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庭木の剪定、誰がする?

「さあて、今週は何を頼もうか。」

土曜日、息子が庭の木を一本剪定してくれた。

昨年からテレワークになって毎日家にはいるものの、部屋にこもってあまり顔をあわせることもない。手伝いを頼めるのは土曜日で、それも、LINEで申請しておく必要がある。

「少しは家の手伝いもしてちょうだいな」
「何して欲しいのか分からないよ」

そして、ある時から毎週家族あてにメッセージが届くようになった。

「今週何か困ってることがある人はいますか?」


男手をあてにしたい作業は山程あるが、最近夫が肩が痛くて嫌がるようになった庭木の手入れを頼んでみよう。

庭で背が一番高いカツラの木は、脚立にのって高枝鋏を使っても、私にはもう枝先に届かない高さになっている。

それを任せて裏手の雑草を刈ったあと戻ってきてみると、フェンスを超えて隣の駐車場に脚立をたて一生懸命切り込んでくれてる息子がいた。思わず、お隣に断らないでそんな所までと焦ったが、あまりにバランス良く、自然な形に整っていることのほうに、出かけた注意の言葉も失ってしまった。

どこで、こんなセンスを身に着けたんだろう。今まで父親と一緒に庭作業している様子を見たことは無かった。

そうか!彼は、山が好きで中学高校と山岳部で、週末は山登りに出かけていたんだった。もしかしたら、そうした趣味を通じて自然の中の美しさを見出す心が育っていたのかもしれない。

切り落とした枝の始末はお母さんがするから、と、最後に重たい砂利の袋の移動を頼んで、この日のお手伝いは終了にした。

奔放に枝を伸ばすので庭木には向かいないと言われていたカツラの木が、今は、窓ガラスの額縁に形よくおさまって、ハート形の葉っぱを優しく風に靡かせている。

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