なぜオタクは無駄な知識でマウントを取るのか?
Twitterをやっていて、テレビ朝日で放送され、東映が制作している「仮面ライダーリバイス」の現場でセクハラと過重労働が告発された記事を読む。
真実は分からない。
しかし、東映の方も断固として「無かった」と主張しているわけでもないので、事なかれ主義で黙ったまま時間が経過してこのまま忘れられて欲しいと考えているのは間違いない。
下手に誠意を見せて謝罪するよりも、だんまりを決めた方が得というのは日本社会ではもはや常識になっていて、処世術の域に達した感がある。
例えば、坂本一家殺人事件が起きた後、事件発生の原因を作ったTBSテレビは、一切この件に触れずに風化するのを待った。TBSは現在も普通に放送局として営業出来ているのだから、正しい判断だったわけだ。
不倫騒動を謝罪したベッキーさんは数多くの仕事を降板してしまったが、だんまりを決めてマスコミにも緘口令を敷いた如く報道させなかった、当時レプロエンタテインメントに所属していたマギーは、その後も普通にメディアに出て活動を行っていた。
日本大学の田中英寿理事長も、アメフトの悪質タックル問題が発生した時は随分と非難されたが、時が経つとほとぼりも冷めてしまって、自分に反抗した者達を追放し、結局何事も無かったように理事長を続けた。
(この記事を書いた三日後、東京地検特捜部は、約5300万円を脱税したとして、日本大学の田中英寿理事長を所得税法違反(脱税)の疑いで逮捕した)
Youtuberが不祥事を起こして謝罪動画などを投稿すると、大量のバッドボタンが押される。Youtubeもバッドボタン問題を重く見たのか最近その数が表示されなくなったが、要するに罪を認めて謝っている誠意ある人間を容赦なく誹謗中傷して良いと考えているのが現代人なのだ。
昔は筆者も「なんか悪いことをしてしまったらとにかく謝れ」と考えていたが、謝罪した人間を徹底的にいじめて良いと考える人が増えた昨今では「絶対に謝罪だけはするな。たとえ自分も悪いと感じていても」と考えるようになってきている。何故ならば彼らは自分達がいじめを行っているという認識すら持っていないからである。「いじめるなよ」と指摘すれば、彼らは必ず「いじめていない」と反論するに違いない。これが加害者の理屈だ。
しかし罪を認めさせると云うのもなかなか大変で、下手に謝罪を求めると強要罪と云う犯罪が成立する可能性もあるため、落ち度のあった相手を悪く言っている方が犯罪になる危険性まである。
だから、そういった色んな状況を加味すると、コメントを差し控えている東映の判断は、誠意は無いが経営判断的に正しいと言わざるを得ない。
この報道も、何か別の大事件や大きな注目を集めるニュースが出ればすぐ風化して、忘れ去られることだろう。
事件の風化を望む「オタク」と「企業」の共依存
何故ならば、それを多くの特撮オタクも望んでいることだからである。
東映にこのような問題があることを指摘されても、特撮オタクの多くは「セクハラされた社員可哀想」とか「東映は説明責任を果たせ」などと主張するのではなく、「仮面ライダーやスーパー戦隊が終わってしまわないだろうか」を何よりも心配するからだ。
一人の人間の基本的人権よりも、自分達の好きなヒーロー番組を心配する一部の低俗な連中に筆者は嫌気が差し、次のように書いた。
これは「仮面ライダー龍騎」で小林靖子先生が書いた、神崎優衣の台詞「そうやって(バトルロイヤルで仮面ライダーから奪って)手に入れた命なら、私は要らない」って台詞をもじって書いたものだが、特撮オタクには、「仮面ライダー」や「スーパー戦隊」のためなら、そのプロジェクトの問題を指摘する人間達を逆に攻撃して徹底的に排除しようとするリアル神崎士郎みたいな連中が結構居る。何故ならば批判する者達を黙らせて、事件を風化させることこそ、「仮面ライダー」や「スーパー戦隊」のためなのだとある意味分かっているからである。そう考えると、俺の下にもリアル神崎士郎がミラーモンスターを送り込んでこないか心配ではある。
しかし、これは何も特撮オタクだけではない。
昨年、プロ野球・中日ドラゴンズの祖父江大輔投手は球団との年俸交渉が上手く行かず、アメリカに居るダルビッシュ有投手や多くのスポーツ新聞を巻き込んだ騒動に発展したが、その時も希望通りの年俸を求める祖父江投手ではなく、球団側の味方をするプロ野球ファンも結構居た。
阪神ファンなどはタイガースの成績が低迷すると、マスコミよりも阪神を非難する。金本知憲監督の時にチームが最下位に低迷した際、甲子園に来たファンが「辞任」のパネルを掲げていたのは記憶に新しい。阪神ファンは、阪神が好きなはずなのに勝てなかった時の選手や監督個人への攻撃が激しいことは有名で、ライバルの巨人への悪口ならまだしも、自チームの方を悪く言う醜態は、他チームのファンからは異常にしか見えない。
しかし、阪神ファンはまだそれを表に出している分マシとも言える。
中日ドラゴンズで監督を務めた落合博満氏は、ペナントレース中にも関わらず北京オリンピックに選手を出場させたが、日本チームがメダルを取れずに帰ってくると中日ドラゴンズの球団にひっきりなしに抗議の電話が掛かって来て、選手の命の危険さえ感じる物騒なものまであったそうだ。その後もスタンドからの野次も聞き捨てならないものが出てきて、球場に警察を呼ぶ事態にまで発展したことを著書の『采配』で打ち明けている。
落合氏はその後、中日ドラゴンズのGMも務めるが結果を残せなかった。すると落合氏の自宅に投石などの悪戯をする中日ファンが居たことを息子の福嗣氏がTwitterで証言している。
まるで「総括」と称して自分の仲間をリンチして殺していった連合赤軍の森恒夫のような連中だが、こういう行き過ぎた行動を取るファンと云うのは「日本が優勝して欲しい」「自チームが優勝して欲しい」と云った、チーム全体の成功と云う大義名分があるだけ、余計に始末が悪い。
このように正当な権利を主張する個人よりも、企業やプロジェクトを優先して庇って、関係者個人を叩くファンやオタクが思いの外多い。
日本人は同調圧力が強いと言われるが、個人の権利を犠牲にしても組織を優先しようとする民族性は、神風特攻隊や回天などで人を捨て駒にしたり、沖縄戦で集団自決させたりした戦時中とあまり変わっていないのかもしれない。そういう意味では、日本人は戦争を反省していないとも言える。
しかし、こうした会社や組織、プロジェクトの方を優先して庇ってくれる特撮オタクやプロ野球ファンと云うのは、経営者の視点から見れば、確かに凄くありがたいことは事実である。
「仮面ライダー」や「スーパー戦隊」のスポンサーであるバンダイの株主総会でこの件を指摘して、「会社としてもセクハラやパワハラはあってはならないと言ってくれ」とか「仮面ライダーやスーパー戦隊のブランドを傷つけないためにも、製作費を払っている東映やテレビ朝日に説明責任を果たすようにバンダイの方からも言え」などと主張するような善良な株主がいれば少しは事態も進展するだろうが、そんなこと下手に話題にして、バンダイの株価や資産価値が下がったら株主の得にならないので、まぁ何事も無かったようにスルーされていくだろう。
どうでもいいことを重要に考える特撮オタク
しかし、この記事の本題は「東映のセクハラ疑惑」ではなければ、一部のプロ野球ファンの異常な実態でもない。
タイトルにもある通り、本題は特撮オタクの不思議な生態の考察である。
筆者は「ウルトラマン」や「仮面ライダー」「スーパー戦隊」などの特撮番組は昔から好きだが、この手の話題をすることはあまり好きではない。
何故ならば「特撮」は好きだが、「特撮オタク」が好きではないからだ。
囲碁棋士の梅沢由香里先生は「囲碁は互いに信頼関係が無ければ出来ない」と書籍で語っていたが、筆者も「特撮の話題は互いに信頼関係が無ければ話せない」と思っている。
例えばリンクを貼った「ウルトラマンが泣いている」のamazonのレビューを読んでいくと分かることがある。
大概は真面な意見だが、例えば、★のレビューを書いた金田八龍助さんの主張を読んでいこう。
・『ウルトラマン』を初代賛美をするためか、『機動戦士ガンダム』『水戸黄門』を持ち出すあたり分析力が皆無としか言いようがありません。
と書き出して、『ガンダム』や『水戸黄門』の高尚(笑)な分析を書いた。まぁ、よく見ているとは思ったが、真面な人間は『アニメやテレビドラマを全部見て歴史的な部分まで含めて全て理解出来ているはずがない』といった一般常識を欠いているのが痛い。
当たり前だが、大半の人間は多くの特撮作品やアニメ・ドラマを見ていないし、見る義務もないし、見ていなければ語ってはいけない法律も無い。
オタク達は自分達の数多くの知識を披露するのだが、大半の人間はそんなこと知る義務も無いし、興味も無いが、何故か特撮オタクは自分達の知識を披露して、自己主張するのを止めない。
円谷氏は「偉大なるマンネリではいけなかったのか」と主張している。その主題には「マンネリでも良い」「マンネリではいけない」の賛否も示さず「分析力が皆無としか言いようがない」と書かれても、「それはあなたの方でしょ」としか言いようがないわけだ。論点がズレているからである。
それから書籍には「男はつらいよ」も引き合いに出されていたが、その件には何故か触れていない。おそらく金田八さんは見ていないのだろう。
・パワードの怪獣デザインは、日本人です。
これは筆者も「ウルトラマンパワード」を、新作のビデオレンタルの時代から見てきたから、そんなことぐらいは知っていた。
確かに「ウルトラマンが泣いている」は多数の間違いが指摘されていて、そこを指摘する読者が非常に多い。
ただ、これはトヨタや本田技研などの自動車会社の社長に、販売している自動車のスペックを全て暗記しろと求めるような愚行でしかない。
経営者はあくまでも会社の経営を安定させ、存続させるのが使命である。
東映の社長が、仮面ライダーのパンチ力は何tだとか、この怪人のデザインを行ったのは〇〇って人だとか、そんなことを暗記する義務があるとでも本気で思っているのだろうか? そりゃ、知らないよなぁとか間違うこともあるよなぁっと許容することも出来ない器の小さな連中が特撮オタクと云う何の役にも立たない生き物なのだ。お金を払ったから文句を言っても良いと思っているのだろうが、そんなのはミスをした店員に横柄な態度を取る迷惑なカスタマーハラスメントを働くクレーマーと同類である。
そんな常識も分からず、怪獣のデザイナーは誰だったとか、脚本家の名前とか、それを間違っていたらダメだと誹謗している時点で、物事の本質など特撮オタクは何にも分かっていないことがよく分かる。
それにしても、特撮オタクは何故どうでも良い知識に拘るのだろうか?
それは、特撮オタクから、特撮を抜いたら何も無いからである。
特撮は互いに信頼関係が無ければ語れない
「轟轟戦隊ボウケンジャー」 Task.32「ボウケン学校の秘密」 (監督:中澤祥次郎 脚本:小林靖子)の回で、冒険学校の試験に落ちたボウケンレッドの明石暁が落ち込んでいて、「明石から冒険を取ったら何が残るんだ!?」とボウケンブラックやシルバーから笑われていたが、あれより酷い。
ボウケンレッドは冒険学校の試験に落ちてもボウケンレッドであることに変わりはないが、オタクから特撮やアニメを引いたら、本当に何も無い連中でしかないし、しかも特撮やアニメが別に彼らの職業や収入源になってすらいないのだ。特撮番組やアニメの出演者やスタッフから特撮やアニメを引いたら、そりゃ仕事を失うことになるのだから酷だと思うが、そうなれば他のプロジェクトに進んだり、転職したりするだけだろう。
オタクの場合、特撮やアニメは単なる趣味でしかない。生きていく上で何の役にも立たない(いや自分で役に立たせることすら出来ていない)趣味でしかないものに、自分の感情を剝き出しにして、他人への糾弾や誹謗中傷にまで発展する。こいつらは一体何のために特撮やアニメを見るのだろうか?
冒頭の東映セクハラ騒動のTwitterでも、「令和ライダーになってから、女性ライダーが登場するのが当たり前になりつつあって」ってコメントした人に、「女性ライダーが登場するのが当たり前になってるのは平成からだから」とか「クウガとダブルに女性ライダー出たっけ?」とか、セクハラ騒動のことではなく、女性ライダーが平成からか否かとか糞どうでもいいことに拘って、揚げ足を取ってやった感を出しているのだから、愚かとしか言いようがない。
「女性ライダーが最初に出てきた作品は何か?」なんて、そんなこと話題にする時点で、特撮オタクは自分達が真面な人間ではないと自覚すべきだ。
繰り返しになるが、「特撮の話題は互いに信頼関係が無ければ話せない」
それは、特撮オタクはあまりに愚かな人が多く、自分の持っている知識を披露したり、他人の知識の間違いを指摘することに妄執しているような連中ばかりだからだ。
勿論、岡田斗司夫先生のような突き抜けたオタキングと呼べる本当に博学な人なら別だが、基本的に特撮オタクとは筆者は口も聞きたくない。
思えば昔の大人達、例えば自分の親の世代は、何故いい歳した大人が特撮やアニメを好きになることを忌み嫌ったのだろう?
最初は特撮やアニメに対する文化への無理解だと思っていた。
それも勿論ある。
しかし、今では筆者も自分の親と同じように、特撮やアニメにいつまでも夢中になってちゃいかんと子供に言う。
「特撮オタクにはろくな奴が居ない(非常に少ない)からだ」と教える。
フィギュアとか玩具とかに自分の貴重な人生の時間と無駄な金を浪費し、「個人の自由だ」「人それぞれの趣味だ」「趣味なんだから別に良いだろ」などと怒り狂うことしか出来ない。オタクに出来ることといったら、ネットで調べれば誰でも知られることでしかない、好きな特撮番組のどうでも良い知識を披露することだけなのだ。
筆者と特撮の話題を語りたいなら、まず信頼関係から築いて下さい。
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