PASSAGEは「神田神保町にあるべき書店形態」を具現化
仲俣さんは課題本の前に書かれた鹿島さんの『神田村通信』の中の「神田神保町にあるべき書店形態」に注目します。この中で、鹿島さんは以下のように書かれています。
今年開店した書店、PASSAGEは上記の鹿島さんの夢をかなり具現化したもの。各棚が小さいながらも専門性を持っています。各棚から棚主の「ドーダ」オーラが出ているのはなかなかの見ものです。小さな棚であっても棚主の個性が光っています。
仲俣さんはPASSAGEの『破船房』の棚主。棚主になって驚いたのは意外と本が売れること。鹿島さんは「本は必ず売れる」という持論があるのですが、仲俣さんも、「意外な本が売れる」と実感しているそうです。
神田神保町は『オタクの街』から『映える街』へ
課題本『神田神保町書肆街考』は神保町はオタクの街になるということで終わり、仲俣さんは少し寂しい思いを感じたそうです。しかし、この本が出版された2017年から、神田神保町も大きく変わっていきます。
東京郊外から大学が戻ってきて、街に若い人が増えたこと。これに伴い、若い人に『映える』メニューがある喫茶店さぼうるが人気に。
PASSAGEはこうした若い人が入りやすい書店として、人気となっています。写真OK、シャンデリアのある内装は、インスタ映えもしますね。
三省堂が建て替えとなり、神保町の街並みも変わっていきます。神田神保町の書肆街は変わらないからよいのではなく、変わるからこそ価値がある。寒い冬、家にこもって読む本を探しに神保町探訪をしてみては。
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対談では、鹿島さんの学生時代の神田神保町の話や、パリのパサージュの話など多岐に上ります。
鹿島茂さんのサイン入り『神田神保町書肆街考』はPASSAGEの棚で販売中。オンラインでも購入可能です。
【記事を書いた人:くるくる】