惚気
二人のやりとりから得られる栄養とは別で、
当人たちの惚気から得られる栄養がある。
こんにちは、『日焼け止め』でも出てきたモブの眼鏡です。
なんだこのカスみたいな挨拶は。
それはさておき、今日もあいつらの話をさせてください。
(※モブ視点)
なんでか知らんが、おるばじゃなくてましゅとばっかり接点が多い俺です。
どっちかっていうとおるばの方が仲良かったんだけど、係とか日直とかグループ活動で一緒になるのはましゅばっかりで。新学期と比べたら話せるようになったけど、別に話題も無いので基本的に無言。仲良くならなくったっていいけどさ…。
今日は部活の関係で職員室に行ったら、何の用かはよく分からんが、職員室からましゅが出てきた。
同じ教室に戻るし、何となく一緒に歩いてたけど話題が無くて気まずい。
「あー…、ましゅは何の用で来たんだ?」
「別に、課題出しに来ただけだけど。」
ほらまた塩対応。おるばの時と同じようにとは言わないけど、愛想無さすぎないか?
また30秒ほど無言が続いた。俺は小心者なので、無言が続くとその気まずさに耐えかねて、必要以上に喋ってしまうのだ。
「あのー…最近どうだ、おるばと」
ましゅは少し驚いた様子だった。そうだろう。俺もなんでこんなこと口走ったか自分で驚いている。
「どうだって、何?」
当然すぎる返答。
「あのほら、お前ら仲良いだろ?
でも正直お前ら趣味も全然違うし、遊んでる
イメージとか湧かないなと思って…。」
めちゃくちゃ早口になってしまった。ましゅとおるばをさりげなく観察していることがバレてしまっただろうか。
ましゅは少し考え込んでいて顎に手を置いている。また数秒の沈黙。
「そういえば…。この間2人で魚釣りに行ったよ。」
「魚釣り?おるばは納得だけど、ましゅは意外だな。」
「そう、餌が虫で気持ち悪いし、僕魚締められないし、なんなら釣れた魚を針から外せないから全部やって貰ったよ。」
「なんだそれ!」
そこからは普通に話せたし、ましゅも笑いながら喋ってた。普通に良い奴じゃん。不必要に緊張してたのかもしれないな。
それから数週間後、その間も時々タイミングが合えばお喋りしてたので、「わざわざ話しかけには行かないけど、タイミングが合えば普通に話す仲」になれた。
もうこっちが「最近どう?」とか聞かなくても、
「今度紅葉狩りに行くんだけどさ」
ってましゅから喋り始めるようになった。
ぜーんぶおるばのこと!
聞いてて普通に面白いし、胸のポカポカは止まない…。、