【ポケモンSV】SVのストーリーを振り返ろう
はじめに
アラーです。アニポケ以外の記事は初めてになります。(自己紹介を除く)実を言うと、SVに関して、最強レイドについての記事を投稿する予定だったのですが、没にしました。あまりにもネットに毒された所感が過ぎましたし、何か違うなーとなったので。タイトルにもありますが、今回はSVのストーリーに関する話をしていきます。ネタバレ注意でよろしくお願い致します。
(………アニポケ感想といい、今回といい、ネタバレ記事ばっかだな)
ポケモンSVのストーリー概要
SVのストーリーは大きく4つに分かれます。1つ目はジム巡りをし、チャンピオンを目指す「チャンピオンロード」。The・ポケモンって感じのやつですね。2つ目は後々に主人公の親友(ダチ)になりますが実は先輩のペパーと共にひでんスパイスを集める「レジェンドルート」。実は結構感動モノ。3つ目は学生組織・スター団の壊滅を目指す「スターダスト☆ストリート」。これも実はグッとくる。4つ目はこれら3つのストーリーをすべてクリアすると解放される、エリアゼロを探索する最終ストーリー「ザ・ホームウェイ」。これはマジでヤバいです。私がSVのストーリーがマジで良いと評価する要因はここでの感動に集約されています。
ここからは各ストーリーに分けて話を進めていきます。
チャンピオンロード
まずは「チャンピオンロード」のお話。これはジム巡りをしてチャンピオンを目指すというポケモンの王道ストーリーなのですが、ここでスポットが当たるのが本作のライバル枠のネモ。彼女はストーリー開始時点で既にチャンピオン(本作はチャンピオンの肩書が資格化されていて、複数人存在するような描写がされている。しかし、本作に登場するチャンピオンは主人公、ネモ、オモダカの3名のみ。DLC後編で戦うことになるブルべリーグチャンピオン・スグリは学内リーグのトップという扱いなので除外。そもそもブルべリーグを導入しているブルーベリー学園自体パルデア地方ではない。)として主人公の前に現れます。ライバルがチャンピオンというのは、初代のグリーンや初代(ピカチュウ版)リメイクであるピカブイのシンを彷彿とさせますが、この2人は始めは初心者トレーナーで最後の最後でチャンピオンとして立ちはだかるので、明確に同じかと言われると異なります。
また、このネモというキャラクター、戦闘狂である面が強く描写されており、「実り」を口癖のように使っております。そのことから、『HUNTER×HUNTER』の「ヒソカ=モロウ」というキャラを彷彿とさせ、ヒソカ=ネモロウと呼ばれたり、ヒソカ風ネモが出回ったりと、ネットでは散々ヒソカいじりをされてしまいます。悪ノリ自体は私も嫌いではないのですが、私自身の心境としましては、ヒソカいじりがあまりにもくどかったというのと、ネモの背景をストーリーを通じて知ったことがあり、あまり良い気分ではなかったというのが本音です。私自身、この風潮に嫌悪感を抱いていて、あまり見ないようにしていたのでネモというキャラクターにどれだけリスペクトがあったのかは分かりませんが、ネモの戦闘狂という一つの側面にだけスポットが当たりすぎてしまい、ネモというキャラクターの本質が抜けた揶揄だったように感じております。
さて、話が少し逸れてしまったので戻します。ネモの背景として、才能ゆえの孤立があります。ネモは勝ち負けにこだわらずバトルそのものに楽しさを見出している子なので、色んなトレーナーと切磋琢磨したいと考えております。しかし、ネモはバトルの才能があり、最年少でチャンピオンとなった実績から、「ネモは天才だ」「戦っても勝てない」と言われ、周りから距離を置かれてしまいます。ネモ自体はとても良い子なのですが一種の畏怖ですね。それがきっかけでネモは誰かと戦う時に手加減をするようになってしまいました。そのような中で出会ったのが主人公、そう私たちです。全力で戦っても勝てない最高のライバルに出会えたことがネモの心境に変化を生み出し、彼女は宝物を見つけ出すことが出来ました。一見すると、ネモは終始表裏のないようなキャラクターに見えますが、序盤にスター団を成敗する話になり、主人公のテラスタルの練習としてスター団と戦うことになったのですが、その際にネモはスター団に対して主人公の練習台にされるのが嫌なら自分と勝負だと言い、スター団はネモよりも主人公の方が勝ち目があると言って主人公と戦うことを選びます。これは、勝ち目のなさから自分と戦うことを避けられてしまうことに関して、自身で皮肉っていると解釈することが出来、ネモが内心抱え続けてきた苦しみを想像することが出来ます。だから、私はネモというキャラクターが大好きで、ヒソカいじりされることに嫌悪感を覚えるのです。このような背景を踏まえたうえで、本ストーリーラストのネモ戦に臨むとBGMも相まって非常にグッとくるものがあります。
チャンピオンロードはチャンピオンを目指すというポケモンシリーズの王道ストーリーではあるものの、自身の強さゆえに孤立してしまったネモが対等に接することが出来る宝物を見つけ出す裏ストーリーが存在するのです。
レジェンドルート
次に「レジェンドルート」のお話。どんな病気も治せると言われる秘伝スパイスを求めてペパーと共にパルデア各地を冒険するという話なのですが、ただボスポケモンを倒していくだけの話なのかと思いきや、まさかのポケモンとの家族愛を描いた感動話。私はストーリーの前評価のようなものは特にしていなかったのだが、これには驚かされた。正直レジェンドルートでここまで感動するとは思わなかったから。
ネタバレ注意と最初に書きましたし、タグにもネタバレタグをつけて投稿する予定なので、がっつりネタバレを書かせてもらうが、レジェンドルートの終盤、ペパーの相棒・マフィティフが最後のスパイスを口にし、その後ペパーが「よく頑張ったな」と声をかけた時は本当にダメだと思った。テーブルの上のマフィティフのモンスターボールが落ちた時は正直諦めていた。あぁ…間に合わなかったのかと。ポケモンは子どもをメインターゲットにしたゲームなので、死を描写されることは多くないのですが、アニポケでマオの母親の死が明言されていたり、ニャビーの師匠である老齢のムーランドの死が現在の時間軸で描写されるなど、他媒体まで広げてみると生物の死にスポットが当てられることがあります。そのため、私もこのパターンだと思いました。4番目のタイミングで少しずつ調子を取り戻していたマフィティフが急に何も体調の好転を見せなかった時点で嫌な予感は薄々しておりました。本来であれば、ここで奇跡の復活を果たすのが王道なのでしょうが、ここでマフィティフは死を迎えるが、ペパーの心の中で生き続け、前へと進み続けるというのもまた王道かと。ですが、その奇跡の復活をマフィティフは果たしてくれました。これには驚きとともに感動しました。ペットを飼っている、もしくは飼っていた経験のある方であれば、より鮮明に来るものがあったのではないかと思います。
まあ、その後のペパー戦でものの見事にボコボコにされるわけですが。マフィティフ病み上がりでハッスルちゃんし過ぎですし、パーティ全体が普通に強いんですよね。
この「レジェンドルート」はペパーにスポットを当てたストーリーなのですが、4つ目のストーリー「ザ・ホームウェイ」を含めて、ペパーのストーリーは完結すると思っております。ここからは「ザ・ホームウェイ」のところで詳しく語っていきます。
スターダスト☆ストリート
さあ、この調子でどんどん行きましょう。続いては「スターダスト☆ストリート」のお話。学園の問題児が徒党を組んだ学生組織・スター団を壊滅させるべく、スター団の元関係者であるカシオペアや校ちょ…謎の生徒・ネルケと共にスター団と戦う話。この話は歴代でいう悪の組織絡みの話に該当しており、本作の悪の組織枠がスター団となっております。第7世代から世代を追うごとに悪の組織の規模がショボくなりつつあると言われております。第7世代SMではアローラのチンピラ集団・スカル団が該当するのですが、その裏でエーテル財団というポケモン保護団体が暗躍しておりました。第8世代剣盾ではマリィというキャラの厄介ファン集団・エール団が該当し、前作でいうエーテル財団枠がマクロコスモスに当たりました。本作もそのような形なのかなーと発売前は思っていたのですが、本作は明確な悪役が登場しませんでした。
というのも、スター団はいじめを受けたことがきっかけで結成された徒党。最近は玉石混合といった形になっていたのかもしれませんが、いじめの被害者たちがきっかけだったことは事実です。いじめに対して正面から戦う意思を示したスター団のボスたち(ボスと明言されているが、イメージとしては派閥のトップというのが近く、スター団の幹部というべき存在)だったが、いじめっ子らが全員退学したことをきっかけにことが大きくなりすぎてしまい、スター団のトップであるマジボスもといカシオペアが責任を取る形で解散させようとしていました。しかし、ボスたちがマジボスの復活を信じて待ち続けた結果、玉石混合によるところもあり、ただの不良集団となってしまいました。マジボスとボスたちの心境に差があることから、掟に則り力によって解散させるしかないと、マジボスもといカシオペアもといボタンが主人公に協力を要請する形となります。
そうなると、スター団の話の相棒枠(ネモ・ペパー枠)はボタンになるのかと思いきや、まさかのネルケもといクラベル校長。クラベルはPVで登場した際の胡散臭さや前作で一組織のトップが主人公の前に立ちはだかった前例もあり、クラベルを本作の黒幕と予想する声が、「エアプクラベル」とかいう概念が生まれてしまうくらい多かったのですが、蓋を開けてみると黒幕どころか本作屈指の聖人でした。学園の校長という立場でありながら、自ら前線に出て実態を調査しようとする姿勢、実態を把握できていなかったことに関する学園のトップとしての生徒たちへの謝罪、道を外してしまった生徒たちを守りたいという思いから主人公に勝負を挑み勝てば自らマジボスを倒しに行こうとする覚悟、数え上げればきりがないほどの聖人ぶりで、まさに教育者の鑑でした。私はクラベル校長が大好きです。
話をスター団の方に戻しましょう。マジボスもついに敗れ、いよいよスター団解散となるわけですが、ここでクラベル校長からこれらの話があります。
・スター団の生徒たちの退学勧告の撤回
・STC(スタートレーニングセンター)スタッフとしての慈善事業
スター団の実情をしっかりと把握したうえで、校則違反を起こしたことはしっかりと咎める我らがクラベルさん。だから好きなんだよ、この人。
退学勧告を無視し続けたボスたちも根底ではスター団を続けたいと考えていたことから、断る理由はありません。スター団は新たな道を歩み始めます。
ザ・ホームウェイ
いよいよ終盤、「ザ・ホームウェイ」の話へと入っていきます。ペパーの親であり、テラスタル研究で有名な博士でもあるオーリム/フトゥーの提案によってエリアゼロに赴くことになる。エリアゼロは立入禁止になるほどの危険エリア。主人公とペパーだけでは心もとない。ということでこれまでのストーリーで出会ったネモ・ボタンと共にエリアゼロへと赴くことになる。主人公・ネモ・ペパー・ボタンの4人組は巷では「ホームウェイ組」と呼ばれております。
ホームウェイ組でエリアゼロの最深部へと向かっていき、最終地点・ゼロラボにて主人公は博士と対面しますが、実は本物の博士ではなく、その正体は博士を模したAIロボット。では本物の博士はというと、すでに亡くなっていると。博士は長い間エリアゼロにて結晶体の研究を進めておりましたが、実験中の事故によって命を落としてしまったそうです。
また、エリアゼロの各地にある観測ユニット内の博士の日記によると、博士の夢は自らが魅了された異なる時空のポケモンや自らが愛する家族と共に仲良く暮らす楽園を創ること。ですが、実験の危険性ゆえに離れていくスポンサーと子供が産まれたことを機に自らの元を離れてしまった配偶者。そして、博士は実験の合理性を求めた結果、自らのAIロボットを開発します。推測の域を出ませんが、おそらく配偶者が出ていった時点で、博士はもう誰のことも信じられなくなるほど追い詰められていったのだと思われます。自分の研究に協力してくれると言ってくれたスポンサーも、自らの作った楽園で仲良く暮らすことを夢見た愛する人も、自らのもとを離れてしまった。片親の環境で育てられたペパーも親が研究に没頭していることから、愛されていないと感じ、親のことを嫌ってしまっていました。ゼロラボ内のホワイトボードには幼少期のペパーとオラチフの写真が貼られています。博士が家族を愛していたことは事実だと思います。ですが、研究に没頭し家族と向き合えていなかったこともまた事実。何かが違えば、異なる未来もあったのかもしれないと考えてしまいます。(DLCのあの話を見てしまうと、どうしてもそう考えずにはいられなかったです)
この話では、ペパーと博士の親子愛を中心として描かれますが、それとは別にホームウェイ組にもストーリーがあります。異なるきっかけで主人公と出会ったネモ・ペパー・ボタンの3人が今回の一件をきっかけとして絆を深めていきます。最初のペパーとボタンのように馬が合わないこともありましたが、互いに歩み寄ることでそのわだかまりも無くなっていきました。
博士が自らの夢を求めて開発したタイムマシンにより、パルデアの生態系が破壊されてしまう危険性から、タイムマシンもとい博士の夢を破壊しなければいけない結果となりました。ですが、AI博士がこの場所に居続ける限り、タイムマシンが止まることはない。その中でAI博士が選択したのはタイムマシンにより自らの憧れた時間軸の世界へ旅立つこと。AI博士はゼロラボの結晶体を原動力としていることから、異なる時間軸の世界へ旅立つことは即ちAI博士の死を意味していると解釈しております。古代/未来の世界を見たいというのは、AI博士の本心でしょうが、おそらく結末を覚悟していたのではないかと思っております。そして、その場にいた全員が薄々勘付いていたことでしょう。今回の一件でペパーは本当に実の親とお別れをする形となってしまいました。ですが、ペパーは前を向いています。ペパーと共に前を向いてくれる宝物(なかま)がいます。たとえ過去が苦しくても、困難な未来が待っていても、彼は前を向いて進み続けてくれることでしょう。
最後に
長文になってしまいましたが、最後までご拝読くださり、ありがとうございました。本記事では紹介しきれなかった部分もありますが、ポケモンSVはキャラの一人一人が本当に魅力的であり、ストーリーも非常に濃密度の高いものとなっておりました。
今回は省略させていただきましたが、DLC『ゼロの秘宝』において、主人公はあるキャラの抱く感情と真正面から向き合うことになります。本編もDLCもどちらにも言えますが、本作の主人公は一人のキャラクターとして他キャラクターと向き合う形となり、それ故に非常に感情移入がしやすかったと感じております。DLCはマジでしんどかったです。それ故にDLCの主人公とも言うべきあのキャラクターを実況者さんが煽ったり尊厳破壊しているの見るのが、一種のエンタメと理解しつつも正直マジで嫌でした。
本作はバグであったり、テラピース問題ですとか、その他もろもろ完璧と言えるゲームではなかったと思います。ですが、断言します。ストーリーは歴代最高傑作です。本作のストーリーは本当に感動しましたし、製作陣の皆様がストーリーに力を入れてくださったことが本気で嬉しかったです。対戦勢の方々の間ではストーリーはチュートリアル、クリアしてからが本番みたいな風潮があるようなので。
ポケモンはRPGゲームであるが故にストーリーのネタバレもあります。ネタバレを踏んでしまったら興が冷めるという人もいることでしょう。散々大ネタバレの内容を出しておいて言えたことではないかもしれませんが、ポケモンSVをプレイしていないという方は、是非自らの手でプレイしてください。そして、自らの目でキャラクターたちと向き合い、自分だけの宝物を見つけていただけますと、1ポケモンファンとして嬉しいです。
今回は以上です。ありがとうございました。
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