2022年よかった漫画
ごきげんよう。
いつも音楽のことしか書いてませんが、去年は結構漫画を読んだ気がするのでよかった漫画を紹介していきたいと思います(今更ですが)。
『生活保護特区を出よ。』1,2巻 まどめクレテック
能力不振や病気、障害等により自立困難なものに国が衣食住、生活を保障する「生活保護特区」が作られた架空の日本が舞台で、主人公のフーカがその特区の島に送られるところからこの物語は始まります。
劣悪な環境(特区の治安は悪く、島の半分以上がスラム)でサバイバルする話になるのかと思いきや、フーカは意外なほど早く順応し、むしろ特区に住む様々な問題を抱える人たちの現実に胸を痛めるようになります。
人を助けるとはどういうことなのか、そしてそのために社会はどうあるべきか、それらの問いに対する何らかの答えがこの物語の先にあるのではないかと勝手に期待しています。
『模型の町』 panpanya
まあpanpanya作品は全部良いのですが、それに加えて今作では「記憶の曖昧さに対する感傷」のようなものを描いた話や日記が散見され、テーマ性という意味ではこれまでで一番好きと言ってもいいくらいです。
個人的な話ですが、ここ数年、昔の記憶が薄れていくにつれて日々の現実感まで薄れている感覚があり、わかる気がするなあと思いながらこの漫画を読んでいました。
『放課後ひみつクラブ』1巻 福島鉄平
発売日がたしか今年の1/4だったのでレギュレーション違反かもしれませんが、ここでは私がルールなので遠慮なく紹介していきます。
傍若無人な蟻ヶ崎さんと冷静にツッコむ猫田くんが色々といかれている学園の秘密を暴いていくコメディで、めちゃくちゃ上手い絵とめちゃくちゃ下らない話の組み合わせで全力で悪ふざけしてる感じがとてもよかったです。
余談ですが、ジャンププラスで公開されている1巻より後の話では明らかにギャグのタチの悪さが増しているのでどこまで暴走していくのか非常に楽しみです。
『これ描いて死ね』1,2巻 とよ田みのる
漫画好きの主人公、安海 相(やすみ あい)がコミティアに憧れの作家に会いに行ったのをきっかけに、漫研を結成したりして自らも漫画を描き始めるお話です。
『金剛寺さんは面倒くさい』しかり、とよ田先生の漫画は愛があるなと思いました。優しさと厳しさが同居した愛が。
そして月並みな感想ですが、やはり何かを創り出すことに情熱を注ぐ物語は良いものです。
あとゴリゴリのプロの漫画家が相が描いたような「下手だけど良さがある漫画」をわざと描けるのがわかり、ちょっと怖いなと思いました。
『シメジシミュレーション』3巻 つくみず
1巻が出た当時はつくみず先生流の日常系萌え4コマが始まるのかと思っていたのですが………が、甘すぎましたね。つくみず先生流のストーンオーシャンだったというべきか。
3巻最終話の古代ギリシアらしき神殿のシーンの演出はさすがという他ありません。
1/27に発売された4巻も読者の想定を完全にブチ抜く展開で次巻へつづくとなったので是非。
『天幕のジャードゥーガル』1巻 トマトスープ
多分このマンガがすごい!のプロモーションツイートだったはずですが、ツイッターでとてもめんこい女の子が描かれた漫画が流れてきたので読んでみたらよかったです。
時代が時代だけに話自体はかなり血生臭いものの、独特の美意識に貫かれた作画のキャラクターが総じて可愛らしく、スラスラと読めました。
知識を深めることの意味が物語の柱になっているという点では『チ。』に似ているかもしれません。
『クロシオカレント』1巻 こかむも
少女終末旅行のアンソロジー2巻に収録されていた大麻吸う話が非常に良かったこかむも先生の作品です。
青騎士創刊号に載っていたローンチトレーラー回といい単行本の装丁といい、特にゲームの中の世界の話ではない(多分)のにゲームのデザインを取り入れてるのが面白いです。
キャラクターデザインのポップさやちょっと奇妙な世界観は道満清明作品を彷彿とさせるところがあります。
『音盤紀行』1巻 毛塚了一郎
時代も地域も異なる様々な人とレコードを巡る物語の短編集です。
密輸盤や海賊放送の話など少々骨のある話もあるものの、基本的にあっさりとした読後感の爽やかな作風です。
レコードというよりはむしろ音楽を通じた人間ドラマが主なのでレコードになじみのない人でも音楽をテーマにした漫画が好きな人なら楽しめるかもしれません。
植芝理一っぽい(?)丁寧さを感じる画も良いですね。
以下、去年の新刊ではないものです。
『ベルセルク』1~35巻 三浦健太郎
はい、今更読みました。
作画については言うに及ばずですが、キャラクターの心情描写が抜群に上手く、特に黄金時代編のガッツやグリフィスがあのような結末に至ってしまうまでの道筋が無理なく描かれていて、物語への没入感がすごかったです。
あと一番ファンタジーなのはガッツの頑丈さだと思います。
『狂四郎2030』全巻 徳弘正也
壮絶なストーリーが、その中で描かれる人間の醜さや逞しさが、とにかくすごかったです。
これもベルセルクと同じくらい名作扱いされていてもおかしくないと思います。
政治がきな臭くなっている現在、その先にあるものを想像する材料の一つとしてもこの漫画を読めてよかったと思います。
『亜人』全巻 桜井画門
永井君がテンパりながら奮闘するのを楽しむ漫画。
佐藤との決着のつけ方は正直物足りなかったですが、まあそこまでが面白かったので逃げ切り勝ちみたいなものでしょう。
新刊じゃないやつは他にも読んだものがあった気がしますが、とりあえずは以上です。
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