 木戸さんの状況について教えてください。

私は両手とも動くのは動くんですけど、手が上まで上げられないんです。

例えば、テーブルに置いた状態から、それより上に手を上げることができないんです。でも、この病気の特徴みたいで、左手で支えると右手を上まで上げることができます。

なので、イヤリングをつけるときは、左手で右手を支える必要があるので、右手しか使えないし、ネックレスをつけるときに両手を後ろにまわすこともできないんです。

ー シャツは実際に使ってみてどんなときに良かったですか?

シャツは、きっちり見せたいときに使うことが多いじゃないですか。
最近でいうと、転職活動の面接のときに結構着てました。

他にも転職活動で使えそうなシャツはあるんですけど、しわになりやすいものは着づらいんです。自分ではアイロンがけができないので、どうしても誰かにお願いしないといけなくて。

面接の日が決まっていても、ヘルパーさんの時間が足りなかったり、夫も忙しかったりして、このタイミングでお願いするのもちょっと難しいなということがあったりして、シャツを着ることのハードルがすごく高いんですね。

でも、これは本当にしわにならないし、自分で着ることがストレスじゃないし、袖がたっぷりしてるから楽ですね。

さらに面接でも使えるくらいきっちりして見えるので、私にとってすごく価値があるなと思っています。

きれい見えも動きやすさもかなうデザインと、しわになりにくい素材感

ー ありがとうございます!
着るときだけではなくて、その前の手入れの段階から使いやすいということなんですね。

自分でアウターを着れるって、とても大事なこと

ー 続いてコートについてですが、車いすに乗ったときに、もたつかない丈感がいいと言われていたと思いますが、実際に使うようになって、ここが良かったなと思う点がありますか?

丈感がちょうど良くて、すごく綺麗に着れています。
このコートはマグネットボタンがついていることと、襟が立つデザインがとても暖かくていいなと思ってます。

深めのサイドスリットで、車いすに座った時ときも、すそがもたつきにくい

私、自分ではマフラーを巻けないので、マフラーを巻くのが結構大変なんです。

ー マフラーは普通のものを使ってるんですか?

そうです。一人で家を出るときは、高さや位置をあらかじめ調節したテーブルに手を置いて巻く、みたいなやり方で巻けるから大丈夫なんですけど、マフラーを外で外しちゃうともう自分ではもう巻けなくて・・・

だから、ちょっとしたランチだったら、マフラーをつけたまま食べちゃったりとか。あとは、どうしても外で外しちゃって、自分で巻けなくて、「もう寒い!我慢できない!」というときは、通りすがりの人に頼んだこともありましたね。

「ちょっとマフラー巻いてもらえませんか?」って(笑)。

それぐらい困っていて。

あと、このコートは、襟元に少し隙間があるので寒く感じることがありますが、そのときは、ネックウォーマーをつけてます。ネックウォーマーはそんなに取り外さなくていいので。

ネックウォーマーをつけて、その上からコートのハイネックを締めると暖かいので、マフラーいらずっていうのは、もうめちゃくちゃ便利だなと思ってます!

ー 確かに、ネックウォーマーと合わせたらいい感じですね

ハイネックなので、マフラーいらず

あと、やっぱりマグネットボタンは便利だなと思ってます。

ー どんなときにマグネットボタンが活躍するんですか?

それこそ首まわりは両手が使えないんですよ。
ハイネックのコートは一般的にありますが、一番上のボタンは両手で止められないんです。

私、胸の高さまでのボタンは、うまく両手を使ってできるんですけど、それより上は腕があがらないので、片手しか使えないんです。なので、首まわりのボタンは片手でとめられないので、そういったところでマグネットボタンの恩恵は受けてますね。

片手で開閉しやすいマグネットボタン

アウターは外に出る直前に着るじゃないですか。

夫やヘルパーさんがいても、外に出かけるタイミングに人がいないといけないっていうのは、結構、外出を躊躇してしまう要因になるかなと思っていて。

なので、アウターが自分で着れることはすごく大事だなと思ってます。

それこそ外出先のトイレでもアウターを自分で着脱できないと、一人でトイレを済ますことが難しくなってくるので。

アウターを一人で着られるという状態は、病状が進行してもなるべくキープしていきたいなと思っています。

ー お出かけのハードルを下げるっていうのは、one hand magic が目指していたことなので、そういったお声を伺えてうれしいです!

one hand magic 片手で着られるアウター〈ブルーグレー〉


思わず人に見せたくなるアクセサリー


ー 次は、アクセサリーについて聞かせてください。アクセサリーは自分1人でつけられたらつけたいと言われてましたが、ネックカフはどうですか?

ネックカフは、よく使ってます!
あれは人に見せたくなりますね~
こうやってつけるんだよ~って(笑)。

片手で持って、首にはめるだけ

ネックレスは、首元が寂しくなるときがあるので、つけたいなと思うこともあったんですけど、なかなか1人ではつけることが難しかったんです。

あと、子どもにプチっとひっぱられそうなことも気になってました。

でもあのネックカフは子どもにひっぱられてもスッと外れるので、いいですね。この前は、子ども(3歳)にとられて、子どもが自分につけてました(笑)。

ー 笑。でも、危なくなくていいですね。
シーンは選ばずに使えそうでしたか?

このネックカフ、ほんと、うまく体に沿いますよね。

試作の段階では、ちょっと浮く感じがあったんですけど、それが完成品では解消されてて、本当にすごいなと思って使っています。

ー 首もとに自然に沿うようにしているカーブは、企画担当がこだわって、角度を考えていたので、良かったです。

首もとに自然に沿うカーブがつけられている

ネックカフは、昔買ったことがあるんですけど、首にぴったりフィットするものが多かったじゃないですか。

私、筋肉が落ちちゃうので、首が細くて、自分に合う種類が全然ないなって思ってたんです。

なので、今回のようなネックカフという形で、こういったネックレスに見える余裕のある直径の商品はなかったと思うので、ちょうどいいポイントの商品を出されたなと思っております。

one hand magic 片手で着けられるネックカフ〈コットンパール〉

あと、これは、付け外しのシーンがよく見えるというか、分かりやすく問題解決している商品だなと思うので、すごく映えるいうか、人にやっぱり見せたくなりますね(笑)

イヤリングの痛さを解消したイヤカフ

ー 最後に、イヤカフはどうでしょうか?

使いやすいなと思っています。
特にイヤリングは、結構使えるものが限られているので、片手で使えて使いやすいです。

片耳にかけるだけ。存在感抜群のイヤカフ

私、福耳なんですよ。
パチッとつけるイヤリングは結構、痛いものが多くて。

イヤリングは、つけれる・つけれない問題以外に、つけると痛い問題があって・・・

ー そうですよね、、
確かにパチっとつけるタイプは痛いですよね~。
私はネジのタイプしか使わないです。

そうですよねー、福耳にとっては、それが一番いいと思います(笑)

ー でもそれが難しいんですよね、、

そう、両手でつけることが、難しいんです。

なので、これを解消できたのは、すごくいいなと思います。

あと、普通のイヤリングって、位置の調整がうまくできなくて、なんかちょっと左右で場所が違わない?みたいなことがあると思います。

調整するときって、片手で耳をもって、もう片方の手で、イヤリングの位置を調整しますよね。片手で左右同じ場所に調整することが難しくて・・

ー 確かに、位置を調整するのは煩わしいですよね。

あと、このイヤカフは鏡を見なくてもつけれるところがいいですね。
何か手探りでつけれるというか(笑)。

今回は、今までのイヤリングとは全く違う形のアクセサリーにしたことで、障がい関係なく、私自身は福耳の問題が解決されたし、他の人にとっても「こういうことでイヤリングに困ってたんだ」と気づくことがあると思うんです。

それまで何となく感じていた悩みが、ちょっと違った視点で解消されたかなと思っています。

片手で着けられるイヤカフ〈片耳用〉


ー 最後に「
裏表のない世界」に続いて、「one hand magic」にもアドバイザーとして関わってみてどうだったでしょうか?

どちらの商品も、まさにそのマイノリティの困りごとを出発点に、様々な商品開発のノウハウを持つフェリシモさんが「チャレンジしてみよう」と企画された点が新しいし、価値のあるものだと思っています。

マイノリティ自身が自分たちの問題を自分で解決しようと思うことって多いと思うんです。でも、服作りや商品開発のプロかと言われると、必ずしもそうではないと思うんですね。

なので、やっぱりそこはプロの力を借りることが大事だと思っていて。

実は以前からバリアフリーMAPに関しても同じようなことを感じていました。10年ぐらい前に、障害者団体やコミュニティがバリアフリーMAPを作るという取り組みがあったんですけど、使いにくいと感じる部分があったんです。

それは地図を作るプロかというと、そうでないからだと思うんですね。

例えば、Googleマップが「車いすモード」を提供したとき、元々ノウハウを持っていたプロがマイノリティの声を取り入れて機能を開発したことで、使いやすいものが生まれたんだと思うんですね。

当事者とプロとの協働による新しい流れを作っていくことがやっぱり大事なんだろうなと思っています。

で、そのときに、当事者は自分というマイノリティの存在を知ってもらうことや、自分の声を届けていくことが必要なんじゃないかなと以前から思っていて、私はなるべく自分の体験や困りごとを発信するようにしています。

今回まさにそういった形でフェリシモさんにお声がけいただいて、商品作りに関与することができたので、そこはすごくありがたいことですし、嬉しいことだなと思っています。

ー こちらこそ、ありがとうございます!
私たちも、発信されている当事者の方がいるから、その声を取り入れることができています。本日はどうもありがとうございました。

◆木戸さんにモニターしていただいた商品はこちら!

one hand magic 片手で着られるスナップシャツ
1枚 ¥4,900 ( +10% ¥5,390 )
片手で着られるスナップシャツ〈ホワイト〉
片手で着られるスナップシャツ〈ネイビー〉


one hand magic 片手で着られるアウター
1枚 ¥17,900 ( +10% ¥19,690 )
片手で着られるアウター〈ブルーグレー〉

one hand magic 片手で着けられるネックカフ
1個 ¥3,900 ( +10% ¥4,290 )
片手で着けられるネックカフ〈コットンパール〉
片手で着けられるネックカフ〈ライスパール〉

one hand magic 片手で着けられるイヤカフ
月1個 ¥2,400 ( +10% ¥2,640 )
片手で着けられるイヤカフ〈片耳用〉の会

◆そのほかの商品はこちら

one hand magic 片手で履けるレースアップ風シューズ
1足 ¥7,900 ( +10% ¥8,690 )
片手で履けるレースアップ風シューズ〈ブラック〉


one hand magic 片手で使いやすいショルダーバッグ
1個 ¥6,550 ( +10% ¥7,205 )
片手で使いやすいショルダーバッグ〈ブラック〉

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◆オールライト研究所特設サイト

https://www.felissimo.co.jp/arl/arl_fsc.html?xid=p_soc_ar_NOTE