どう転んでも怖い話
日曜日の夜にとても怖い思いをした。ということで
「これは昨夜起きた怖い話なんだけど」
ましゅがビクッとする。
「朝から怖い話……。どういう系?」
「昨日俺が部屋でゴロゴロしてた時にさ」
「うわ、強引」
「そろそろ寝ようかなと思いつつスマホ弄ってたわけ。そしたら押し入れからガタガタ聞こえたんだよ」
「もう既にこわ……。泥棒とか?」
「そう思うじゃん?で、押し入れ開けてみたわけ」
「開けたの?!やめときなよ危ないから!」
「それ開けてから俺も思ったんだけど、結果的に大丈夫だったから良かったよな!
押し入れの中には誰もいなくて、奥にしまってあるダンボールが揺れてるんだよ」
「無事で何よりだけど、絶え間なく怖いことが起きてたんだね……。」
「とりあえず動いてるダンボール開けてみたら」
「行動力えぐくない?」
「中に雛人形が入ってたんだ」
「ゔっ、人形系の怖い話無理……。」
「ここからが1番怖いところなんだけど」
「まだあるの……。」
俺はスマホの写真を見せる。ましゅは頑なに見ようとしないので、結局口頭で説明する。
「昔、家におもちゃとか置いてなくてさ、雛人形に五月人形の刀とか持たせて遊んでたんだよ。それで桃太郎ごっことかやって、お雛様が五人囃子連れて五月人形の兜を倒しに行くって設定で遊んでたんだけどな……。
俺、思い出しちゃったんだよ。
桃太郎ごっこの時に使った団子……おやつの時に出た団子ちぎってそのままお雛様に持たせてたんだけど……
片付けた覚えがない」
「ひっ……」
月曜日の朝から二人とも暗い顔してたら、他の友達にどうかしたのかって聞かれたけど、恐ろしくこれ以上人に話せなかった。
帰ってから ちゃんとお袋に謝って人形綺麗にした。