日本の食品添加物の”許容摂取量”はどのように決められているのか?
私達の現在の食生活は、以前にも増して加工食品が必要不可欠な存在となっていますよね。
令和元年8月に農林水産政策研究所から報告された「我が国の食料消費の将来推計(2019年版)」によると、総世帯における生鮮、加工食品、外食別の食料支出構成割合において生鮮食品の比率は、大幅に縮小しています。
「35%(1955年)→27%(2015年)→21%(予測値 2040年)」
一方、加工食品の比率は、
「44%(1955年)→52%(2015年)→59%(予測値 2040年)と増加し、加工食品に大幅にシフトしていくと見込まれます。
特に、今後シェアが高まる単身世帯で、外食、生鮮食品からの転換により、加工食品のウェイトが著しく増大する(2040年予測値は64%)と予想されています。
食品添加物の分類について
加工食品にもよく用いれられている「食品添加物」は、
指定添加物(466品目)
既存添加物(357品目)
天然香料 (約600品目)
一般食品添加物(約100品目)
に分類されます。
(※それぞれのリストはリンクを参照してください。)
この中で指定添加物のみが、食品安全委員会によって評価され、純度や成分の規程などの基準が厳密に決められています。
一方、既存添加物は、日本では広く使用されており、長きにわたり使用されてきたもので、例外的に使用、販売等が認められてるものです。
たとえば、「コチニール色素」はこの”既存添加物”に含まれますが、化粧品や食品からの摂取によって、蕁麻疹や呼吸困難などのアレルギー症状が引き起こされることは、専門医の間では有名な話です(詳細はまた後日)。現に2012年に消費者庁より、注意喚起が出されているのです。しかし、既存添加物の「許容摂取量等」の規定は存在しません。
指定添加物の許容摂取量の決め方
指定添加物のみが、食品安全委員会によって評価され、純度や成分の規格なども基準が厳格に決められています。
具体的には、
マウス、ラット、ウサギ、イヌ等の複数の動物種を用いて単回投与毒性試験、反復投与毒性試験、発がん試験や遺伝毒性試験などを行い、全ての毒性試験の中で最も小さい値(無毒性量、no observed adverse effect level; NOAEL、動物を使った毒性試験において何ら有害作用が認められなかった用量レベル)を導き出し、その量が指定添加物として使用されます。
動物試験から得られたNOAELをヒトと動物との種差と個体差から設定した安全係数100で割った値が、
1日許容摂取量(ADI : Acceptable Daily Intake:人がある物質を毎日一生涯にわたって摂取しても健康に悪影響がないと判断される量)となります。
例えばある食品添加物の動物実験の結果のNOAELが0.06 mg/kg体重/日としたらこれを100で割った0.0006 mg/kg/日が1日許容摂取量となる訳です。この量なら一生毎日食べてもOKとしてる訳です。
では、実際私達はどのくらいの食品添加物を摂取してるのでしょうか?
マーケットバスケット方式と呼ばれる、国立医薬品食物衛生研究所および地方衛生研究所5機関において、市場から購入してきた加工食品から食品添加物の含有量を分析し、国民の一人が食べる平均的な食品添加物の量を推定する調査法があります。
平成30 年8月2日薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会添加物部会報告の「平成29 年度マーケットバスケット方式による酸化防止剤、防かび剤等の摂取量調査の結果」を見ますと(下表)
酸化防止剤のトコフェロール類の国民の1日摂取量は、6.41 mg/人/日であり、ADIが0.15か2 mg/kg体重/日ですので、体重60㎏換算した1日許容摂取量(ADI)は、117 mg/人/日になります。酸化防止剤のトコフェロール類の国民の1日摂取量6.41 mg/人/日は、ADIの5.47%に過ぎないと報告してます。
1品目でこの値です。この量が多いのか少ないのかは個人の感覚によります。私達が食する加工食品には一体何品目の食品添加物が含まれているのでしょうか。
私達は自ら食品を選択し、自衛すべき時代に入っています。
次回は食品添加物がアレルギーに関与する実態をお話致します。
ここまでお読みいただき、ありがとうございました。
「本サイトにおける主張は私個人のものであり、所属団体とは一切関係ございません。」
アレルギー専門医 おかよし
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