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牛肉と親戚

年末年始にいつも牛肉が届く。

父方の祖父母から送られてくる。まあまあ滅茶苦茶な量で、しかもクール便で来る。冷凍のほう。
うちの冷蔵庫はそもそも大した大きさをしていないので、たいがいその時期は冷凍庫がそれで埋まる。冷凍庫に入りきらない時はすぐ解凍して食べたりする。贅沢な話。

その肉ですき焼きをするのが、ここ何年かの定石だ。
鉄鍋に牛脂を引いて、肉を焼いて、砂糖と醤油をかける。焼けたらすぐ食べる。野菜も入れる。ネギはべろべろになるまで鍋に入れる。気を抜くと豆腐が鍋にくっつく。好きな時に好きなように皿に取る。おいしい。オールオッケー。
家族全員がほぼ大人になった今、親の手を借りずとも自主的に鍋奉行ができるようになったので、昔より「作って食べる」ことのエンタメ性を強く感じられるようになった。すき焼きでも焼肉でもバーベキューでも、肉の焼ける様子を眺めるのは面白い。

ふだん肉か魚かを問われたなら迷わず魚に一票を投じるようなたちではあるが、それはそれとして肉も脂も好きである。
牛肉のおいしさは暴力とほぼ同義だと思っている。全てを薙ぎ倒して頂点に立つようなカリスマ性が、牛肉にはある。ちょっと過言かも。
人並みに脂身が好きで食べたがるのだが、きっと今後本当に受け付けなくなる時が来るのだろうなと最近考えることが多い。今のうちにたくさん食べておこうかな。

そんな肉を送ってくれる祖父母であるが、遠方に住んでいることもあり今は荷物を受け取った時にする電話くらいでしか連絡を取っていない。
それでも、なんだかんだ声を聞くと昔のことを思い出す。まだ若かった祖父が運転していた車の匂いと、部屋の中に差していた夏の西日と、FF12が入っていたPS2。

これから先祖父母に会いに行くことはたぶん無いのだろうけれど、こうしてものを食べることで思い返すこともある。
冷凍庫は圧迫されるけど、わりと肉が届くのは嫌いではない。


写真は今日の夕飯のステーキチャーハン。

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