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第2停留所:[   ]/そち

バス停がある。

名前はあるのだろうが、それ以上に目を引くのは…ただ“何もない事“、か。

見渡せど周りに建物はなく。
雨除けの屋根もなければ、座って待つベンチすらもなく。

ただ、田畑や木々、ボロボロの一本道が広がるのみ。

人一人として見かける事すらない。先々から遠く行き交う車の音が響いてくる事もない。
せいぜい耳へと届くのは、そよぐ風が木々をくすぐり、サーサーと立てた緑の音色ひとつくらいか。
それは遠い音だった。

そしてそれゆえにこのバス停は、とても目立つ。
ぽつんと立てられたその錆だらけのシラユリは、くすんだ文字でたった二つ三つの時刻が書かれているのみ。

はたしてここに立つ私を人々は
嗚呼馬鹿だ、と笑いでもするだろうか。

例えそのオンボロな軽トラックで此処を通り過ぎるようなことがあったとして…目に入るその光景にどのような物語が芽吹いているのか、想像のひとつも膨らませやしないのだろうか。

その本が如何に薄っぺらであろうと、風はどんなに冷たく切り裂こうとも
一夢をのせる箱は、変わらず来たるものだと言うのに。


私はただ、そこに立っている。



ご乗車ありがとうございます。

バス停オムニバス参加作品
作者/そち
代筆/アルフォンス・モシャ(フィオ)


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