ふとよぎる妄想

 昼休みに入ってから聞いたんだけど、クラスメイトのやつが、他校に彼女ができたらしい!おめでたい。中学のころから好きだったとか言ってたし、告白上手くいって良かったな。

「いいなー、おめでとう!」

 照れくさそうに笑う。初々しいな、お幸せに!なんとなく俺もつられて幸せな気分になった。さて弁当食べるかと思ってましゅの方を向いたら、ましゅの眉間がしわしわになってた。

「ましゅ?どうした?」
「……おるばくんは彼女欲しいの?」

 俯きながらぽつぽつ喋る。心なしか不安そうに見える。

 なんて愛おしいんだ。思いっきり抱きしめてやりたい!ましゅがいれば他に何もいらないんだって、そんな心配しなくていいんだって、今すぐに叫んでやりたい!可愛いすぎないかこいつ……。

 衝動性をぐっと抑えて咳払いをする。ここが学校じゃなければ、皆に公言できる社会なら、良かったのになと再確認した。

 とびきりの笑顔を用意して、周りから変に思われないような言葉を選んで、ましゅの肩に手を置く。

「俺は彼女は要らないかな。ましゅといる方が楽しいだろうし!」

 ましゅはほっと肩を撫で下ろす。周りの男子は「彼女できたらデレデレしそうなくせに」とか適当言ってやがる。

 ある日突然世界が滅亡して、二人だけの世界になったらいいだろうにって考えちゃうよ。不謹慎な俺を許してくれ、ましゅ。

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