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“片手で着られる服”&“裏表のない服”の体験・試着イベント『オールライトDAY』開催11月8日(金)トークセッションレポート

2024年11月8日・9日に、オールライト研究所初のイベント、「オールライトDAY」を開催しました。

8日は、トークセッションとして、
ゆる研究員の澤田智洋さん、アドバイザーとして一緒に商品を作ってきた百武桃香さん(オンライン登壇)、木戸奏江さんとお話させていただき、その後、オールライト研究所の全アイテムが試着できるお時間を設け、じっくりオールライト研究所の世界を体験いただきました。
9日は、場所を変え、じっくり、少人数で試着を体験いただきました。
11月8日(金)のトークセッションレポートです。

イベント概要

プレスリリース>> https://feli.jp/s/pr241118/1/

◆11月8日(金)『オールライトDAY』

まずは、スタッフから今までのオールライト研究所の取り組みの概要を説明し、トークセッションがスタートしました。

登壇者:画像内左から、車いすユーザー 木戸奏江さん、ゆる研究員 澤田智洋さん、モデル 百武桃香さん(オンライン登壇)、フェリシモ「オールライト研究所」スタッフ

◆トークショー
最初に、新テーマ「one hand magic」について。
片麻痺がある方からの「服の脱ぎ着に苦労してる」「特に綺麗めのお洋服が見つかりにくい」というリアルな声から開発されたこと、「オールライト研究所」ネーミングの由来などをお話させていただきました。

その後、澤田さんから、木戸さん百武さんおふたりに、特に気に入っている点や今回のプロジェクトに参加してみた率直な感想を、という投げかけから、セッションがはじまりました。

ー木戸さん、百武さんのお気に入りの商品とポイントは?

澤田さん:まずは木戸さんから、今回お気に入りのものって、どの商品になりますか・・?

木戸さん:そうですね、特に気に入っているのは、シャツとコートが気に入っています。

まず、コートもシャツもなんですが、ボタンを片手で留められるところですね。私は、両手は動くは動くのですが、上にあげるときに、右腕を左腕で支える形になるので、片手でシャツはプチプチとホックボタンを留めたいけたり、コートもボタンがマグネットなので、片手で留めていけるというところがとても気に入っています。

また、このコートは、コートの横の部分にスリットが入っているところに、感動しました。車椅子でコートを着ると、座った姿勢では、シルエットがきれいにならないことや、腰回りの生地がもたつくことがあって。座った姿勢でのシルエットも考えて作られているところが、ポイントでした。

マグネットボタンと、アウターのスリット

澤田さん:それって、車いすにおける服の課題を、お伝えいただいていたからこそ、こういうことが実現したんですね。

木戸さん:そうですね、最初の段階でお伝えさせていただきました。

澤田さん:フェリシモの商品企画の皆さんに伺いたいんですけど、座ったことも前提として、課題解決をした結果、今の機能やフォルムになっているかなと思うのですが、それは立っている状態の方からしても、何かメリットってあるのでしょうか。

フェリシモスタッフ:そうですね、ファッション性っていう面も、もちろんあって。スリットが深く入ったデザインが、人気のデザインだったりもするのと、木戸さんとお会いしたときに、お声をいただいたので、デザイン性も機能性のものも、どちらもクリアするデザインに落とし込めたのかな、と思っています。
他の方からのコメントでも、自転車に乗るときにすごく着やすい、というお声もいただいています。

澤田さん:インクルーシブデザインって、これまでの商品開発、サービス開発から排除されてきた方の声を、序盤から聞くことによって、その方を中心にストレスがないものを作るというのが前提なんですが。
それで、結構あるのが、当事者の方には機能的にはとてもいいんだけれども、そうじゃない方にとっては、ちょっとデザインがいまいちだな、とか。どっちつかずになることは結構よくあるんですよね。
車いすに乗っていて、座っている状態でも機能的にいいし、立っている状態でも逆にスリットがあって、シュッとしてフォルム的にも美しいみたいなところで、みんなにとってうれしいとか、便利なポイントに着地したのかな、と思いました。

one hand magic 片手で着られるアウター〈ブルーグレー〉
商品詳細>> https://feli.jp/s/pr241118/2/
【動画】>> https://www.youtube.com/shorts/WH5X9gR2BmM ?feature=share

澤田さん:シャツもボタン以外にもお気に入りのポイントがありますか?

one hand magic シャツ

木戸さん:はい、そうですね。シャツは袖口にゴムが入っていて。好きな位置で止められるというところですね。
シャツをパッときて、みなさん手を使ってスタイリングされると思うんですが、私はそれがうまくできないのでなんとなくパッときてちょっと調節しただけで、おしゃれに着こなせるというところがいいかな、と思いました。

澤田さん:今のゴムの話って、普通にみんなにとっていいですよね。お皿洗うときとか、ぱっとできるわけですよね。

フェリシモスタッフ:これ、開発したメンバーが、子育て中のお母さんでして、帰ってすぐ洗い物ができるように、というのでゴムが入っています。

澤田さん:逆に、なんでこういう服ってなかったんですかね?
今お話しを聞くと、普通にあっていい機能だな、と思うんですが。

フェリシモスタッフ:あるにはあると思うんですが、やっぱりシャツといえば、袖口はカフスでボタンで留める、というのが普通と思っているところがある気がしますね。

フェリシモスタッフ:シャツに、スナップボタンをつける事や、通常シャツのカフスにゴムは入れないなどの常識にとらわれない、それでいてシャツとして見えるデザインになるよう、工夫しました。

画像左:ゴムの入ったカフス部、
右:商品開発者として説明をする「オールライト研究所」スタッフ

澤田さん:やっぱり多様な目線とかビジョンを入れて商品開発すると、「当たり前の新しい当たり前に気づく」というところがありますよね。「あれ?なんでこれ今までこれなかったんだっけ」、という。
裏表のない世界もまさにそうですよね。

なので、このプロジェクト、オールライト研究所は、本当に日々様々な発見をしていて、それが大発見ということもあれば、ささやかな発見もあったり。発見のダイバーシティに満ちているプロジェクトだな、と思っているんですが・・・

百武さんお待たせいたしました。

-百武さんが特に気に入っているアイテムってどのあたりでしょうか?

百武さん:左半身麻痺で肩を上げることができないんですけど、このシャツはゆとりのあるデザインで前開きだから、とても着やすいんです。

手を洗う時や食器を洗う時に袖を上げられなくて、わざわざ脱ぐこともあったんですが、こちらのスナップシャツは手首のところにゴムが付いてるので、袖を上げる手間が省けて本当に助かっています。デザイン性も可愛くて、すごくお気に入りのアイテムです。

あとは、ネックレスだったり、バッグとかも、いいところがいっぱいあって。

ネックレスって、普段は、ネックレスを自分でつけはずしっていうのはまず無理だったんです。このネックレスは、簡単に外せて簡単につけれる、というのが本当に使い勝手が良くて、可愛いですし、意外と外でつけても落ちにくいっていうのに感動しました。

ワイヤーが入っていて着用すると一般的なネックレスに見えて、片手で着用できる仕様です

澤田さん:これは具体的にフェリシモさん、なんで片手で着けられるのですっけ?

フェリシモスタッフ:ワイヤーが入っていて、少し硬くなっているので、チョーカーみたいなものなのですが、ちょっとだけ傾斜がついているので、つけたときに、一般的なネックレスに見えるようなものになっています。

one hand magic 片手で着けられるネックカフ〈コットンパール〉
商品詳細>> https://feli.jp/s/pr241118/4/
【動画】>>https://youtu.be/WH5X9gR2BmM

澤田さん:そんな感じで、商品説明だけで3時間半くらいかかっちゃうんですが・・・

-一旦これくらいにして、木戸さん、百武さん、こういうプロジェクトにかかわってみて、率直にどう思ったとか、そのあたりを聞かせていただけますか?

木戸さん:はい。最初にこのプロジェクトの話を聞いたときに、障がいのある人の声を起点にして、みんなにとって使いやすいものを作るという視点がすごくいいな、と思いました。
1点からある、障がい者向けの服とか、靴とか身に着けるものが、世の中にあったことは知っていたんです。ただ、これはどうしても、オーダーメイドだったり、障がいのある方向けという商品になっていて。
そういった商品は必要だし、とても大切だと思うんですけれども、それは製品や商品ではなくて、作品なんですね。そうなると、やはり高いお金を出して買わないといけない。洗い替えが欲しい、となってもなかなか買いづらいというところがあるかな、と思います。
作品には相手にされてきたんですが、製品のターゲットとして含まれてこなかった、という思いがありました。なので、今回フェリシモが作品ではなく、製品として障がい者の声を取り入れて、作っていこうというところは、今までにない取り組みだな、と思いました。

澤田さん:そうですね、おっしゃる通り、障がいの当事者向けの作品は、最近増えてはきているんですが、どうしてもロット数が少なくなるから、上代が高くなっちゃうんですよね。みんな1着なら買えるけど、2着目はなかなかむつかしい、ということがあるあるだったりするんですよね。
今回、フェリシモって、もともと多様な商品を作っているし、原価を押さえながらもクオリティを上げるみたいなところは知見があるので、心強いですよね。

あと、オールライト研究所、ぼく個人の活動でいつも大切にしているのが、当事者もうれしいけど、それ以外の人もうれしいみたいな、重なりの最大化を意識していて、そこの重なりが大きいほど、みんなうれしいわけですよね。
みんなうれしいということは、売上が立つということで、経済が回っていくということで、この事業が回っていくことになるので。安定してこの商品、製品をお届けできることにつながりますよね。
one hand magicは今回そこの重なりを大きくできたのではないかなと思います。

百武さんはいかがですか?関わってみて、どのような気持ちでしたか?

百武さん:実際にいろいろ試してみて、「なんでも教えて!」って感じで聞いてくださったので、意見も言いやすかったのと、ちゃんとその意見に対して、お応えいただけたので、一緒に考える中でも、これ本当に使えるようになったら、本当にこれから楽だろうな、とか。他の方にも、メリットたくさんあるだろうな、という思いがあったので、作っている時も楽しかったです。

撮影オフショットの百武さん

今までも障がいのある方のための商品のモデルもさせていただいていたのですが、今回フェリシモのお洋服を着てインスタとかに載せたときに、障がいを持っていないファンの方から「コートかったよ!」とか、「シャツ買ったよ!」とお声をいただいたので、ちゃんと届いているんだな、っていう。
そこのうれしさというのは今まで以上にありました。
こういうのが今後増えていったら、うれしいな、という期待もとても大きいです。

澤田さん:具体的に百武さんからはどういうご要望を出したり、どういう課題を共有したんですか?

百武さん:このシャツだと、スナップボタンはやりやすいんですけど、外れやすかったら怖いな、というところをお話させていただきました。そうすると、本当にボタンはつきやすいんだけど、外すときにちょっと、簡単に取れないというのがこのシャツの良いところだと思いましたし、シャツの胸の部分に線が入っていて、ずれたりしづらいとか、ちょっとした細かいやさしさがいろいろ詰まっているな、というのを感じています。

バッグとかも、マグネットだったり、ファスナーの開きやすさ、マグネットの強さとか、程よくてすごく使い勝手がいいな、と感じています。

澤田さん:それは、フェリシモさんと木戸さんと百武さんか課題をシェアされたときに、やっぱりそれを解決するための試験だったり、広い意味でのテクノロジーを使うから困らなかったのか、今回のone hand magicで一番悩んだ問みたいなものってありますか?

フェリシモスタッフ:普通ファスナーって、片手でやったら、開ける時に、「これは動いちゃうよね」、とか「ここ、どうするの?」というところが、やっぱりむつかしかったです。実際に形にしないとわからなかったので、形にしながら、実際に試していただきながら探っていっていました。なので、なかなか着地が難しかったです。ただ、一番やっぱり大事に考えたのが、「片手で」という部分もそうなんですけど、どうやったら人にやさしく使えるものになるかな、というところで。

なので、ショルダーも長時間背負ってもなるべく痛くならないように、柔らかい素材で幅広のもので、とか。
下ろすときも、手をあげるのは大変かもしれないから、ショルダーの部分がはずれるように考えている、とか。
そういったところを気をつけて企画をしていました。

澤田さん:すごいですね、鞄一つとっても、たくさんこだわりポイントや優しさポイントがあって、まだまだ語りつくせないものが、今期あのアイテムってことですよね。

one hand magic 片手で使いやすいショルダーバッグ〈ブラック〉
商品詳細>> https://feli.jp/s/pr241118/5/

フェリシモさん、本当に、ものづくりへの情熱がすごいんですよね。みんな、ものづくり愛してますよね。

フェリシモスタッフ:そうですね、工夫して、ご要望に応えたいな、という気持ちが強いメンバーが企画してくれてるなと、思っています。

澤田さん:今ってやっぱり協業する時代だと思うので、今回は特にフェリシモのようなもともと勢いのある川みたいなところに、障がい福祉みたいな、また別の種の勢いのある川がうまく合流したのかな、と思っていて。
それが、さっき百武さんがおっしゃっていた、インスタとかTikTokでアップしたときに、もともとのフェリシモのファンの方も、「コート買ったよ」、というのはうまく川が合流した結果なのかな、と思ったりしました。

ちなみに、このオールライト研究所、まだまだ続いていくんですけど、

-今後こういうコンセプトがあったらいいな、とか、こういう商品があったらいいな、などちょっとだけ未来の話をしてもらってもよいですか?

木戸さん:はい。わたし、今こどもが3歳なんですが、先週七五三にいってきまして。こどもは着物で、親は洋装で、という形にしたのですが、なかなかフォーマルなスーツだと、かっちりして窮屈で。
普段一人でお手洗いにいけても、そういうものを着ると、誰かの介助がなければお手洗いに行けなくなることもあったりして。なんか、よりクラシカルな、フォーマルな場にふさわしい「ハレの日の服」があるとうれしいです。確かに普段着もいろんなストレスがあるけど、ハレの日の服って、誰しもがストレス値があがる瞬間だな、と。


澤田さん:少しづつストレス軽減の方向には向かっていると思いますが、まだまだ伸びしろがありそうですよね。これは新しい問をいただきましたね。

百武さんはいかがですか?

百武さん:先ほどのハレの日の洋服もそうなんですが、私も、このバッグの中にお財布という機能が一緒に備わっているところが響いたので。
小物って、一番片手で使いにくいな、というところがあるので、先ほどのネックレスも含め、小物類がもうちょっと増えたらうれしいな、というのは思っています。ポーチとか、カード出すときのカードケースとか。
お財布も、手に出したりするのが大変だったり、カード出すときのカードケースを持ったりとかが大変なので、片手でも何かやりやすい小物類が増えたらうれしいな、と思っています。

澤田さん:小物類って選択肢が多いほどうれしいですもんね。

今説明にあった、お財布と一体化してるバッグってどういうことでしたっけ?

お財布部分を説明するスタッフ

フェリシモスタッフ:このバッグにはお財布機能がついていまして、このファスナーをあけると、ちっちゃなコインポケットがついていたり、カードケースもついていて、お札を入れる場所もあるので、お財布を探すことがなく、さっと現金が出せる機能がついてるんです。

澤田さん:かゆいところに手が届きまくり、ってことですね。どのアイテムもね。やっぱり、このプロジェクトいいですね。

他に大事にしているのが、コミュニケーションのシンプルさと強さというのを大事にしていて、裏表のない世界も one hand magicもそうなんですが、めちゃめちゃブランド名が直球じゃないですか。
もっとなんかおしゃれにするとか、ふわっとするとかもできるんですが、個人的にはコミュニケーションをシンプルにしたくて。

なんでかというと、特に当事者の方って、本当は自分にとっていいアイテムが売られているんだけど、それにリーチできない、情報がそこまで届かないということもよくあるんですね。だから、当事者の方がすぐ、「この商品私のためにあるんだな」ということが分かりやすいコミュニケーションの速さやシンプルさが大事だと思っていて。

今回のone hand magicもね、いろんな意見が出たんですが、かなり僕はゴリ押ししまして。
絶対one hand magicは one handを活かしたほうがいいよ、そしたら片手で生活している方にはすごく届きやすいんじゃないかな、と思っていて。

今後もいろんなものが出てくると思うんですが、そういったコミュニケーションのシンプルさ強さは、引き続き継続していこうかなと思っています。

澤田さん:せっかくなので、フェリシモさんに伺いたいんですが、

ーここまで裏表のない世界、one hand magicと2つやってきて、手ごたえとかどうですか?

裏表のない世界

フェリシモスタッフ:そうですね、裏表のない世界は2年前に発表しましたが、私たちが思ってもないところからお声がけいただいて、「使ってみたい」、とお声をいただいています。なので、ターゲットを絞りすぎるというか、勝手に絞ってはだめだな、という思いがありますね。

認知症の当事者の方にモニターいただいて、ヒアリングしながらバージョンアップできないか、ということもやっていたりしますし、私たちが思っていた裏表がわかる、わからないということではなく、こういう人にも届くんだ、という反響をいただいているので、one hand magicもそうなるように、今から届けていきたいですね。

澤田さん:一緒に2年くらいプロジェクトをやらせていただいていて、僕がフェリシモさんに印象的なのが、特にこのone hand magicや裏表のない世界って、めちゃめちゃ社会をケアしてるな、と思ったんですよ。

さっき商品説明のなかにもあったけど、肩に背負ったときに鞄のショルダー部分が痛くならないように、とか。端々に優しさと、さきほど表現していましたが、僕はケアだと思うんですよね。

社会全体を企業活動の中でケアしていることだと思っていて。広義の意味でいうと、企業活動はすべてケアなんですよ。飲料水を提供するのものどの渇きを潤すという意味でのケアだし、
社会性と事業性と独創性でしたっけ、この3つが重なるところで何かやるということをおっしゃっているので、経済的売上も大事なんだけれども、社会をどうケアできているのか?みたいなところが、社風というかDNAに組み込まれていて、それが今期あのプロジェクトの達成にかかわっていると思うんですが。

フェリシモスタッフ:オールライト研究所の場合だと、本当に困っている人だけを見てしまうとビジネスとして成り立たないというところと、皆さんが使いやすい社会性だったり、オリジナル、ちょっとしたギミックを入れたりするところはこだわっていますね。

澤田さん:今回も、ターゲットは、一番届けたい障がいのある当事者なんだけども、その次に届けたいのが重なる部分、同じ用なところで悶々としていたり、ここをもうちょっと改善してほしいなと思っているマジョリティがその周辺にいるから、そこも取りこぼさないでおこう、みたいな。ターゲット層をいくつか設定して開発する中で、反復横跳びしながら、どっちも幸せにできるか、みたいな感じでつくってますもんね。
これは、今後のものづくりのロールモデルなんじゃないかな、と個人的にはおもっていて。
そういうやり方がリクルーティングでも、有利というか。

当事者をインクルージョンしていこうという風潮はすごく大事なんだけれども、同時に経済性も追求していって、幸せにする人を一人でも増やそう、みたいな感じですべての企業が企業活動していくと社会全体でよくなるな、というのは個人的にも思っていて。

今回のone hand magicや裏表のない世界で思っているのは、服が着心地がいいことがもちろんなんです。
裏表のない世界はメンズもあるので、普段から僕も愛用しているんです。
この商品たちは、着心地がいいかもしれないんですが、それ以上に居心地のいい世界を作っていると思っていて。作っているのは服ではなくて、居心地のいい社会という、もっと広い目線のマクロのものを提供していると思っていて。それがやはり企業の力だと思うんですよね。

澤田さん:最後に木戸さん、百武さんから、感想をいただけますでしょうか。

木戸さん:さきほどいった、フェリシモさんの大きな流れに福祉の流れも合流するのが大切、というのが本当にその通りだな、と思いました。みんなで使うことが、便利にしていくということにつながっていくんだな、と思っています。

わたし、ハンドソープのポンプが8年くらい前に押せなくなって、2016年ごろから、ずっと、自動で泡が出てくる家庭用のハンドディスペンサーを使ってたんですね。それがコロナ禍になって、みんな手洗いをするようになったんです。で、自動で泡が出てくるハンドディスペンサーが一気に増えました。今は、もう一般的ですよね。家庭にも公共の場にもあったりする。その結果、昔のものより、今の自動のディスペンサー、すごく便利で使いやすくて、安くなって、壊れにくくなったんです。

なので、障がい者向けの商品も、もちろんあるんですけど、そこと皆さんマジョリティとマイノリティが合流して、一緒の商品を使っていくという流れを作るということは、障がい者の生活も便利によくするし、皆さんも生活もよくなるし、「みんなで使う」ということがすごく大切だな、と思っています。そういった商品づくりが、今後やっぱり重要になっていくんだろうな、と思っています。

百武さん:私は、普段から障がい者と健常者の境目を作りたくないな、という感じで講演活動したり、イベントをしたりしているので、フェリシモのお洋服を作るにあたって、障がい者の方向けでもあるけど、健常者の方ももちろん着やすい、ママさんだったり、忙しい方が着やすく届いたときに、「こういう方にも着やすいんだ」とか「こういう人もいるんだな」と世の中に知って、境目を作らない世界というのは、伝えていけるものなんじゃないかな、と思っていて。すごくフェリシモさんに期待しています。

澤田さん:今回のプロジェクトって、このボタンとか、袖のところって困っているよね、というところで、対岸にいるんじゃなくて、同じ岸で話をしているんだな、と。1人の人間として、お互いの共通項を見つけて、同じ景色を見て、ということがすごく大事だなと思っていて。
そういうことの積み重ねで、いろんな境目がなくなったりするんじゃないかなと思います。

だから、多様性より多面性って僕は思うんですけど。
多様性の時代って、障がい者は障がい者としてふるまうことが求められてしまうんだけれども、人は多面的なものだと思っていて。障害があるとか、何かが苦手というのは、その一面でしかないから、いろんな人とかかわるときに、人間は多面という形で、どう握手できるかな、というところでうまく対応していくと、今回みたいな商品とかプロジェクトが生まれるんじゃないかな、と思いました。

最後、フェリシモさんからいかがでしょうか。

フェリシモスタッフ:そうですね、今回このプロジェクトをやらせていただいて、メンバーも私もなんですが、やっぱり「思い込み」ってあるな、ということに気づかされるな、と思っています。木戸さんとか百武さんにお聞きしたこともそうなんですが、社内の働くお母さんから聞いてみても、「そういうことに困ってるのか」とか「ここ変えたらいいのかも」という思い込みに気づいて、工夫する、というところが大事だと思うので、思い込みを壊していくというか、ブラッシュアップしていくという取り組みをこれからも続けていきたいなと思っています。

澤田さん:そうですよね、いろんな方と一緒に取り組む、企業側も変わる準備を常にしておかないと、凝り固まった価値観があると。
そのへんの生まれ変わろうとする姿勢が、フェリシモの皆さん強くて、切り替えが早いというか、柔軟性がすごく大事だな、と思っています。そんなにフェリシモさんをほめるつもりはなかったんですが、結果的にほめちゃいましたね。

フェリシモスタッフ:ありがとうございます。
今回のトークセッション、これで終わらせていただきたいと思います。
みなさま、ありがとうございました。

◆ご意見、ご感想をぜひ聞かせてください

トークセッションについて、またオールライト研究所へのご意見ご感想がありましたら、ぜひオールライト研究所のアンケートより声をお届けください。→ アンケートはこちら

◆ one hand magic 特設サイト

「one hand magic」特設サイト
「one hand magic」プロモーション動画

◆ 開発ストーリー


片麻痺の方から服の着脱がしにくい・きれいめのお洋服を見つけるのが難しいというお声をいただいたことが商品開発のきっかけでした。開発にあたり、百武桃香さん(左半身麻痺)、木戸奏江さん(顔面肩甲上腕型筋ジストロフィー)、小さなお子さまを持つお母さんをはじめ、様々な年齢の方に、アドバイザーとしてコメントいただき、商品の改良を重ねました。
おしゃれをあきらめていた、朝時間のない方、子育てに忙しいお母さん、ご高齢の方にも、みんなに使いやすい、やさしい、それでいておしゃれなアイテムを目指しています。
あなたが今日も、笑っていますように。

「one hand magic」をデジタルカタログで見る

◆「オールライト研究所」について

よわさや苦手やコンプレックスに悩むのは、そろそろ終わりにしましょう。
足りないのは、あなたがそのままでたのしく暮らせるための、社会の工夫。
オールライト研究所は、「そのままでたのしい、そのままがたのしい暮らし」をみなさまと一緒に作り出すプロジェクト。
『マイノリティデザイン』の著者、澤田智洋さんをゆる研究員に迎え、さまざまなテーマで商品開発を行います。
IT'S ALL RIGHT. ありのままで。

オールライト研究所 公式サイト
オールライト研究所 公式Instagaram    
オールライト研究所 公式X(旧Twitter)  

◆ ゆる研究員紹介

・澤田智洋さん(オールライト研究所ゆる研究員)

コピーライター / 世界ゆるスポーツ協会代表理事。著書に『マイノリティデザイン(ライツ社)』『ガチガチの世界をゆるめる(百万年書房)』など。
X>>https://twitter.com/sawadayuru

◆ モデル、商品企画に参加した研究員の紹介

百武桃香さん(momoちゃん)

17歳のときに脳内出血で左半身麻痺に。その経験をもとに、障がいのある方が笑顔で暮らせる社会を目指して活動中。今はSNSでリハビリや日常を発信し、同じ境遇の方々に勇気を届けています。

木戸奏江さん

10歳のときに顔面肩甲上腕型筋ジストロフィーと診断される。20歳より電動車いす使用。2021年5月に第一子出産。近距離モビリティのWHILL株式会社でマーケティング業務に従事した経験を持つ。
note>>https://note.com/kanaekido/n/n45b5d30ff661

◆オールライト研究所 アンケート実施中

「オールライト研究所」では、「当たり前」になっていて、見過ごしているあなたの「お困りごと」や「よわみやコンプレックス」を募集しています。
たくさんのお声を聞きたいです。ぜひアンケートにご協力ください。
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