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虫と試練(ましゅ編)

僕は虫が苦手だ。基本的に全部無理。見るのも無理な虫と、遠くから見るだけならOKな虫の2種類しかない。足の本数は何本でも無理。

そんな僕の隣を歩いている、おるばくんの前髪に何かの虫がついている。

やたら黄色っぽい。カメムシ…?追い払おうとして臭くなったら最悪だけど、早く対処しないと可哀想だ。どうしよう…。

①虫が付いてるよとおるばくんに伝えて、おるばくんに取ってもらう。
②おるばくんに気づかれないように僕が何とかして虫を取る。
③他の人に助けてもらう。

カメムシっぽいのが付いてるって気づいたらショックだろうし、出来ればバレずにスマートに助けてあげたいけど、そんなの無理!近くに誰かいてくれたら良かったけど、都合良く誰かが現れる訳でもないから…僕が頑張るしかない…!

「それで7月から8月にかけてサーカスが来るらしいんだけど、月末は花火大会と被ってるんだよな。いつがいいかな?」
「そ、そうだね…いつでも大丈夫だよ」

もう気が気じゃないので、じーっとおるばくんの前髪を見てたら話が頭に入ってこない。ごめん!

「ましゅ、そんなに見られると恥ずかしいんだけど…」
「あ、ごめん」

でも視線は外さない。見逃したら終わるから。
そうこうしているうちに虫が顔の方に近づいていく!動くな!やめろ!

僕があたふたしていたら、おるばくんが「ん?」と言って前髪をパッパと2回払った。

「なんか付いてたわ」
「そ、そうなんだ。全然気づかなかった!」

もう僕にできることは虫なんて付いて無かったよとアピールすることだけ。僕は無力だ…。

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