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駅歩紀行#5 JR根岸線根岸駅

久々に横浜時代のガソリンの香りを思い出した。

JR根岸線根岸駅のことである。

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磯子区の住まいから歩くこと20分の最寄駅。朝に人身事故の情報があれば地下鉄を使って横浜駅まで回避するか、根岸線に突っ込んで覚悟を決めるかのいずれかである。実際に会社出勤で遅刻することは1桁で済んだのも咄嗟の判断のおかげである。

この駅は近隣に東急ストア根岸店があったり、ミスタードーナツがあったり、マクドナルドがあったりと、一応生活には困らなかった。実際に、スーパーでは豚とろを買い続けたり、マックではポテトとナゲットを夕方のおかずにしたりと胃袋を満たしていた。また自宅の近くではドラッグストア1件、コンビニ2件、スーパー1件、牛丼屋1件とこちらも全く困らなかったため、過ごす分には十分な選択肢である。

根岸と聞くと、終点駅磯子駅の一歩手前で中途半端なイメージもあるが、自分にとって京浜東北根岸線で一番困ったのは蒲田止まりと桜木町止まりで、帰宅時の苦々しい乗り換えも今となっては横浜時代のいい思い出である。

さて、冒頭ガソリンの香りと述べたが、この駅は貨物駅併設で、旅客列車も貨物列車の信号の影響を受ける駅である。が、それ以上にこの駅はガソリンの香りがその日の状況によっては周辺各地に漂う。最初はなんじゃこりゃと思ったが、地図とウェブを確認してすぐ理解した。東日本大震災の際に活躍した駅だと。

また、貨物列車に惹かれたきっかけの駅でもある。電気機関車であったりディーゼル機関車が関内方面にタンク貨車を引っ張る光景は、なんか逞しい感じがする。精神科の治療の際に石川町(元町中華街)駅で電車を待っていた際も、タンク貨車の光景を目にしてどこへ行くのだろうとワクワクしたものだ。

駅前から離れると、すぐさま住宅街、静かな環境である。ガソリン製油所があることを意識させるように、タンクローリーが駅前の大通りを駆け抜ける。

それ以上に住宅街がメインの駅のため、周辺環境は殆ど何もない。それが何か想像力を掻き立てる。

周辺の利用者を見ると、ファミリー層が多かったイメージがある。先進的ではなく保守的かつ堅実的な人が多かったイメージが残る。

西に磯子駅、東は山手駅。どちらも住宅街で国際都市横浜の華やかなイメージとは違い、根岸駅周辺と同じような庶民的な環境であった。

タンク貨車の音が今も脳裏に残る根岸駅。コロナ禍が過ぎれば、再度尋ねたい。

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