虫と試練(おるば編)
ましゅは虫が苦手だ。ものによるかもしれないが、基本的に好んで触るところは見たことがない。蝶々だって「綺麗だね」と言いつつ近づかないし、苦手なんだと思う。
そんなましゅの頭に虫がついている。
バナナ虫かな?久しぶりに見たわ。色が目立つから(今日は髪留めでも付けてるのか)と思ってよく見たらバナナ虫だった。さてどうするか…。
①虫がついていたと悟られないように取る
②虫がついてると教えた上で取る
ましゅがショックを受けることを考えたら①がベスト!早速実行だ。
「でね、結構先なんだけど7月に花火大会があるから一緒にどうかなと思って……」
「お、おう!いいな、楽しみだな!」
ましゅの頭に集中しつつ話を聞いているので、相づちが変だったかもしれないが、目線は逸らさない。ましゅはにこにこしながら話を続ける。
「それで今年はせっかくだから、甚平でも着てみようかなと思ってて。おるばくんが良いならだけど…」
うわ!虫が動いた!顔の方に近づくのやめろ!様子を伺っていたが悠長なことも言ってられない。俺はましゅに向き合い、片手でましゅの頬に触れ、もう片方の手で虫をサッと掴んで背中の方に投げた。
「ど、どうしたのおるばくん」
「あの、虫が、間違えた。ゴミが付いてたから!」
台無しである。