【神奈川・川崎】迎賓館(ラブホテル)
だいたいの人が川崎の迎賓館と言えば映画「ヘルタースケルター」を連想するが、私はシンガーソングライターの湯川潮音さんを思い出す。
彼女が別名義でアルバムをリリースする際、MVを撮影したのが迎賓館だった。
迎賓館は2019年5月に閉業した。
Twitterを検索すると閉業を惜しむ呟きで溢れており、前々から気になってはいたもののそれなりに遠いうえに、目にする口コミが微妙だったので敬遠していたが、仮にも昭和遺産愛好者が迎賓館未体験なのは如何なものか?と、5月のGW中に行ってみた。
とんでもない所に来てしまった、と思った。
迎賓館には数部屋、凄い部屋がある。屋形船のようなベッドのある部屋や、贅を尽くした中華風の部屋などだ。
ただ、今回私が入った洋館のようなこの部屋は、迎賓館の中でも最も至高と言っても過言ではない部屋だと思う。
しかもここは、湯川潮音さんのMVを撮影した部屋。
この超大型連休中に唯一空いていたのがこの部屋で、ラブホの神に祝福されてる気分になった。
部屋の造りは無駄に広く、無駄に豪華、無駄にメゾネットタイプ。
この3つの無駄が、この部屋の文化遺産度を上げているように思える。
まるでアミューズメントパークのようで、階段の下には三美神のような石膏像、洗面台や衣紋掛けすら抜け目無しの装飾過多。
薄型テレビ(オンデマンドでえっちな映像もDVDも見れない)、冷蔵庫、電子レンジは完備されていた。
アメニティも一通り揃っていた。
ベッドルーム自体は普通だが、カーテンで仕切ることによってアダルトな演出ができる(カーテンの留め具がいくつか死んでいるが)
ベッドの四つ脚が接する箇所の床は、なんとなく擦れて凹んでいるような気がし「これまでにこのベッドの上で数多の欲望とロマンスがない交ぜになり爆発し、ベッドが揺れて床が擦れて凹んだのかも」と、感慨深くなってしまった。
二階からの景色。
ラブホテルでこんな高所に上がることは稀だと思う。
シャンデリアが二つもあるし、天井画もしっかり描かれている。
二階には8畳くらいの部屋が一つ。
真紅のカウチが一つ置かれた薄明かりの部屋はなんとも淫靡な雰囲気。
ただ、カウチの生地に何やら白いシミが付いているのを見つけてしまった。
まあ、おそらくそういうことかもしれない、と察したので触れないでおいた。
浴槽が貝殻。天井も貝殻。ものすごく装飾過多。
広さもかなりあるからか、手前と奥の二箇所にシャワーがあった。
浴槽の縁から天井に伸びる柱は何本が撤去した跡もあり、残る柱も木製なので水気で腐食されてはいたものの、なかなか清潔そうだった。
総合すると、迎賓館、やっぱり凄い。
そりゃ閉業も惜しまれるわけだと納得した。
けれど、古くから戦い続けたホテルにそれ言う?ていう感じだけれど、ちょっとだけ言いたい。
部屋めちゃめちゃカビ臭かった…
臭い凄すぎてこれ絶対宿泊は無理、と思った。
しかも前の人が使ったバスタオルも回収されてなかったし…
古さ故のガタつきやその他様々な理由で、こういうホテルがなくなってしまうのも時代の流れ的に仕方ないかなぁ、と感じざるおえないホテルだった。
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